この世の果てで恋を唄う少女YU-NO
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メーカー | elf | 発売日 | 1996/12/26 |
シナリオライター | 剣乃ゆきひろ | 原画 | 長岡康史 |
レビュー | ||||||
シナリオ | グラフィックス | 音楽 | 文章(力) | システム | 熱中度 | 余韻度 |
3点 | 3点 | 4点 | 5点 | 4点 | 5点 | 2点 |
総評
B:
71
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一言で締めるのコーナー
「攻略見ちゃいけなかったのかorz」
データ上は1996発売のYU-NOになっていますが
このレビューはエルフ大人の缶詰に収録されていたYU-NOについてです
「攻略見ちゃいけなかったのかorz」
データ上は1996発売のYU-NOになっていますが
このレビューはエルフ大人の缶詰に収録されていたYU-NOについてです
以下詳細レビュー
シナリオ 3点 |
きっと比類なき超絶シナリオなのだろうと期待していたが……
えっ、ちょっ、スルーパスっっ!?
練られに練られているシナリオだからこそ
ユーザーに届ける際は、分かりやすい表面的な部分を切り取って届けているYU-NO
作品の根源ともいえる並列世界に関する考察諸々も
世界を世界たらしめる要素でしかなく、シナリオ自体に大きな感動を呼ぶものではなかった
むしろ要素が形作った構成が素晴らしく、内容に穴が大すぎるといった具合
大きく分けて二つのシナリオからなるYU-NO
まず前半
某人物と三角山に対する謎解きが大半を占めることになるこのシナリオ
三角山の謎解きが非常に面白くかつ戦々恐々とした
個別のシナリオはほとんどが伏線という役割しかもたず、特筆すべき所はない
やはり全てが謎を解くための要素として収束する
そして後半
はぁ? え? ありとあらゆる意味でスルーやん
第一に、前半で得てきた(現実としては得ていないが)全ての主人公の心理描写を無視
第二に、前半でのあらゆる成果を内包した三角山に対する解答がない
第三に、初期段階の設定に無理がありすぎる
第四に、後半で得た主人公の心情もさらに無視
第五に、ラストでついに三角山の全てを否定
…………これは泣くしかない
どれだけ構想が良くても、「プレイしてきたユーザーの心情」を汲み取らなかったシナリオに4点以上は与えられない
正直な話、後半が急ぎ足な印象を受ける
プレイした一ユーザーとして言わせてもらえば、未完成品、というところ
(その)世界を創る内実を知る必要の無いユーザーにとっては
(大衆的に)表現され受け取ったものを、どう帰結してくれるか
それだけが「物語」に必要な「シナリオ」だと思う
グラフィック 3点 |
が、量は申し分ないし、過去エルフ作品に触れてきた方には違和感はないだろう
昨今量産されている手抜き背景ゲームと違い
マップ移動ゲームに相応しく全ての背景が相応に用意されている
(プレイすると残る印象が)非常におどろおどろしい感じがするA.D.M.Sのインターフェースも良く
簡素ながらも味がある
エフェクトが非常に怖い(笑
拡大表示したりするのは反則
音楽 4点 |
無音になるともっと恐い(笑
ボーカル曲が(当時のギャルゲー志向が違うために)入っていないが
全体のBGMは聞き惚れるものが多い
恐いものの方が印象深いが
文章(力) 5点 |
数学的・哲学的に世界を構築するさまはお見事
総当りコマンド文章まで全てお一人で書かれたというのだから逸している
問題はこれがギャルゲーだったという所でしょう
女性と会話するほとんどの場面での主人公の行動や心情描写がベタ、いや下手
逸脱した感覚が欲しかったのか、「目を擦ったら余計見えなくなった」等の
全く面白くない主人公の言動が多用され、神視点と同化しているのにもかかわらず
いきなり「造りモノ」(乖離)を意識させられる
システム 4点 |
名前の通り、オートマッピングによる並列世界の構築
神の視点とのプレイヤーの同化
世界観との結合などの要素を一心に担う
ただ、不都合も多数あって、「どこから鉄の剣を出したんだよ」とか
「マップが開けない」とか「セーブ箇所制限」とか
ゲームと融合するがために、ユーザーへの配慮が無いつくりとなっている
宝玉セーブも、ラストで宝玉を全て回収することになるので
2周目の個別IFを自力で通らなければならない等の弊害が多数ある
そして難易度が異常に高いのも問題
最初、自分の机の引き出しの上から二番目を、七回クリックしないとお話にならない
たいていの場合、渡すべき物は最初に渡すチャンスのシーンで渡してはならない等
「攻略見ないで気付くのかよ!?」な展開が多い前半
後半はA.D.M.Sがなくなり、総当りコマンドのため前半と比べ新鮮さも操作性も下落
ADVの金字塔といわれる所以のA.D.M.Sを体感するためだけにプレイするのも有かもしれない
熱中度 5点 |
謎解き、並列世界を自身でマッピング、総当りコマンド
考察も楽しめるが、自身がゲームと一体化し謎を解いていく様は、のめり込むのに十分な素養
攻略を見てプレイした私は21時間ほどでクリアしたが
徹夜とまではいかないが二日にわたるぶっ通しプレイだった
前半は謎解きに躍起になり
後半は「展開」が確かに驚愕だったので熱中
余韻度 2点 |
前半の良さも後半では尻切れトンボ
「解答」も「理由」も中途半端で得られないのであれば
謎解きを構築するためだけの三角山など作らないで欲しかった
内容的なラストに関しては良く分からなかったというか
あそこで感動をしろといわれても、全然感情移入できなかった上に
他の部分が気になってEDの時はポカーンとした
攻略を見てしまったのだが、自身で埋めると違った感動を得られるという意見が巷で多い
が、よけい謎解きの方に意識集中してしまいそうで評価が下がりそう(笑
総評 B |
昨今の作品でもこれを凌駕する名作は多数ある
A.D.M.Sと構想に関してはこれでしか味わえない良さがあるので、ゲーマーなら手に取ってみるのも可
考察と感動を区分けにしている私だが、数理情報を完全に把握しつつ
世界構造を入念に調べた後
プレイすると新たな感動が得られるかどうか試したくなる作品でなかった、というのは確か
表面だけなぞる(べきである)大衆(=消費者)にとっては評価の難しい作品である
だが、開発日数不足の為に急遽「現代編」がメインとした作りになってしまったが為に「未完成」といった印象を受ける。
とは言え、「おたくまっしぐら」・「マブラヴ」・「それは舞い散る桜のように」等未完成作品はこの業界では多々あるので、上記の作品に比べれば全然マシだとは思う。
ちなみに、個人的には今でもこのゲームを超える名作は無いと思っています。(DOS版・サターン版両方プレイしての感想)
(いや、ゲーマーライターの教本というべき文章ではありましたが)
「マブラヴ」はオルタできっちり締めましたし、
「それ散る」はシナリオ以外が面白すぎましたからね。
私の点数的には、「YU-NO」と「それ散る」は同じぐらいですが。
私も当時に「YU-NO」やってたら神格化できたのかもしれません。
私は年代的に「Ever17」の時代なので……
比較対照の時代が違いすぎました。
それでも、これはゲームのくくりは語弊で、
ADVの頂点だったと思います。
今のユーザーに求められている「ゲーム」としてはそつがありすぎます。
時空やザッピングを扱った作品の始祖的な位置も大きい…
この後のこれ系AVGがこの作品の系譜となったのが凄いんですよ歴史的な古典です。
あとPC版よりコンシューマー版の方が売れた最初の世代の作品ですから
色々な意味でエポックですよ、今のギャルゲーコンシューマーの始祖に近い。
中の人に聞きましたが累計で40万本近く売ったみたいですよw
(同級生は100万近く売ったらしいですが)
あと当時のフロッピー&16色の基本システムで色んな事を
してたのはこのチームのみでしたからね〜
今のいろんな中の人に(30代以降で)
この作品の存在や影響、遊んだ事がないとか言ったらほぼ眉唾だし…
リメイクは原作者が亡くなったので進化システムが作れないだろうし
確かに、このまま歴史埋もれる作品ではありますね。
ただそろそろゲームも過去の作品の歴史や影響、系譜、制作チームの流れも
見ないとゲーム単品では語れない部分も多くなってきたと思います。
例えばシュタゲーは5bpなのでKIDの流れ、KIDは旧F&C系列の影響下に会ったし…
など作品の傾向やスタッフィングにまで及ぶので調べると面白いですよ。