先手必勝を誓った和田監督。取材前にいつも座る「86番」のイスを探す(撮影・中川春佳)【拡大】
羽を休めている暇はない。和田監督は松山から空路帰阪したナインを甲子園に集めた。西岡、鳥谷らレギュラー野手5人と故障した関本を除くメンバーが打撃練習などに汗を流した。6連勝で貯金を今季最多「9」まで積み上げたが、気の緩みはない。交流戦開幕を前に気を引き締めた。
「新たな戦いだから。交流戦は次に生かすとかじゃない。一発勝負みたいな戦いになる。初戦を取る? それが大きい。初戦を取らんと2連敗がある。3連戦でも初戦が大事だけど、特に大事になる」
首位・巨人と1・5差に肉薄。上昇ムードの中で交流戦に突入する。「やはり1度区切りをつけて新たな気持ちで」と第2の開幕という位置づけを明かした。
苦い経験を糧にする。交流戦は2009年から4年連続で負け越し中。就任1年目の昨季は貯金「2」で交流戦に入ったが、いきなり5連敗(最終的に9勝12敗3分)。以降、借金地獄から一度も脱出できなかった。
「セ・リーグ同士だと1カ月半の勝敗は取り戻せるけど、交流戦の負けはそのまま残ってしまうし、取り返しようがない。シーズン終わったときに交流戦であと2、3つ勝っておけば、というのが過去多かった」
取りこぼしがのちのち痛手になるのを避けたい。優勝への手応えがあるからこその感想だろう。2試合制。先手をとり、勝率5割以上で上位を狙いたいところだ。
和田監督は少年時代、剣道も習っていた。「その頃から相手に何かスキがないかと探していた」。新加入・西岡や鳥谷が今季、積極的な走塁を随所にみせ、チーム盗塁23個はリーグ2位。就任2年目で目指す機動力野球が実現しつつある。厳しさを打ち出す采配も選手に浸透している。
サングラス越しに何度も繰り返した「新たな戦い」が幕を開ける。同じ轍は踏まない。先手を取って主導権を握り、そのまま交流戦、そしてペナントレースを駆け抜ける。(阿部 祐亮)
(紙面から)