横浜M戦で体を張ったプレーを見せる闘莉王(左)=11日、豊田スタジアムで(今泉慶太撮影)
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名古屋グランパスのDF田中マルクス闘莉王(32)が連敗脱出への強い決意を激白した。11日の横浜M戦で4年ぶりの3連敗を喫し、「この状況を打開するために、本当の男を見せないといけない」と語った。3日の川崎戦後には昨年難病の手術を支援したサッカー少年の田沼烈くん(13)と再会。「ああいう人たちの幸せをつくるためにも、勝たなきゃいけない。強い名古屋でいないと」と誓いを新たにした。
勝てない。常勝の道を切り開いてきた闘莉王が今、厳しい現実に直面している。今季まだ無得点。ふがいない攻撃陣にしびれをきらして前線に上がれば、カウンターで失点する悪循環。グランパス加入後初の3連敗で順位は14位まで落ちた。6日の仙台戦後には「このままじゃビリ争いするかもな」と悲観。それでも闘志はみじんもなくしてはいない。「この状況を打開するために、本当の男をみせないといけない」。18日のアウェー鹿島戦に向け、激白した。
男を見せたい。その思いには、難病と闘う小さな友達の存在があった。連敗が始まった3日の川崎戦。巻スカウトの尽力もあり、等々力競技場には手術を終えて1年ぶりに一時退院した烈くんが駆けつけていた。闘莉王と楢崎は試合直後に再会し、病院に戻る予定の烈くんを励ました。
「勝利を見せられなかったのが心残りだね」。そう振り返った闘莉王。烈くんだけでなく、群馬県在住の車いすの少女や、名古屋大学病院の小児病棟など、病気に苦しむ子どもたちのことをずっと気に掛けてきた。「ああいう人たちの幸せをつくるためにも、勝たなきゃいけない。強い名古屋でいないと」。苦しい状況も難敵も乗り越える姿は、病室のテレビを通して伝わると信じている。
横浜M戦では、内容には手応えを感じた。「こういう苦しいときこそみんなを盛り上げて、また良い方向に進めるようにしたい。あとは点を決めるだけですよ、僕は」。自分のゴールで、空気は変わるはず。闘将は悲壮な決意で過去にJ1で15連敗を喫した鬼門カシマに向かう。 (宮崎厚志)
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