どんなワクチンにも副反応、副作用はつきもの。でも、感染率が高く、感染後の症状が重篤で、社会的影響も大きい感染症に、予防効果が高いワクチンを公費で接種する。これが「法定接種(定期接種)」の一般的な考え方だと思います。極めて高い予防効果(ベネフィット)のために極めてまれな副反応(リスク)に目をつぶる。ところが、HPVワクチンについては、首を傾げたくなる事実がわかってきました。
3月28日厚生労働委員会での、はたともこ議員の緊急質問。10分ほどの質疑応答の中で、政府参考人である矢島健康局長は、こう答えています。
・ 日本人の一般女性におけるHPV16型の感染の割合は0.5%、18型は0.2%という報告がある(日本の研究者が海外の医学系雑誌に投稿)。
・ HPVに感染しても、90%以上が2年以内に検出されなくなったという報告がある(米国)。
・ HPVが持続感染して起こる若い女性の軽度異形成の90%が3年以内に消失するという報告がある(英国の医学雑誌のデータ)。
ここから導き出される予防効果(ベネフィット)は、以下のものです。
日本人の一般女性の0.7%、つまり1000人に7人はHPV16型、HPV18型に感染するが、そのうち90%は自然排出されるため、持続感染するのは、10000人に7人。持続感染してもそのうちの90%は自然治癒するため、前がん病変にまで進むのは10万人に7人。
つまり、このワクチンは、10万人あたり7人の前がん病変を予防する。
ちなみに、子宮頸がんで亡くなっている方は、年間2737人(2011年)。これを同年の女性人口6561万5000人で割ると、0.00417、つまり、10万人あたり4.2人です。
一方、このワクチンによって引き起こされる副反応(リスク)については、どうか。
同じく矢島健康局長が答えています。
・ 3月11日に開催しました副反応検討会の資料において、発売開始から2012年末までに830万回接種されており、1926例の副反応報告がある。これはインフルエンザワクチンの約40倍。
さらに、厚労省が今年3月11日に行った子宮頸がん等予防接種後副反応検討会の資料を見てみます。
サーバリックスでいえば、2009年12月から2012年12月までの出荷本数684万本を一人2.5回接種と仮定すると273万人が接種したことになります。製造販売業者からの報告はすべて「重篤」で697件、これに医療機関からの報告984件のうち「重篤」とされる88件を加えると785件です。
この数字から重篤な副反応が起こる確率(リスク)を計算してみます。
785人を273万人で割ると、0.0287。
つまり、10万人中28.7人に重篤な副反応が起こっている。
10万人中7人の子宮頸がんの前がん病変を予防するために、28.7人に重篤な副反応被害を起こすワクチンって、いったい何なのでしょうか?
国立市からのお知らせには、「重い副反応として、まれに〜」として副反応症例が列記してありますが、予防効果にも同じ表現を使うのが適切ではないでしょうか。
4月22日付けの東京新聞は、ワクチンの効果について議論する厚労省の「ワクチン評価に関する小委員会」の6人のうち4人の委員が、評価対象のワクチンを製造している製薬会社から寄付金などを受け取っていた事実を報道しています。
3月25日の発足以来、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会への電話は300件に上るそうです。その1本1本が、大切な娘の想像を絶する痛み、苦しみ、後悔の念に苛まれる家族の苦悩に加え、暗闇の中で星を見つけた安堵を伝えるものだそうです。何度も紹介していますが、会長の松藤美香さんのブログ「みかりんのささやき」を一度読んでみてください。
そして、このワクチンの接種を「自治事務」として行うことになった自治体は、自らの責任として対応を急ぐべきです。まずは、子宮頸がんを予防しないワクチンを、「子宮頸がん予防ワクチン」と呼ぶのをやめることから!