Dan Morrison
for National Geographic News
August 7, 2008
自然保護団体「トラフィック」の8月5日の発表によると、先週インドネシア警察は、中国行きの貨物の中から14トンの冷凍されたマレーセンザンコウ(センザンコウ科の1種)を押収し、十数人の密輸業者を逮捕した。
センザンコウは、アルマジロのような姿をした有鱗目(ゆうりんもく)の哺乳類だ。インドネシアのスマトラ島のパレンバンの倉庫で7月30日に起きたこの逮捕劇は、中国でセンザンコウの肉や血、ウロコに対する需要が急増していることの表れである。インドネシア警察のディディド・ウィジャナルディ長官は、「センザンコウは梱包された状態で、スマトラ島やジャワ島の港を経由して中国に輸出される準備が整っていた」と声明で述べた。
中国が経済的に発展するにつれてセンザンコウの闇取引は急増している。ニューヨークに本拠を置く野生生物保護協会(WCS)で野生生物取引プログラムの責任者を務めるエリザベス・ベ・・・
センザンコウは、アルマジロのような姿をした有鱗目(ゆうりんもく)の哺乳類だ。インドネシアのスマトラ島のパレンバンの倉庫で7月30日に起きたこの逮捕劇は、中国でセンザンコウの肉や血、ウロコに対する需要が急増していることの表れである。インドネシア警察のディディド・ウィジャナルディ長官は、「センザンコウは梱包された状態で、スマトラ島やジャワ島の港を経由して中国に輸出される準備が整っていた」と声明で述べた。
中国が経済的に発展するにつれてセンザンコウの闇取引は急増している。ニューヨークに本拠を置く野生生物保護協会(WCS)で野生生物取引プログラムの責任者を務めるエリザベス・ベネット氏は、「闇取引はプロの手で大規模に行われているようだ」と話す。トラフィックによると、国際的な取引禁止措置にもかかわらず、センザンコウは東南アジアで最も頻繁に押収される哺乳類だという。トラフィックは野生生物取引のモニタリング活動を展開するNGOだ。中国向けセンザンコウの貨物はマレーシア、インドネシア、タイ、ベトナムなどで押収されている。
医学的な効果は証明されていないが、センザンコウのウロコには女性の母乳の出を良くしたり、ぜんそくや湿疹などの病気を治すなどの効能があるとされ、血液は高血圧に効くと考えられている。また、センザンコウの肉は珍味として有名だ。しかし、ブームを煽り、価格を上昇させている最大の要因はその希少性にある。
マレーセンザンコウは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストではまだ「準絶滅危惧」に分類されているが、中国や近隣諸国ではセンザンコウ科の動物が絶滅しそうな勢いで密猟されている。トラフィックの東南アジアプログラムの責任者、クリス・シェパード氏は、「希少性が高まるにつれて、需要も高まっている。高級レストランでは、センザンコウのような高級な動物をメニューに載せている。法を超越した存在であることを誇示するステータスシンボルとして客に喜ばれるからだ」と話す。
センザンコウのインドネシアやマレーシアでの相場は、ウロコ1キロあたり40~50米ドル、肉は1キロ60米ドル程度だが、中国国内のレストランにはその肉が1キロ600米ドル近くで卸されているという。
トラフィックの科学調査員でナショナル ジオグラフィック協会の保護トラストの助成金を受けているマーク・アウリヤ氏によると、繁殖率が非常に低いセンザンコウにとって密猟は致命的だという。メスのセンザンコウは成熟するのが比較的遅く、1回の出産で1匹しか子どもを生まない。だが、センザンコウの摂食、繁殖行動、動き回る習性などについては、未解明の部分が多い。「センザンコウは科学的に見過ごされてきた。積極的に対策を取らないと絶滅してしまうだろう」とアウリヤ氏は話す。
Photograph by Reuters/Stringer Malaysia