風知草:最近「96条」攻防録=山田孝男
毎日新聞 2013年05月13日 東京朝刊
これを読んだ96条改憲論者の橋下徹大阪市長がツイッターで「小難しい」「論理が破綻」と批判した。橋下は大阪府立北野高校で石川の後輩に当たる。確かに難しいが、論理は緻密で破綻もない。改憲論者には面白くないとしても。
石川の寄稿は最近の朝日のオピニオン欄で最も反響のあった記事の一つだそうだ。狙いは「良心的な議会政治家に問いかける」ところにあり、「乾坤一擲(けんこんいってき)の勝負に出たつもり」だったと石川は私に語った。
憲法論戦は例年よりは盛り上がり、またしぼみつつある。アベノミクスに合わせ、経済優先、一国平和主義の「戦後」に戻ればエエじゃないかと思い始めた世間の気分も背景にある。それでいいか、悪いか。
要するに国の将来像が定まらない。私自身、護憲とも改憲とも決めかねている一人だが、中身の合意を棚上げして手続きだけ緩めれば、不毛の混乱を招くという確信はある。(敬称略)(毎週月曜日に掲載)