島の分校  〜最後の運動会〜



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2005.11.30.(水)

11月20日、志摩市の離島・間崎島にある小学校の分校で運動会が開かれました。
「今日は、思う存分楽しんで下さい。そして、間崎島をじっくりと見ていって下さい」
開会式でこう挨拶した岩城由紀雄さんの目には涙が浮かんでいました。
「志摩市立和具小学校・間崎分校」、児童は3年生の岩城保人君とその妹で2年生の由実ちゃんの2人です。
島の小学校は児童が減り、平成14年に休校しましたが、翌年、保人君の入学の際、船での通学を心配する両親の希望で再校しました。保人君の父・由紀雄さんには、「生まれ育った島の学校に子どもたちを通わせたい」という思いもあったといいます。1年後には妹の由実ちゃんも入学し、2年間、兄弟2人の分校生活を送ってきましたが、もともと分校は船での通学が心配な「低学年」の間のみ、と言う約束で、来年4年生と3年生になる2人は、巡航船で本土の本校に通います。それを受けて、間崎分校が今年度限りで幕を降ろすことになり、最後に想い出を残そうと、「島の運動会」が企画されたというわけです。
この日は、島を離れた人や、島の小学校に勤務していた先生たち、そして和具の本校に通う児童たちも巡航船で間崎島を訪れました。
最後の児童となる保人君と由実ちゃんはもちろんのこと、島の分校を知る多くの人に想い出を残したいという思いで、保人君・由実ちゃんの担任の向井美穂子先生を中心に分校と本校、そして両親、地区の人たちが一緒になって準備が進められてきました。
分校の今の校舎が建てられた時は、島の若者からお年寄りまでがこぞって勤労奉仕をし、児童が減ってからは小学校の運動会は大人も参加する島の運動会になった為、島の人たちにとっては小学校が特別な存在。これは、住宅地に生まれ育ち、マンモス校と言われる学校に通った私にはない感覚かもしれません。
玉入れ、借り物競走、パン食い競走・・・子どもも大人も1つになった島の運動会・・・楽しい一時ほど、早回しのテープのように過ぎていきます。
「こんなに人が集まった運動会は久しぶり・・・嬉しかった・・・」
「懐かしかった・・・自分の子どもが通っていた頃を思い出した・・・」
「分校が無くなるのは寂しいし、島の“まつりごと”が無くなってしまうことが辛い・・・」
若い人のほとんどが島を離れ、高齢化が進む間崎島ですが、島に暮らす人々も、島を離れ
た人達も、島を想う気持ちに変わりはありません。
「時代の流れとは言え・・・みんなこの校舎に愛着がある・・・最後にこういう形が残せて幸いです」・・・運動会を無事に終え、自治会長・野村儀次さんの目にも涙がにじみます。
入学してから3年の付き合い、向井先生は保人君に一言「お疲れさま」・・・そして、保人君も先生に一言、「ありがとう」と答えました
緊張がほぐれたのでしょうか? 向井先生の目からも涙が止まらなくなりました。
間崎島に通い始めて3年、この日出会った沢山の笑顔と涙は、私にとっての大きな財産となるでしょう。

記事URL | 投稿者:脇 こず恵|コメント(1)

この記事へのコメント



私は、小さい頃間崎島に住んでいました。
3歳ほどまでの短い間でしたが、たくさんの思い出があります。
私はいま岐阜県に住んでいます。
辛いことがあったり悩み事があると、私はいつも間崎島に帰りたくなります。
それで、いつも「間崎島」と検索して懐かしい思い出をおもいだします。
夏休みや、長い期間のお休みにはかならず島に帰ります。
いつ帰っても島の人が優しく「おかえり」「よく来たね」って声をかけてくれます。

私は、由実ちゃんと同じ学年です。
由実ちゃんと一緒に間崎分校に通いたかったと思っています。
由実ちゃんは、いまも島にすんでいて、私が島にいくと、
「遊ぼうよ」って言ってくれます。
毎日のように遊んで、とても楽しいです。

いつでも島の人達は優しく、あたたかいです。
でも、島には住む人が減りつつあります・・・
とても悲しいです。

いつか島に帰って。
家族をつくって。
また島が明るくなるようにしたいと思います。

まさか、2005年の記事に2010年にコメントをするなんて、
思いませんでしたよ(笑)

2010.3.27 (土) 04:37 | Rui |

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