YASUHIRO  独り言  

   山と医療の本音トーク

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5月12日(日)

Dr7はどのような状況で亡くなったのか、事故はどうして起きたのか、本当に避けられない死だったのか、彼の死から僕たちは何を学び、どう生かすか、決して彼の死を無駄にすることなく少しでも山スキーヤーの不幸な事故が減る様に今日僕と当日パートナーだった☆、髭魔人、DrMの四人で遺品回収と現地調査を行って来た。

事故の概要は2013,5/8 深夜12時半新穂高を出発したDr7と☆が白出経由奥穂山頂から扇沢滑降を計画して白出沢を登っている午前8時前標高2940m付近で起きた。

白出沢を大滝を巻いて下部からスキーを担いで彼らはアイゼン歩行していた。順調に標高を上げていたが上がるにつれかなり激しい強風が唸りを上げて涸沢から白出方向に吹いて来てザラメ雪が宙を舞う状態でしっかり前を向いて歩ける様な状態ではなかった。また強風の唸りで落石があっても音が聞こえる状況ではなかった。山荘まであと標高差で40m ほどもうすぐと言う時に山荘右手の煙突脇(梯子場下)あたりからバケツをひっくり返した様な多数の石(直径5-20cm)がいきなり落ちて来た。☆の5m先を歩いていたDr7があっと言う声を発し☆は落石と思いとっさに身を伏せ頭を手で被った、その時20cm大の石がDr7の頭部を直撃し伏せた☆の脇を彼は人形の様に頭を下にして滑落して行った。☆が気が付いた時はもう彼は横を通り過ぎており滑落を止める事は不可能だった。

彼は耳から血を流して標高2700mまで落ちて止まった。これを確認してすぐに携帯で救助を要請してから2700m付近へ駆けつけたところ彼はいなかった。彼はここで一旦立ち上がってヘルメットを脱いで数m横に歩いてまた意識を失い倒れて搬送地点の2320mまで一気に滑落したようである。最初の滑落停止地点までの血痕の軌跡が次の滑落時の軌跡と明らかに大きくずれており彼が一度立ち上がって横に移動したのは間違いない。

二度目の滑落時も血痕がずっと続いており☆はそれを追いかけ2320m付近に横たわっているのを発見、もうすでに呼びかけにも全く反応がなくこの時点で死亡していた可能性が高い。発見時ザックには板が一本残っておりもう一本は最初の滑落直後に外れて標高2900m付近に残置されている事は確認されていた。彼はヘルメットを外した状態でヘルメットは彼の下30mの位置に転がっており内部は血痕で溢れていた。救助ヘリはこの地点でホバリングして彼を病院に搬送した。

病院に搬送された彼は死亡確認のみされた様で死因解明に繋がる検査などは受けていない、多量の血痕が事故地点から搬送地点まで繋がっていた事、さらに耳出血を伴っていた事、最初の滑落時にまだ立てる状況だった事などから死因は頭部外傷による頭蓋底骨折さらに大血管損傷による出血多量死だった可能性が高い。当日自宅を訪れた際の彼の亡骸に外傷はほとんど無く顔面を含め頭部はきれいであった。出血した耳だけ腫脹していた。

事故地点から山荘までもう目と鼻の先、もう10分位で山荘直下の安全地帯に入れたはず

白出下部を行く今日のメンバー、皆Dr7が大好きでした。皆是非参加したいと申し出てくれました。

搬送地点30m下で最初の遺品ヘルメット発見

ヘルメット内部、割れていた。内空にあるはずの衝撃吸収材は人為的に外されていた。

なぜ彼がこのような状態で使用していたかは不明、衝撃吸収材が入っていれば、、、、

彼の最終滑落停止場所で花を供え黙祷

最初の滑落停止付近2700mから見た山荘

事故現場下で発見した板

事故現場付近下2900m

事故現場に残された直撃しただろう石20cm×5cmの石

事故現場少し上もうすぐ山荘だった。石は煙突右から多数落ちて来た。

30mを超える突風でこの辺りに堆積していた石の固まりが崩れて落石になった可能性が高い

彼の死を無駄にしないために敢えてパートナー☆と共同で報告書を作成しました。山スキーをする際は必ずヘルメットは携行して可能な限り使用して下さい。ヘルメットはお守りではなく正しい使用法で適正に被って下さい。腕や足が折れても死にはしません、時間が経てば治ります。ただ脳がやられれば再生は不可能です。頭部だけは決して疎かにせず守って下さい。命が救われても重大な後遺症が残る危険性があります。

愛する家族を決して悲しませないためにも必ず身を守る事が山で遊ぶ人の義務であり責任であると今回の事故を通じて僕は学びました。Dr7安らかに眠って下さい,決して君の死を無駄にしないと僕は誓います。


これ以前はすべて消去しました。何を書いたかも覚えていません。不定期に消去しています。

毎日が完全燃焼できるような日々を送りたい,人生とは長いようで短い。

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