ケムトレイル陰謀論者のサイトで、こちらの動画も高頻度で目にします。
イタリアの有名なケムトレイル陰謀論者、タンカーエネミーの投稿動画です。
今日はこれについて書きます。




タイトルが「The insider」とあり、空軍パイロットのケムトレイル自白ビデオであるかのように編集されています。
翼全体から雲が出ているので、よく目にする、いわゆる飛行機雲とは全然違うということで、本当にケムトレイルの証拠動画ではないかと疑ってしまうのも無理はないのですが、これもケムトレイルではなく、飛行機雲です。

こういった雲が出来る原因は、飛行機が飛ぶ原理である、翼の上下の圧力差に由来します。
翼の上側では下側よりも気圧が低くなります。
そして、圧力が降下すると、空気は膨張し、温度は降下します。
すると、もともと過飽和の状態の大気の中では、翼の上の空気は水分をこれ以上含むことが出来なくなり、空気中に保持出来なくなった分は結露し、ベールのような雲を作ります。

なぜ翼の上下で圧力変化があるのか?ということは、揚力がなぜ発生するのか?という、航空力学的専門分野にまで発展してしまいますので、もっと知りたい方は航空力学の専門書を買って勉強して下さい。

このような飛行機雲は「エアロダイナミック・コントレイル」と呼ばれています。
エアロダイナミック・・・つまり、航空力学的に発生する飛行機雲、ということです。


ここで、この動画を一番はじめに投稿した、USAFFEKC10A氏のオリジナル動画を見てみましょう。



本人が語っているように、この動画の中で笑っているのは、ケムトレイル陰謀論者をからかっているからです。
USAFFEKC10A氏のコメントに、彼の告白があります。


次に、piggypolice氏による、解説動画を見てみましょう。



以下、解説文の内容を紹介します。
このビデオは、2010年7月、空中給油機KC-10のUSAFエアクルーメンバーによって投稿されました。
その目的は、ケムトレイル陰謀論者が「餌」に食いつくのを観察し、笑い物にするためです。
大勢の人々が、まんまと罠にはまり、このビデオは何回も様々なバージョンでコピーされ、「勇敢な内部告発者」というストーリーがでっちあげられました。

翼面から出ている虹色の霧が、有害な毒雲であるかのように言われていますが、単に太陽光が飛行機雲を形成している液滴や氷晶に屈折、反射して起こっている現象です。
動画では、強い太陽光線が左側から当たり、飛行機の影が飛行機雲の上に出来ているのが分かると思います。

“タンカーエネミー”バージョンの捏造証拠の「ノズル」と書かれた部分、これは、フラップのヒンジ部分であり、ノズル状のものが付いているのではありません。
翼部分から出ている霧状のものは、スプレーしているのではなく、気圧の低下による翼上面の急速な温度低下による凝縮現象であり、エアロダイナミック・コントレイルとして認知されています。

スプレーオフ、スプレーオンしているように見えるのは、機体が、温度・湿度が全く異なった地点を高速で移動していることが原因です。
地上でも、車で移動している時、ある地点までは大雨で、そこを過ぎると突然晴れている、ということがありますね。
それと同じです。
大気の条件が違うところに入った、という、それだけのことです。

多くの人達は、このビデオのエアクルーの音声に、皮肉が込められていることに気づいていないようですが・・・
彼らは実のところ、冗談を言って、ケムトレイル陰謀論者をからかっているのですが、イタリア人であるタンカーエネミー氏をはじめ、英語圏以外の人には冗談が通じなかったようです。

ということで、このビデオは、ケムトレイル陰謀論の「聖杯」でも「証拠」でもなければ「勇敢な内部告発者による告発」でもありません。
騙されやすいケムトレイル陰謀論者をまんまと釣った悪ふざけでした。



―追加―
ケムトレイルのノズルと書かれた部分ですが、フラップのヒンジ部分だということがはっきり見える下の写真を見てください。
AIR_KC-10_Drogues_F-18C_Nimitz_lg.jpg
【写真引用元はこちら

黄丸で囲った部分がそうです。
ノズル状のものでないことが、はっきり分かりますよね。
エンジンは、翼下にそれぞれ一つづつと、垂直尾翼の根元、合計3個です。

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