青山学院大学の小林一郎先生から、刺激的な言葉を頂いたのでご紹介。
ビジネスの世界は、努力すれば結果が出るわけではない
小林先生の研究室には、しばしば大学を卒業したばかりの若者たちが「会社を辞めました」という報告に訪れます。
会社を辞めた理由を聞くと、「全力で頑張ったけどうまくいかなかった。そんな自分に耐えられなかったので、辞めました」という回答が返ってくることがあるそうです。
小林先生はそんな若者に対して、「何を勘違いしているんだ。ビジネスの世界は”努力すれば結果が出る”わけがないじゃないか」とザクッと一刀両断。
「努力すれば結果が出るわけではない」、自分の境遇に悩む若者からしたら、これは目から鱗の指摘だと思います。
結果には理由があると考え過ぎる人は、失敗した時に能力不足、努力不足だと考える傾向にある。だから失敗した人を責めるし、自分の失敗を怖れ挑戦の頻度が下がる。結果はある程度時の運だと割り切っている人の方が、挑戦のサイクルが早く学びが多い。
— 為末 大さん (@daijapan) 2013年3月26日
このブログでも書いていますが(ダメな人は失敗を「自分のせい」にする)、努力と成果が比例するというのは、危険な幻想です。
みなさんが心の底から「人生、何事も頑張ればうまくいく」と考えているのなら、それは現実を見ない理想主義的な姿勢、いや、もっといえば鈍感で傲慢な姿勢です。
努力と成果が比例するのは、せいぜい中学校の英単語テストくらいなものでしょう。そこから先の、たとえば「ハーバード大学に進学する」なんて目標になってくると、必ずしも努力すればうまくいくとは限りません。
高度な目標の達成においては、さまざまなパラメータが複雑に絡み合うのです。
たとえば「ブロガーとして成功する」という目標ひとつとっても、「良質な人脈を築けるか」「良質なネタと出会えるか」「体調が優れているか」「外部環境は良好か」などなどなどのパラメータが複雑に絡み合います。
これらのすべてが「自分の努力」で何とかなるとは限りません。わかりやすくいえば、高度な目標の達成には「運」の要素がどうやっても入り込んでしまうのです。
ビジネスにおいても同様で、スタートアップ企業なんかを見ていると、いかに本人の努力とは関係ないパラメータで成否が決まっているかを実感します。頑張るのは「前提」で、あとは「運」なのです。人との出会い、市場の盛り上がり、政府の規制…。
小林先生いわく、ちょうどこの時期は5月病のシーズンなので、会社を辞める若者が少なくないとか。
もちろん人生の選択は人それぞれですが、「ビジネスの世界は、努力すれば結果が出るわけではない」といった基本原則の誤解が原因で、自分の心身を苦しめてしまうのは、実にもったいないことです。
適切な理解があれば、まだ元気に挑戦できるかもしれませんから。ぼくがブログを書きつづけられているのは、成功も失敗も「運」だと割り切っているからです。ひたすらバットを振り続けるのみ。
頑張った人がプロ野球選手になれるわけではないのです。頑張った上で、さらに運が良い人が、プロ選手になれるのです。
同様に、ビジネスにおける成功も、頑張れば成功するというわけではありません。
みなさんがもし「これだけ頑張ってるのにうまくいかない…自尊心が持たない」と苦しんでいるのなら、それは傲慢な態度です。
そうではなく、「これだけ頑張ってるのにうまくいかない…まぁ、ちょっと運が悪いのかな」と認識を変えるべきです。これが現実に即した理解ですし、何より自分が救われます。明日も頑張る気持ちが湧き出てきますよ。