【引退記念試合】小橋が完全燃焼！最後の逆水平チョップ１５０発

マイバッハ谷口（左）に得意技のチョップをお見舞いする小橋

　◆小橋建太引退記念試合　▽８人タッグマッチ６０分１本勝負　〇小橋建太、秋山準、武藤敬司、佐々木健介（３９分５９秒　ムーンサルトプレス→片エビ固め）マイバッハ谷口、潮崎豪、ＫＥＮＴＡ、金丸義●（１１日、東京・日本武道館）　「鉄人」「絶対王者」の愛称で親しまれ、プロレスで一時代を築いた小橋建太（４６）が１１日、東京・日本武道館で引退記念試合を行い、２５年の激闘人生にピリオドを打った。メーンイベントの８人タッグマッチに出場し３９分５９秒、ムーンサルトプレスからの片エビ固めで金丸義信（ノア）を撃破し、ラストマッチを白星で飾った。両膝の大けが、０６年の腎臓がん摘出など幾多の苦境を乗り越えてきた鉄人が、惜しまれながらリングを去った。

　小橋の１０５キロの巨体が、宙に弧を描いた。トップコーナーに駆け上がり、危険な封印技、ムーンサルトプレスを解禁だ。１回転しながらマットで横たわる金丸に体を沈めて勝利を勝ち取った。１万７０００人観衆の地鳴りのような「小橋コール」を受け、鉄人は「プロレスが好きです。プロレスは自分の青春でした！」と涙。すべての技を万感の思いを込めて放ち「プロレス人生に悔いなし」と完全燃焼した。

　昨年２月以来の復帰戦が有終の一戦となった。肉体が限界に達し昨年１２月に引退宣言したが、最後まで闘志全開。９種類の技を出し、十八番の逆水平チョップは１５０発を超えた。試合開始３０分過ぎには無休で６４連発のチョップを見せた。

　けがと病魔に「不屈の精神」であらがった。０６年７月にがんで右腎臓を摘出。０７年１月に古傷の両膝にメスを入れ、同年１２月に奇跡の復活を遂げた。「たくさん苦しいことがあった。それを乗り越えた時の幸せは何倍もあった」。

　高校卒業後、約２年のサラリーマン生活を経て、８７年に故・ジャイアント馬場さんの全日本プロレスに入団。一度は書類選考で落ちたが、馬場さんの目に留まった。９０年代に故・三沢光晴、“人間魚雷”テリー・ゴディ、“不沈艦”スタン・ハンセンらとの死闘で、伝説を作り上げた。「三沢さん、馬場さんに心の中で天国に届くように引退しますと報告した」と小橋。青春のすべてをかけたリングに感謝をささげて去った。

　◆小橋　建太（こばし・けんた）本名・小橋健太。１９６７年３月２７日、京都・福知山市生まれ。４６歳。福知山高卒業後、サラリーマンを経て８７年、全日本プロレスに入門。８８年２月２６日、大熊元司戦でデビュー。アジアタッグ、世界タッグ、３冠ヘビー級王座を獲得。００年に三沢光晴のノア旗揚げに参加し、ＧＨＣタッグ、ＧＨＣヘビー級王座を獲得。ヘビー級は１３回連続防衛。０６年に腎臓がんを告白し、右腎臓摘出手術。翌年にリング復帰。全盛時は１８６センチ、１１５キロ。１０年に演歌歌手のみずき舞と結婚。