並列世界放浪記

 序文

 俺は今、わけのわからん世界にいる。
 多くの人の様々な言葉が頭をよぎる。
 あのままで終わっていればと思うこともあった。
 どうしようもない後悔の念に駆られたこともあった。
 関わった全ての人を幸せにする事など、所詮は無理なことなのだろうか?
 誰かを救えた影で、救えなかった人が必ず出ている。いや、誰も救えなかったことすらある。
 皆を同時に救えなければ意味が無い。
 それでも無駄でなかったといえるのか?

 自分を愛してくれたひとは、自分を庇って銃弾に倒れた。
 気の遠くなるような長い時を、絶望的な孤独の中で過ごしてきた少女は、最期の一時にその孤独を癒され、そして逝った。
 最も大切なひとは、ゲスなバカに利用されたあげく、自ら命を絶った。

 バッドエンドしかないのかこれ・・・
 やればやるほど気が滅入る。でもなかなかやめられない・・・
 たまにグッドエンドらしき展開かと思っても、結局振り出しに戻るわけだし・・・
 おもい・・・


  人物

    神奈
 絶望的な孤独。
 ラストを見て思い浮かんだ言葉がコレだった。
 ただ、死なない為に生きるということ。
「体は心より容易につながることができるのです。
 ・・・ たとえ一時の悦びであったとしても」
 うかつなことに、この時まで分からなかった。彼女がああいうことをするわけが。
「親しく話し合える人など、誰もいない現実」

「怒りや悲しみがあるから、人生が充実するんだと思うぜ。喜びが、より引き立つという見方もできるしね」
「それは、本当の怒りや悲しみを、味わったことがない人が言う言葉です」
 この時は、なるほどなあと思った。そういう人生を送ってきたのかと・・・。それがどれほどのことかは、想像すら出来ていなかったのだと、後で思い知ることになる・・・

「・・・本当に嬉しいの。私を必要としてくれる人がいるって、なんだかいいなって・・・」
 自分がどうなるか分かってて、この言葉、あの笑顔、いくらなんでも悲しすぎるぞ。

 ところで、最初に彼女の私服姿を見た時は、違和感があったんですが、納得しました。

    美月
「嫉妬する歳かよ」
「嫉妬する歳よ」
 に、思わず笑ってしまった。いいぞう。
 美月さんて、えらくきっつい顔立ちしてるんだが、たくやと二人っきりの時はひどく穏やかな表情してる。
 意外に乙女ちっくだし・・・?

    澪
「一生懸命走っていたら、走る行為そのものの無意味さを悟ってしまって、その悔しさで涙が出たの」
「だから、もう振り返らないことにしたのよ。自分が、今この時期、この歳にできることを全部やってしまいたいの」
「全部?」
「そう、全部。だから走るの。無意味でもいいの。意味があるかどうかなんて、後で考えればいいの。」
 なんかすごいぞ、お嬢様。

 歴史学マニー。これが一番印象に残ってるって言ったら失礼だよな。
 思ってた以上にかわいくなってしまって・・・。まあ、状況的には無理無いかも。

    絵里子
 おそらくは、一番の理解者であろう彼女。
「誰にでも悲しい時はある。他人の為に涙を流すのは、決して恥ずかしいことじゃない」
 そう言えるだけの体験をしてきたということなのだろう。

 あの性格がイイ。あの口調がイイ。
 正体ばれた時のブツブツ言ってる顔がいい。
 見事な化けっぷりだが、声でまる分かりだぞ。
 しかし、何故床に寝る。何故寝顔を見られるのがモラルに反する? 何故たばこ?
 うーん、奥が深い。

    香織
「よく知らない相手をパートナーとして信用できるの?
 私はできない。だから体を重ねるの。相手をもっとよく知る為に」
 それで裏切られた、たくやっていったい・・・

 亜由美ルート後に行くと酷い目にあう。
 でも亜由美ルート後でないとエンディングが見れない。やってくれるなあ。

    亜由美
「言葉で伝えられることは限られているけど、言葉を使って初めて伝えられることもあるわ」
「それを、言えっていうのか?」
 一度言ってしまったら二度と戻れない。
「言ったら、絶対後悔する」
「言ってみなくちゃわからないわ」
 寂しさ、悲しさ、心細さ、そして困惑・・・
「ええ、高ぶってる。錯覚かもしれない。でも、今この瞬間の私は、錯覚じゃないと確信しているわ」
 ちょっとセリフ違うかもしれんが、いっちゃってるぞ亜由美さん。なにがあろうと後悔しないってことなんだろうが・・・
「今だけ、私を支えて欲しい・・・」
 この言葉に込められたものが、どれほど重いことか・・・
 なんか、すごく大切にしたくなるようなひとだな。
    守衛
 結構好みなのに、ほんのチョイ役でしかない。ちょっと残念だ。

 結局、美月さんは目の前で死んでいった。
 かつて付き合っていて、今、自分を庇って死んでいったにもかかわらず、美月さんの印象は、申し訳ないがあまり強いものではなかった。
 むしろ、絵里子先生と亜由美さんが強烈に気に入ってしまった。
 絵里子先生の正体バレバレなんだけど、画面上のたばこに気付かず(だって細いんだもん)、延々”どなたかしら”と言われ続けることに・・・。しかもあの画面からは移動も出来ないし・・・

 生徒手帳を返したところ、そのまま神奈ルートに入ったらしい。結果は・・・
 最期だけでも幸せそうだったのがせめてもの・・・、納得できるか!
 ここにはホントに絶対も一度来るからな。ちなみにここでもエンディングに進めず、
「神奈チャン・・・」
と、呆然と呟き続けることに・・・。結構間抜け・・・

 途中の分岐から香織ルートに入ったらしい(これはこれで心苦しい。倒れた神奈チャンをほっておくことになるからな)。
 ところが、亜由美さんがもっているというブルーカードが手に入らない。これは亜由美ルートを先に行けということか?
 いつのまにか神奈ルートに戻ってたりして・・・、もう二度とあんなのはごめんだぜ。

 亜由美さんは、ホントに酷い目にあっていた。
 卵投げ付けるなんて信じらんねえ。思わず、ひでえとかうめいたりして。

 公園では、香織さんがアップで迫ってくる。
 ゾクッ
 まさに豹変というやつだな。いったい何者だコイツ。
 でもちょっとクラッときたりして。こういうキツイかおって、けっこう好きだったりするんだよな。
 香織さん、顔が変わっちゃってるよ。

 亜由美さんは、テレビでも苛められてるし、酒飲んで帰ってきてクダまいてるし。意外と酒癖悪いでやんの。
 さらに追い討ちを掛けるように・・・
 よりそうようにして明かした一夜、少しだけ近づけた気がした。
 肩を抱いた時に、一瞬驚いたような表情をした後、頬を赤らめたように見えたのは気のせいか?
 朝、亜由美さんを部屋に運ぶ時、目を覚ました彼女が、一瞬目を見開いて慌てたようにギュッと目を閉じて、かすかに頬を赤らめたように見えたので、脈有り!? (プレイヤー的にね。主人公的には気付いてないみたいだが)
 とか、思ったんだけどねえ。

 オフィスでは、かなりショッキングだった。
 解せないのは、あのバカを信用しているらしいこと。まあ、疑うことを知らないようなひとではあるんだけど、ひょっとして俺より信用してない?
 そりゃ、俺は一発でノビたよ。(意外に弱いぞ主人公)でも、あそこまでハッキリ否定されると結構ショックだぞ。バツが悪いってのも分からなくはないけどさ・・・
 でもその後、美月さんとのを見られたのはまずかった。
「あの美月という女性がいるからいいわよね」
「な、何言ってるんだよ」
「キスをしていたくせに」
 って、子供かー。なんか妙にムキになってるし。
「亜由美は亜由美で新しい恋を探すわ。だからもういいじゃない」
 おもいっきりスネてるみたいな・・・
 でもクソオヤジは?

 豊富、ブッコロス! とか思ったひと、多いよね?
 思いっきり青春小僧しとるな、主人公。

 そして、最悪の結果・・・
 この間の神奈チャンの事を思い出す。
 が、それ以上・・・、正に、最悪だ。

 動かぬ証拠を携えて、再度?(???)豊富をトッチメに・・・。
 香織さんには、目一杯感謝だ。今まではコノヤローは、としか思ってなかったけど。
 ところが、亜由美さんの姿が・・・、まただったら叫ぶぞ、マジで。

 きっ、気付いてたって・・・

 なんかもう、これで終わりでいいやって気に・・・、なってたのにぃぃぃ!

 ブルーカードを手にした俺は、ずいぶんと参考になった亜由美さんの話をを反芻しつつ、香織さんの元に走った。
 充分注意していたつもりでも、アッサリ引っかけられた俺って・・・
 てゆーか、スッカリ信用してたじゃねーか。極悪非道だな、コイツ。(かなりショックだったらしい)
 ここでなによりショックだったのは、亜由美さんが知っていたこと!
 途中で手紙落としてたから、ヤバイ気はしてたんだが・・・。ゴメンよ。

 超念石を手に入れていながら、何故澪を先にしたかは定かでない。とっておきたかったのかもしれないが・・・。

 おいおい澪、それじゃケンカうってるよ・・・って、ひーっ、マジでケンカうってるよコイツ。ヤメレー。
 ピクピクと引きつった美月さんの顔が目に浮かんで、ちょっと怖かった。

 いや、いきなり土下座されてもな、謝る相手が違うだろうってのが正直なトコロだった。多分、澪と同じぐらいに気付いてたんだけどね。んで、連れてったら、報いにしても酷すぎる結末。あーあ・・・

 石棺のパズルは、一生解けないかと思った。このままミイラか、パソコンのバッテリーが切れるか・・・。いや、ゲーム上はないんだろうーけどね。マヂでそーゆー気分になった。
 ずっと考えっぱなしというわけじゃないけど、数時間かかってる。
 7つというのがポイントだったね。12列の内の7つ、左に寄せれば1〜7、右に寄せれば6〜12だ。つまり、どう置いても6,7は埋まるということ。必ずそうなるという部分を見つけてそれを少しずつ広げていく。
 この、一番基本的なロジックに気付くのにずいぶん時間がかかってしまった。もちろん、それからも苦労したんだが・・・。
 澪は、思ってた以上にカワイクなってたな。実はさほど気を引かれたキャラではなかったんだが。
 ホントにどうにかなっちゃいそうな、吸い込まれそうな瞳。ちょっと意外だったな。
 にしても主人公極悪だな・・・

 美月さんは、銃にではなく、雷に撃たれた。
 因果律が高すぎる・・・か。冗談じゃない、運命なんて認めてたまるか!

 神奈チャンの告白は何度聞いてもツライものがある。
 死を目の前にしてのあの微笑みは、イタすぎる。

 本当に良かった。もう、ここでいいか。ダメ? やっぱり・・・
 ため息とともに、Rデバイスに目をやった。

 時計を睨み付けること数十分。
 オイ。オープニングを見ろっていうのを聞かなければ一生悩んでたぞ!
 そりゃ最初に見たけど、覚えちゃいねーよ! DiscAだし。全部に入ってりゃ何度か見たかもしれないけど・・・
 これだけは、酷いと思った。(本編中にヒントなんか無かったよね?)

 そうして、今、俺はわけの分からん世界にいる。


    to be continued the another world...



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