ここから本文です
[PR] 

マニフェスト原案 肝心の憲法・TPPなし “決められぬ民主”重症

産経新聞 5月11日(土)7時55分配信

マニフェスト原案 肝心の憲法・TPPなし “決められぬ民主”重症

全国幹事長・選挙責任者会議に臨む海江田万里代表(右)と輿石東参院議員会長。その表情から参院選へ緊張感は伝わってこない=10日午後、東京・永田町の民主党本部(酒巻俊介撮影)(写真:産経新聞)

 ■全国幹事長会議 「発信足りぬ」「限界」

 民主党は10日、党本部で全国幹事長・選挙責任者会議を開き、夏の参院選に向けて臨戦態勢に入った。だが、執行部が示した参院選マニフェスト(政権公約)原案は、争点となる憲法改正や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について「議論を継続中」としたまま。地方組織の士気は上がらず、不満は鬱積するばかりのようだ。(原川貴郎)

 「『団結は力、分裂は敗北』だ。これは昨年末の総選挙の教訓で、私どもの反省の大きな要になる」

 海江田万里代表は全国から集まった都道府県連幹事長らに結束を訴えた。

 ただ民主党は、各種世論調査の政党支持率は1桁に低迷。4月の「ミニ統一地方選」でも苦戦し、みんなの党などとの参院選での選挙協力も進まない。自民党・安倍晋三政権の“独り勝ち”を許し、反転攻勢のきっかけをつかめずにいる。

 海江田氏らは地方組織の意見を重視しマニフェスト最終案をまとめる意向を示し、活発な提言を求めた。

 だが、県連側からは「上り調子のときじゃないのだから、発信力が足りない」「TPPに関して『民主党は嘘つき』といわれる」などのぼやきが漏れる。

 そんな状況は、マニフェスト原案に表れている。

 安倍政権の経済政策「アベノミクス」に関して「過度に金融政策に依存することは国民生活に大きな混乱をもたらしかねない」と明記。首相の掲げる「三本の矢」に対抗し、財政健全化に向けて歳出改革、成長戦略、歳入改革という“民主版・三本の矢”を掲げ、対決姿勢を示した。

 しかし、安倍首相が争点化を狙う憲法改正については「議論を継続中」。この時期になっても方向性を明示できずにいる。執行部は会議で「参院選は自民党と日本維新の会の『改憲勢力』との戦いになる」と強調したが、説得力は乏しかったようだ。県連側からは「(マニフェストに書き込むには)限界がある…」とため息が漏れ、会議でも「民主党は護憲勢力的なイメージをもたれている」などの不満の声が上がった。

 細野豪志幹事長は会議後、記者団に対し「『自民党・安倍政権に対抗できるのは民主党しかない』という思いを(地方組織と)共有できた」と強弁したが、地方組織の不満は一気に噴き出しかねない。そんな民主党に対し、同党を離党したある野党幹部はあきれ顔でこう語った。

 「本当に『決められない政治』だなあ…」

 ■マニフェスト原案骨子

【社会保障】

 ・持続可能な社会保障制度を確立する

 ・消費税増税分は全て社会保障財源に充てる

 ・公的年金制度一元化、最低保障年金創設などを実現する

 ・生活保護基準引き下げの実態把握と適否の再考を安倍晋三政権に求める

【経済】

 ・デフレ脱却で過度な金融政策依存は国民生活に大きな混乱をもたらしかねず、柔軟な金融政策を講じる

 ・歳入、歳出改革と成長戦略で財政健全化に取り組む

 ・発生主義・複式簿記による国の財務諸表の作成、公開を義務づける

【エネルギー】

 ・2030年代の「原発稼働ゼロ」のため、あらゆる政策資源を投入する

 ・再エネ、省エネに向けた開発、普及を支援する

【外交・安全保障】

 ・日米同盟を深化させ、沖縄の負担を軽減する

 ・海上保安庁などの体制を強化し尖閣諸島(沖縄県石垣市)など領土、領海の守りに万全を期す

 ・北朝鮮による拉致問題の解決に全力をあげる

【政治改革】

 ・衆院議員定数を80削減、参院定数は40程度削減する

 ・国会議員の世襲(三親等以内)を禁止する

 ・国会開会中も政党、議員外交が積極的に行えるようにする

最終更新:5月11日(土)8時33分

産経新聞

 

PR

PR

注目の情報


PR

注目の商品・サービス

PR