柔道の世界選手権（８～９月、リオデジャネイロ）代表最終選考会を兼ねた全日本選抜体重別選手権（１１～１２日、福岡国際センター）に向け９日、有力選手が福岡市内で会見した。

　大会後にロンドン五輪代表が発表された昨年に比べれば注目度は低く、五輪金メダルの松本薫（２５＝フォーリーフジャパン）も欠場とあって今大会の話題は少ない。これまでは夕方に地上波で中継してきたフジテレビは両日ともに深夜に放送する。

　もっとも現在の柔道界といえば、注目はパワハラや助成金の不正利用など一連の不祥事。会見でも、男子９０キロ級の西山将士（２７＝新日鉄）が「報道されている内容が事実なら個人的には悔しい。一生懸命やるので試合にも注目して」と呼びかけた。

　ただ、盛り上げようにも、なかなか難しい状況にはある。あるフジテレビ関係者は「普通に考えれば、本来はそうした不祥事を入り口にして大会の話題を盛り上げていくところ。でもうちじゃそこは最低限しか触れられない」と頭を悩ます。理由はやはりあの問題。

「全柔連との関係を壊したくないというのもあるけど、不祥事について触れれば、自分たちの首をまた絞めることになる」（前出の関係者）

　昨年は、ロンドン五輪代表の発表の瞬間を生中継。ところが、選出された選手と落選した選手の表情を同じ画面に映し、各方面から「残酷」と批判を集めた。

　問題は尾を引いた。園田隆二前女子日本代表監督（３９）のパワハラ問題で選手側の代理人弁護士が２月に発表した選手の声明でも、フジの代表発表シーンの中継が批判され、フジの豊田皓社長（６７）が謝罪した。これでは、“不祥事イジリ”はできそうもない。低視聴率に苦しむフジテレビだが、こんなところにも負の連鎖が波及している。