その強烈なボケぶりから“芸人から恐れられるグラドル”の異名を持つ谷桃子（２８）が、東京・銀座で、大手芸能プロのスカウトマンを名乗る男にバッグを盗まれる事件が起きていた。窃盗の疑いで警視庁渋谷署に８日逮捕されたのは、千葉県船橋市の無職庄司大輔容疑者（３１）。大相撲の不知火親方（６４＝元関脇青葉城）の長男とみられる同容疑者のダマシの手口は風変わりで、なかなか巧妙だった。

「このたびは、私の人を疑わない不注意さの為に、被害に遭ったわけですが、騙されて、盗難にあった身からすると、物的な喪失感と、心の喪失感たるや、なかなか言葉で表現できない、とてもつらいものです。今回の事件に遭ってから、振り込め詐欺など、犯罪のニュースに敏感になりました。悪質な犯罪が後を絶たない世の中で残念ですが、皆さんには、私の事件を契機に、気をつけていただければと切に願っています」

　所属事務所を通じて８日に出したコメントが、谷の傷心の大きさを物語る。事件のあらましは以下のようなものだった。

　３月４日午後７時半ごろ、銀座を歩いていた谷に、庄司容疑者がスカウトマンをかたり声を掛けると谷はコロッとだまされた。お笑いコンビ「バナナマン」のマネジャーと身元を偽ったという情報もある。

　意気投合した２人が、一緒に向かった先は有楽町のファッションビル。宣伝写真用の洋服を買おうと、谷が試着している間「荷物を見ていてあげる」と預かるふりをし、現金６万円入りのショルダーバッグ（総額１０万円相当）を持ち去った。出会いから約１時間半後の午後８時５５分ごろのことだった。

　――というのが逮捕容疑。「芸能関係の職歴ゼロ」（渋谷署）の男になぜ、谷は引っ掛かったのか？

「容疑者は芸能オタク。谷さんが『ドライブＡ　ＧＯ！ＧＯ！』（テレビ東京系）で共演していたお笑いコンビの名前を出し、『お世話になりました』などと業界トークをして、谷さんはすっかり信じ込んでしまったようだ」（捜査関係者）

　庄司容疑者はバナナマン以外の芸能人の名も出して、自らを信用させようとしたようだ。

　グラドルがダマされるぐらいだから、さぞやギョーカイ的なイケメンかと思いきや「話はうまいが、女性が思わず付いて行くようなイケメンではない。服装もオシャレとは言えず、スエット上下でスカウトする日もあった。芸能事務所の名刺も作ってなかったし、アラはあった」（前同）。

　谷の所属事務所は「現金は使われていましたが、携帯電話はジャケットに入れていて（盗まれずに）無事でした。犯人宅には、谷のレギュラー番組のテレビ局入館証や献血カードが飾ってあったと聞きました」とオタクぶりも聞かされていた。

　実は庄司容疑者と同一人物とみられる男の逮捕が３月上旬、一部で報じられていた。「元青葉城の長男逮捕　スカウト名乗り、女性から窃盗容疑」という見出しで、２月に渋谷区の路上で女性の財布を盗んだとして窃盗容疑で逮捕されたことが伝えられている。

　記事によると、庄司容疑者は「芸能事務所のスカウトをしている」と女性を食事に誘い、トイレに行ったすきに窃盗行為におよんだ。同様の手口による余罪の疑いも多数指摘されたというから、谷の事件もその一つである可能性が高い。

　服装も顔もおよそ芸能界とはかけ離れていた庄司容疑者だが“オタク知識”をもとに軽妙なトーク力で、犯行を重ねていたようだ。同様の被害は昨年ごろから原宿を中心に３４件報告されているだけに、余罪の追及も厳しく行われるとみられる。

　容疑者逮捕に「少しホッとしていますが、近いうちに『厄除け』のお参りに行って、心機一転お仕事を頑張りたい。『盗難除け』に良いところありましたら、皆さんご紹介ください」と谷はコメントを結んだ。