自民党:改憲、参院選公約の柱に 「96条先行」前面に
毎日新聞 2013年04月26日 22時36分
自民党は26日の政調全体会議で、7月の参院選公約の柱の一つに「憲法改正」を掲げる方針を決めた。安倍晋三首相の強い意向を反映し、憲法改正に必要な要件を定めた96条の先行改正を前面に出したのが特徴。ただ、連立与党の公明党は改憲の争点化に反対で、「96条先行」にも慎重な立場。自民党との対立を避けるため、参院選ではあいまいさを残し時間を稼ぐ戦略だ。
「公明党と参院選前にけんか別れしかねない」。自民党幹部は96条の先行改正に急速にかじを切った首相の姿勢に懸念を表明した。
自民党の参院選公約の柱として決まったのは、復興▽経済▽外交・安保▽安心▽地域▽教育▽政治・行政▽憲法改正−−の8項目。
憲法改正は昨年の衆院選では大きな柱とはしておらず、党参院選公約検討委員会(宮沢洋一委員長)も衆院選並みの扱いとし、「政治・行政」の一部とする方向で検討していた。だが、首相官邸側が「首相の意向」として柱立てするよう求め、扱いを変更したという。
首相は現行憲法を「占領軍が作った」として改憲に向けてアクセルを踏んでおり、23日の参院予算委員会でも「参院選で堂々と96条改正を掲げて戦うべきだ」と答弁。報道各社の世論調査でも改憲支持が増えていることから、争点化が得策と判断した模様だ。
一方、公明党は「平和」が党是。改憲要件を緩めれば、「戦争の放棄」を規定した9条改正につながりかねず、支持母体の創価学会幹部は「(96条先行の)容認は難しい」と断言する。だが、26日の党憲法調査会では、96条の先行改正に反対する方針は決めたものの、96条改正自体への賛否は当面は明確にしないことも確認した。
党幹部は「既に支持組織が走り出しており、参院選での争点化は避けたい。参院選後、時間をかけて説得に努めるしかない」と話す。ただ、自民党の目標が9条改正にあるのは明白で、選挙後に自民党の改憲論とどう向き合うか、確かな展望は見いだせていない。【横田愛、福岡静哉】