憲法と、
岐路に立つ憲法。その60年余を見つめ直します
【社会】福島第一作業員 違法派遣 延べ510人東京電力福島第一原発の事故収束作業に延べ五百十人の作業員を違法に派遣していたとして、厚生労働省長崎労働局は、大和エンジニアリングサービス(長崎県佐世保市)など三社に改善命令を出した。 労働者派遣法違反(違法派遣)と職業安定法違反(多重派遣)で改善命令を受けたのは、大和社のほか創和工業(佐世保市)とアグレス(長崎市)の三社。 労働局によると、創和工業、アグレスの両社は二〇一一年七月一日〜八月九日の間、他社から派遣を受けた作業員延べ計百六十九人と、自社で雇用した作業員延べ計三百四十一人を大和社に派遣し、大和社は福島第一で配管工事に従事させていたとされる。 いくつもの業者が介在する多重派遣は、中間搾取や雇用責任が不透明になる問題があるため禁止され、建設業への派遣も禁じられている。 本紙の取材に対し、大和社は「請負契約であり、多重派遣ではない」などと違法派遣を否定していた。 この問題では、長崎県出身の元男性作業員(46)が昨年七月、長崎と東京の労働局に違法派遣のほか、約束された賃金が支払われないと申告した。 男性らによると、雇用の際は日当一万四千円の約束だったのに、実際には一万千円しか払われず、さらに一日二万円の危険手当も支払われなかったため、計六十三万円の支払いを求めた。だが、地元の労基署が男性の直接の雇用先である下請け会社に指導したのは、残業代など計約一万四千円だけという。 本紙の取材に対し、男性は「多重派遣など違法な派遣が認められたのは一歩前進」と話した。ただ、賃金問題が未解決で、「約束した日当も払わず、危険な作業をして高い被ばくをしたのに、危険手当の支払いも認められていない。自分以外にも多重派遣の中でピンハネされている人はたくさんいるはずだ」と解明を求めた。 男性は建屋外での作業だと説明されたが、放射線量が高い1号機の原子炉建屋内で二十キロの鉛板を背負って急階段を駆け上がるなど高線量の作業を担当。臨時に線量の高い作業ばかりを担当する「高線量要員」だった。 男性を担当する日本労働弁護団の水口洋介弁護士は「申告から命令が出るまで時間がかかりすぎている。この問題は氷山の一角で、国はさらに調査し、改善することが必要」と話した。 東電の福田俊彦原子力品質・安全部長は十日の記者会見で、発注者責任への考えを問われたが、「内容が分からないので、確認させてほしい」と述べるにとどまった。 PR情報
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