西王母 せいおうぼ
Xi-wang-mu
 中国古代の仙女。崑崙山或いは群玉山に住む神仙といわれ、仙女の世界の女王的存在として長く民間で信仰された。東王父と並び称され「山海経‐西山経」によれば、人面・虎歯・豹尾・蓬髪とあるが、次第に美化されて「淮南子‐覧冥訓」では不死の薬(三千年の桃)をもった絶世の美女とされ、さらに周の穆王が西征してともに瑶池で遊んだといい(「列子‐周穆王」「穆天子伝」)、長寿を願う漢の武帝が仙桃を与えられたという伝説ができ、漢代には西王母信仰が広く行われた。

勢至菩薩 せいしぼさつ
Mahā-sthāma-prāpta
 仏教において、阿弥陀三尊の一。「大勢至」、「大精進」、「得大勢」ともいわれる。阿弥陀仏の右の脇侍菩薩で、智慧の光でいっさいを照らし衆生を餓鬼・畜生・地獄の三悪道から救い、臨終には来迎して極楽に引導するという菩薩。宝冠中に宝瓶をつける。

青竜 せいりゅう
???
 中国において四神の一柱とされている神聖な。「せいりょう」、「しょうりょう」とも読む。通常の竜と姿はかわらないがその名の通り青い体をしており、ときに頭だけ白や黄色で描かれることもある。五行思想にしたがって東方を守護し春に出現する。日本では夢殿にこもった聖徳太子の魂だけが青竜に乗って中国に渡り仏教の経典を取ってきたという話がある。

セェレ
Seere
 ユダヤの魔神でソロモン王に封印された72柱の魔神の一人。トウモロコシ色の長髪の男の姿をしており、呼び出されると翼の生えた馬に乗って出現するという。何でもできる天才で、不可能なことは存在せず、しかもまばたきするだけでそれを行うという。またそばにいる人間に幸運をもたらす能力があるので彼が特別何をしなくても彼を呼び出した人間には幸運が訪れるという。

セクメト
Sekmet
 エジプトの都市メンフィスの主神プターの妻で、雌ライオンの頭を持った女神。ライオンのように恐るべき力を誇る戦いの神で、「強力な者」という称号を持ち、戦いと疫病を司る。人類が主神レーに謀反を起こしたとき、セクメトは地上をめちゃくちゃにする。しかし、無類の酒好きで、大地に振り撒かれたビールを飲み干して酔っ払い、お陰で人類は絶滅の危機を逃れたという。

セト
Set
 エジプトにおける悪神。エジプトの他の神によく見られるように獣頭神で、黒豚やカバ、ワニの頭を持っているとされることもあるが、本来セトの頭についている動物は謎とされており、普通「セトの動物」と表現される。その形は犬や狐のようだが鼻の部分は鳥のクチバシのように長くなっており、耳は角張っている。もともと夜の闇を支配する戦闘の神であり、太陽神レーが天空を航海する時はセトが船の先頭にたってアポピスと戦ったという。ゲブヌトの間に生まれた神で、オシリスイシスの弟にあたる。兄オシリスの持つエジプト王位を奪うためにオシリスを騙して箱に詰め、ナイル川に投げ捨てたが、イシスがそれを見つけオシリスを隠匿した。それに見つけたセトはオシリスの遺体を14に分けエジプト各地にばらまいてしまう。結局オシリスはイシスの尽力により蘇るが、彼の矛先は次はオシリスの息子であるホルスに向く。

セドナ
Sedna
 イヌイットに伝わる恐ろしい海の女神。一つ目で指が無く、巨大で荒々しく、邪悪な死者を眷属としている。セドナは元々人間であったが、人間に化けた海燕に求婚され、これを受けた。セドナの父親はこれに怒ってセドナを彼のもとから引き剥がし、船に乗せて帰ろうとした。その時途端に海が荒れ大嵐になったので、父親はこれが彼の復讐だと考え、恐怖に駆られてセドナを海に投げ込んで自分だけ助かろうとした。しかしセドナが必死に船べりにしがみつくので、父親は櫂でセドナの左眼をつぶし、斧で指を叩き切った。こうしてセドナは海のそこにすむ神になったのだという。

ゼパル
Zepar
 ユダヤにおける魔神でソロモン王が封印した72柱の魔神の一人。召還されると兵士の姿で現れ、赤い鎧を着て足を引きずっているという。女性の心を自由に変えてしまう力を持ち、どんな下らない男に対しても熱烈な恋心を抱かせることが出来る。このためゼパルが呼び出されると、全ての人間は淫らで恥ずべき者に変わってしまうという。またゼパルが女性に触れるとその女性は決して妊娠できない体になってしまうといわれる。

セベク
Sebek
 エジプトにおける邪神。ワニの姿、或いはワニの頭を持つ男性の姿で描かれる。母はネイト神、父はセヌイ神(神牛メテイエルを母とする記録もある)。早くからレーと結びつき、「セベク・ラー」として信仰された。この場合のセベクは光の神で、豊穣をもたらす神でもあった。だが、本来はその姿が示すように恐怖をもたらす神で、陰険で貪欲な捕食者としてのワニを象徴とするセベクは、大悪人として描かれることも多い。実際、「ワニの上のホルス」とか、「ホルスの石柱」といった図が残されている。しかし、ワニの用心深さや力強さ、執念深さ、突然の攻撃といった属性は、王として持つべき利点でもある。そのためセベクは王の守護者としても知られている。またエジプト人にとって、水辺に棲むものはよい運勢をもたらす神秘の力を持った生き物であり、この為、セベクは洪水を支配する力を持つとされる(エジプトの洪水は肥沃な土壌をもたらし農業には欠かせない)。

セベツ
Sebettu
 アッカドにおける悪魔の総称。セベツには善良なものも邪悪なものも含まれる。特に邪悪な七人は天空神アンの子孫とされる。

セラフ
Seraph
 カトリックにおける最高位の天使のこと。複数形では「セラフィム(Seraphim)」、日本では「熾天使」と呼ばれる。普通の天使と同じように翼の生えた人間の姿をしているが、その翼は3対(6枚)ある。その翼の羽の一枚一枚がまるで孔雀のように目の模様を持っているともされる。その翼のうち2枚で顔を隠し、2枚で足を隠し、残りの2枚で空を飛ぶ。神に一番近い存在であり、神に対する愛が異常に大きい為にその愛で身体が燃えているとも言う。また古代では空を飛ぶ蛇の姿をしているとも考えられた。

セルキー
Selkies
 スコットランド北東岸沖のオークニーやシェトランド諸島に棲むアザラシの姿をした妖精の一種。「セルキー」とはそのままオオアザラシという意味だが、この種類のアザラシは毛皮を身につけた妖精であって、それを脱ぐと人間の姿になると考えられていた。人間の姿になると男のセルキーは人間の女性にちょっかいを出し、女のセルキーは脱いだ毛皮を奪われると海に帰ることが出来なくなり、毛皮を奪った人間の男と結婚するという。

 せんぎょく
Zhuān-yù
 顓(セン):Unicode9853,頊(キョク):Unicode980A
 中国神話における五帝(→三皇五帝)の一人。黄帝についで中国を治めた神。「高陽氏」とも呼ばれる。黄帝の曾孫で、の祖先にあたるという。当初は北方の天帝だった。洪水神共工と帝王の座を争い、打ち負かした。または上帝になると、神も人間も天界と地上を自由に交通できるほどだった天地を孫の天神に命じて大きく引き離し、自由な交通を断った。

センツォントトチティン
Centzóntotochtin
 「酩酊する無数の神々」。アステカにおいて数多く存在する、プルケ(マゲイないしリュウゼツランから作られるアルコール飲料)と酩酊の神々をひとまとめにしてさす呼称。字義は「400羽(=無数)のウサギ」。マゲイの女神マヤウェルとプルケ酒の神パテカトルはこの神々の象徴的な両親である。この2神のほかにテスカツォンテカトルなどがいる。

銭塘竜王 せんとうりゅうおう
Chientang-lungwong
 中国浙江省の北部を流れる銭塘江を支配する水神。洞庭神君の義理の叔父。洞庭竜王の弟。銭塘江では河口地形や、潮流の関係で川が凄まじい勢いで逆流する、「大海嘯(だいかいしょう)」と呼ばれる現象が起こる。この為、銭塘竜王も極めて激しい性格を持っているものと考えられた。天帝神の時代に腹立ちまぎれに中国全土を大洪水にして、また後に天界の将軍と争って再び天下を水没させた為に、神位を剥奪されて謹慎処分を受けたほどである。