中国鳥インフル:日本上陸に備え 指定感染症に
毎日新聞 2013年04月24日 11時46分(最終更新 04月24日 16時27分)
厚生労働省は24日、中国で感染が拡大している鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の患者が国内で見つかった場合、感染症法に基づき、強制的な入院や就業制限ができる指定感染症とする方針を決めた。検疫法に基づき、患者と疑われる人を空港で強制的に検査できる検疫感染症にも指定し、人から人に容易に感染する新型インフルエンザへの変異に備える。関係政令を閣議決定し、5月上旬に施行される見通し。
感染症法は、危険度に応じて感染症を1〜3類に分類。それ以外にも、マラリアなど動物や昆虫から感染する感染症を4類、季節性インフルエンザなどを5類と定めている。指定感染症に指定されると1〜3類相当の緊急的対応が可能になる。H7N9型は現在、4類とされている。
鳥インフルエンザでは、重症化しやすいH5N1型が2類に分類されている。厚労省はH7N9型について▽重症事例も多く感染者が急増している▽鳥から人に感染しやすくなっている恐れがある▽中国と日本は人の往来が盛んで日本で患者が見つかる可能性もある−−と分析。H5N1型と同じ対応を取る必要があると判断した。
指定感染症の指定は最大2年間。都道府県知事は患者に入院を勧告し、拒否した場合は強制的に入院させることが可能になる。一定期間の就業を制限することもできる。
検疫感染症指定により、中国への渡航歴があり、38度以上の発熱や肺炎症状が出ている人を空港や港で確認した場合は、H7N9型への感染の有無を検査できるようになる。
就業制限拒否には50万円以下の罰金、検査拒否には6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金という罰則規定がある。H7N9型が新型に変異した場合は分類が見直され、13日に施行された新型インフルエンザ対策特別措置法が適用される。
これまでは、03年7月に新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)が最も危険とされる1類相当の指定感染症に指定された。H5N1型は06年4月に2類相当に指定。その後の法改正でそれぞれ2類となった。【桐野耕一】