ズー
Zu
メソポタミア神話における、神々の王権の簒奪者にして嵐の鳥。ライオンの頭を持った猛禽類の鳥の姿をしている。ズーは神々の神殿の門番をしていたが、邪心を起こし、世界の至高の支配者である証で、それ自体に神々と生物の天命を決める力のある書版「トゥプシマティ」を主神
エンリルから奪い取った。しかし、エンリルの息子
ニヌルタとそれに協力した神々の前に敗れ去りトゥプシマティを奪い返され、今はまた門番として退屈な日々を過ごしている。
水天
すいてん
密教で、十二天・八方天の一。水をつかさどる竜神で、また、西方を守護する神。その像は、種々あるが、いずれも羂索を執り、冠の上に五竜を頂き、亀の背に乗って水中にある。右手に剣を執るものもある。
スィトリ
Sytry, Sitri, Bitru
ユダヤにおける魔神で、ソロモン王に封印されたという72柱の魔神の一人。ビトルとも言う。「魁偉公子」と称する。人間の身体に豹の顔、背中にグリフィンの翼を持った姿で出現する。ただし、顔については虎やライオンなど、その他の様々な野獣の顔に変化する。また見たこともない壮麗な男性や官能的な女性の姿をとることもできる。その魔力は愛と性に関する全てを支配する力があり、呼び出した人間が頼めばどんな女性であっても素っ裸にして連れてきてくれるという。
スヴァローグ
Svarog
スラブ神話における天空神。主神とされることもある。太陽神
ダジホーグや火神スヴァロギッチ(スヴァローグの別名とされることもある)を産んだ。かつては全宇宙を支配していたが、その後万物を創造する至高の力を息子達に譲り渡したという。
スヴィトヴィト
Svitovit
バルト海沿岸の西スラブ諸族に信仰された軍神。「スヴェンヴィト」とも呼ばれる。背が高く、四方にそれぞれ顔を持ち、右手には酒を満たした牡牛の角を持った像で表される。豊穣の神でもあり、天の神にして太陽と火の父ともされる。一説ではスラブ土着の神がスカンジナビアやゲルマンの軍神と融合した姿ではないかと説かれる。
スカジ
Skaði
北欧神話において、巨人族の出身だが、
アサ神族の一員とされた女神。その名前は「傷つける者」を意味するが、「神々の麗しい花嫁」とも称される。巨人族の
シアチの娘。
バナ神族の
ニョルドの嫁となるが、スキーを履き、弓を携えて山中を駆け回ることを好むスカジと、港の守護神であるニョルドの結婚生活は上手くいかず、結局スカジはシアチとすんでいた山中の宮殿「スリュムヘイム」へと帰が、結局
オーディンの妻となる。
スカンダ
Skanda
ヒンズー教の最高神である
シバと女神
パールバティとの子とされ、ベーダ文献や叙事詩に登場する。また、スカンダについて述べられた「スカンダ・プラーナ」という名の聖典も造られた。その姿は1、6頭、2,12臂など色々な形を取り、いずれも武器を手にし、孔雀を連れた軍神とされている。シバとパールバティーの幾百年にもわたる性行為に大地は震動し、それに恐れをなした神々が火神
アグニを派遣してその休止を願った。その結果シバの精液をアグニが浴び、その威力に耐えかねてアグニはそれはガンジス川に捨てたといわれ、そのためスカンダはアグニとガンジス川の子ともいわれる。スカンダは6人の星宿(星座)に養われて軍神に成長し、悪魔の長ターラカを征服して神々を安心させた。また彼は悪魔パーナの逃げた大山クラウンチャを破砕しその威力を示した。クマーラ、カルケッティーヤ、スプラフマニヤなどの別称がある。仏教では増長天の八将軍の一、韋駄天に帰化する。
スケルス
Sucellos
大陸のケルト神話において、小川を意味する名前をもつナントスウェルタを妻に持ち、しばしば
ディス・パテールと同一視されるガリア人に崇拝される冥界神。髪が長く、ヒゲを生やしたずんぐりした身体をしていて、犬を連れており、手には雷撃の象徴であるハンマーを持っている。そのため別名「上手な打ち手」と呼ばれ、雷神とされることもある。ケルトでは彼の持つハンマーといつも連れている犬とが、冥界を表す記号だと考えられている。またスケルスは酒樽やビールのジョッキとともに描かれることにあり、これが麦やブドウの実りを意味するため、ハンマーが創造を意味する武器であることと合わせて、この神を豊穣神と位置付ける場合もある。このようにあまり神格が明確ではないが、少なくともケルト民族が自分たちの生と死について深い興味を抱き、その死への関心をスケルスに代表される神々に託していることは確かだ。
素戔嗚神
すさのおのかみ
日本において記紀・風土記などに見える英雄神。「須佐之男神」とも書く。
伊邪那岐神・
伊邪那美神の息子であり、
天照大神の弟。その凶暴さによって高天原を追放され、出雲に下った。
八岐大蛇を退治、
奇稲田姫神と結婚して宮を営んだ。後に子とともに新羅に渡り、わが国に植林法を伝えたという。暴風神・農業神・英雄神など多面的な神とされる。
ストラス
Stolas
ユダヤにおける魔神で、ソロモン王に封印されたという72柱の魔神の一人。「鴉公子」と称する。オオカラスやツグミ、あるいはフクロウに似た奇怪な鳥の姿をし、銀の爪を持ち、眼のまわりは赤いという。ときには人間の姿でも出現する。薬草や霊石の知識に詳しく、その魔術的効能について教えてくれるほか、占星術にも通じており、その知識を与えてくれる。
ストラス
Stolas
ユダヤにおける魔神で、ソロモン王に封印されたという72柱の魔神の一人。「鴉公子」と称する。オオカラスやツグミ、あるいはフクロウに似た奇怪な鳥の姿をし、銀の爪を持ち、眼のまわりは赤いという。ときには人間の姿でも出現する。薬草や霊石の知識に詳しく、その魔術的効能について教えてくれるほか、占星術にも通じており、その知識を与えてくれる。
砂掛け婆
すなかけばばあ
日本の兵庫県や奈良県に出現した妖怪。神社や森の木の上にいて、人が通ると木の上から砂を振りまいて驚かす。姿を見せることは無く、本当に砂を掛けられることもあれば、砂を撒く音が聞こえるだけのときもある。
脛擦り
すねこすり
岡山県に住む妖怪の一種。夜に出現するのではっきりした姿を見た者はいないが、全体的に子犬に似た小さな獣のような姿をしていて、雨の日に限って、歩いている人の足元にすりよってきたり、足の間を通ったりする。雨が降っているので早く帰りたいのに、脛擦りに会うと転びそうになったりいっこうに道中が進まなくなる。しかし薄気味悪がって振り返ってみても姿は見えないという。
スパンキー
Spunky
スコットランド低地地方に出現する鬼火のようなもの。洗礼を受けずに死んでしまった子供の霊が青白く光る炎となったもので、天国へも地獄へもいけずに最後の審判の日まで地上をさまよい続けなければならないとされている。ハロウィンの日はスパンキーにとって特別な夜で、スパンキーはこの年に死んだ人々の霊の道案内をするという。そのためハロウィンの夜には古い教会にたくさんのスパンキーが集まって飛び回る姿が見られるという。
スプリガン
Spriggans
イギリスのコーンウォール地方に棲む妖精の一種。老人の姿をしており、古代の巨人達が作った環状列石や地下に埋もれた財宝などを守っているといわれる。普段は小柄な姿をしているが身体の大きさを自由に変えることが出来る。古代にこの地方で暮らしていた巨人達の幽霊だとも言われている。妖精たちの宮廷のボディーガード役でもあって、妖精たちをいじめるような者がいると戦うために出かけていくが、こんなときは歩くうちに身体がどんどん大きくなるという。
スペンタ・アルマイティ
Spenta Armaiti
ゾロアスターの宗教改革以前に存在していたと思われる、古代ペルシアの神。ゾロアスター教では「聖なる不死者」
アメサ・スペンタの一人、
アフラ・マズダの一つの面として取り込まれた。大地の庇護者で、服従と献身を象徴し、あらゆる人間の霊的な母親であると広く信じられた。「わが母はスペンダルマト、すなわち大地の主天使、わが父はオルマズド、すなわち英知の神なり」という言葉を人々は教えられたという。
ある伝承では大初の人間ガヨマートの母だったとされる。スペンタ・アルマイティという名前は「知恵」もしくは「献身」と訳される。
スラオシャ
Sraosha
古代ペルシア神話において、「崇拝に値する存在たち」
ヤザタの一人。最高神アフラ・マズダを崇拝する者達は、スラオシャを媒介してアフラ・マズダに祈るため、「アフラマズダの耳」あるいは「祈りの聞き手」として知られる。夜の間スラオシャは被創造物の全てを邪悪な悪霊たちから守るという。
スーリヤ
Surya
インド神話における太陽神の一人で、プラーナ文献では3つの目、4本の腕を持った濃い赤色の人間の姿で描写されている。そしてしばしば赤い蓮華の上に坐し、体からは栄光の光線が放射している。スーリヤは暗黒を払い、人々を覚醒させて活動を促し、諸神の目として下界の生類の行動を看視する。暁の神ウシャスの恋人としてその後を追い、7頭の馬のひく車を御すともいわれる。また飛んでいく鳥にたとえられることもある。
ズルヴァン・アカラナ
Zurvan Akarana
古代ペルシア神話で、善の原理
アフラ・マズダと悪の原理
アンラ・マンユを生んだ超越的存在とされるもの。ゾロアスター教ではアフラ・マズダこそ唯一の真の神で、アングラ・マンユと永遠に対立していると説く。この明快な二元論は、時を経ると共に鮮明になったが、アフラ・マズダが絶対唯一全能の存在であるならば、アンラ・マンユも彼によって創造されたものでなければならない。この矛盾を回避するのがズルヴァン・アカラナ、つまり「無限の時」という概念である。
ズルヴァン・アカラナは元々、古代ペルシア神話の重要な神であったかもしれない。しかしゾロアスター教以後の何百年かが経過するうちに、ズルヴァン教と称される一派の信者たちは、ズルヴァン・アカラナを善悪を超越した大初の永遠の存在であり、ズルヴァン・アカラナによってアフラ・マズダとアンラ・マンユは創られ、両者は被創造物を支配しようとして戦うようになったのだと考えた。
スルト
Surt
北欧神話において、火の国ムスッペルヘイムの門番をしているとされる巨人。手に炎の剣を持っている。ムスッペルヘイムは南の果てにある国で、この世が始まる前から存在するが、あまりにも熱いのでそこに生まれたものしか住めないし、近くに住むものもいないとされている場所。スルトは門番なのでその場所からあまり動かず、神話に登場する機会も少ないが、この世の終わり(ラグナレク)ガ来ると火の国の他の民たちと一緒に神々を打ち倒し、世界を燃やし尽くすとされている。
スレイプニル
Sleipnir
北欧神話の主神
オーディンが乗っていた八本足の名馬。悪神である
ロキが雌馬に化け、スヴァジルファリという怪力の馬と交わった時に生まれたとされる。非常に俊足で、巨人フリングニルの馬と競争したときは、相手が馬に跨るよりも速く、はるか彼方の丘を越えていたという。地上や神々の住む国だけでなく、死者たちの住む地獄にまで休むことなく走り続ける能力を持っている。この世の終わり(ラグナレク)では、怪物たちと戦う為にオーディンを乗せて戦場に赴くという。