ヘイムダル
Heimdallr
 北欧における神。ヴァン神族かアース神族かははっきりしない。オーディンが父だとされることもある。また9人の母親から生まれたとされ、母親達は波の化身である海の娘の姉妹達だといわれている。歯が純金でできているために「黄金の歯をした者」という異名を持つ。「白きアース」とも呼ばれ、古代北欧では剣のことを「ヘイムダルの頭」と表現した為、鋭い角を生やした牡羊が神格化した存在だと考えられる。北欧神話における人間の始祖リーグと同一視され、奴隷と農民、そして士族の父となった。昼夜に関わらず遥か遠くまで見える鋭い視力と、草や羊の毛が伸びる音を聞き取れる耳、そしてその巨体を見込まれ、アース神族の世界(アスガルズ)の入り口にかかっているビフレストという虹の橋で見張り番をしている。またギャルラールホルンという名の角笛を持ち、ヨツン(巨人)族がアスガルズに攻め込んできたときなどはこの角笛を吹いて神々を決戦に呼び立てるという。ラグナレク(終末戦争)においては巨人族に寝返ったアース神ロキと戦い、相討ちになるという。

ベサラオ
Bezalao
コキ・ベセラオ

ヘズ
???
 北欧におけるアース神の一人。オーディンが父。「バルドルの子」と呼称されることから、母親はオーディンの正妻であるフリッグであると思われる。力が強いが盲目の神で、その理由は神話では語られていない。ロキの謀略によって知らずに兄バルドルを殺害してしまった為、邪悪な性質の神ではないものの、「忌むべきアース神」と呼ばれる。オーディンとリンドの間に生まれたヴァーリの手にかかり殺される。ラグナレク(終末戦争)を迎え、現在の世界が滅びたあと、ヘズはバルドルとともに死者の国から帰還して、新たな世界の神になるといわれている。

ベストラ
???
 ???

ベタオ・ヨソビ
Betao Yozobi
 →ピタオ・コソビ

ベタホショナ
Betahoxona
コサーナ

ペナテス
Penates
 ローマにおいて、食品を入れる戸棚(ペヌス)の二人一組の神。昔から家庭において信仰が厚かった。後にローマにとって非常に重要な神となり、ローマの中央広場にあるヴェスタ神殿に祀られ、全国家の守護神と考えられるようになった。ヴェスタのほかにラレスとも密接に結び付けられた。「ペナテスはトロイアでも家庭の守護神として崇められていた」とローマ人は考えていて、トロイア戦争末期に英雄アイネイアスが燃え盛るトロイアからペナテス神の神像を両腕に抱えて運び出し、ラティニウム(ローマの前身にあたる都市)の神殿に納めたとされる。つまりローマ人はペナテス神を「ローマがトロイアの子孫である」証拠と考えていた。
 ローマの守護神となったペナテス神は槍を携えて座っている二人の戦士像としてあらわされた。同じように二人一組の神であるギリシアのディオスクロイや、プリュギアの古い神で後にギリシアに取り入れられたカベイロスと同一視された。

ヘーニル
???
 北欧神話において人間の創造に携わった神。アース神族だと考えられている。しかし、古代北欧において崇拝されていた神ではないらしく、神話の中でも信奉すべき神々の序列には名を連ねていない。足が長く姿は美しいが器量に乏しい神だといわれている。オーディンの随行者として知られ、ロキとともにしばしばオーディンのたびに同行しているが、大きな働きはしていない。最初の人間であるアスクとエムブラが、それぞれトネリコとニレの木から作られたとき、オーディンが息を吹き込み、ヘーニルが心を授け、ロドウルが体温と姿形を与えたという。

ベヒーモス
Behemoth, Bahamut
 ベヘモスとも言う。

ペヨーテ
???
 ネイティブアメリカンの間で、「聖なるペヨーテ」と呼ばれている精霊。植物の神でペヨーテとはサボテンの一種の名前でもある。荒涼とした地において、サボテンから得られる水は貴重なものであり、ペヨーテはサボテンの群生している場所を教えてくれたり、薬草の使い方を教えてくれたりするという。

ペリ
Peri
 イランの高原地帯に住んでいる妖精の一種。背中に翼の生えた人間の姿をしており、魔法を使うことが出来る。男女とも理想的な姿で、男性は威厳があり、女性は美しい。四大元素の中の火から作られた妖精で、麝香や紫檀などの香木のかおりを食べて生きている。普段は険しい山の頂上や、深い泉の底にいるが、人間の世界に出てくることもある。ペリの女性が人間の男性と結婚したという話も伝わっている。

ベリアル
Belial, Beliar, Berial Belil
 ユダヤの魔神でソロモン王に封印された72柱の魔神の一人。「偉大なる公爵」、「虚偽と詐術の貴公子」、「炎の王」、「敵意の天使」、「隠れたる賄賂と暗殺の魔神」などと称される。一説によるとトルコの地獄の全権大使だとされている。かつては力天使で、「Satanel(神の使いの意)」と呼ばれていた。「Belial」の語義は「無価値な者」、「悪なす者」、「卑しい者」、「邪悪な者」という意味があり、元は普通名詞であったが、悪魔の固有名詞となった。旧約聖書偽典「ヨベル書」によればノアの数代前に天から降りてきた天使達の長の一人がベリアルであり(もう一人はマステマ)、人間の女性の色香に惑わされ彼女たちと交わり、巨人族(ネピリム)を産ませたので、その罪で天に戻れなくなり、堕天使となったという。ときにサタンと同一視され、「闇の国の王」と呼ばれるときもあるが、一般的にはサタンに次ぐ地位にある堕天使の一人とされる。
 偽り、ねたみ、破壊、患難、捕囚、欠乏、混乱、荒廃などに敏感に反応し、人間を誘惑して堕落の道に引きずり込み、その魂を自分のものとする。とくに姦淫、富裕、聖域を汚すことは「ベリアルの三つの網」と言われる。堕落しきった(しかし美しい)天使の姿であらわれ、炎の戦車にまたがっているとされる(ときに二つの首を持つ)。そこはかとなく気品の感じられる明朗な声で話し、人間の心の中に罪を芽生えさせ、いたずらを助長し、人が怒るのを見て楽しむ。不誠実で何らかの手段を講じない限り正直にはなすことは無いとされる。また仇敵を親友に変える力を持っているという。

ヘリオポリスの九柱神
 
 エジプト神話の創造神レー(ラー)を始めとする血族で、四代目までの神は「ヘリオポリスの九柱神」と称する。ヘリオポリスはレーのもっとも重要な神殿があった都市である。レーは妻を必要とせず、つばを吐き、くしゃみをしてシュー、テフヌトを生んだ(後に涙から人間を創った)。ヌトの子供たちは二組の双子であり、イシスとオシリスは兄妹ながらにして結婚しホルスを生んだ。
                         ┌─────┐
                        ┌┤ イシス │
                        │└──┬──┘
                        │   │
       ┌─────┐  ┌─────┐ │┌──┴──┐
      ┌┤ シュー │ ┌┤  ゲブ  │ ├┤ オシリス │
┌────┐│└──┬──┘ │└──┬──┘ │└─────┘
│ レー ├┤   ├────┤   ├────┤
└────┘│┌──┴──┐ │┌──┴──┐ │┌─────┐
      └┤ テフヌト │ └┤  ヌト  │ ├┤ネフティス│
       └─────┘  └─────┘ │└─────┘
                        │
                        │┌─────┐
                        └┤  セト  │
                         └─────┘

ペリュトン
Peryton
 南ヨーロッパでアトランティス大陸に住んでいたとされる怪鳥。地中海の島々でも目撃されたという。鳥の胴体と翼、鹿の頭と脚を持つ。大きさは人間大。自分自身の影を持たず、光を受けると人間の形の影ができる。一人の人間を殺すと自分自身の本来の影を取り戻すことが出来るため、人間を殺そうと狙っている。一匹につき一人しか殺さないが、必ず群れをなしているので襲われると大変なことになるという。アレキサンドリアに伝わる伝承では、神に見捨てられ死んでいった魂がペリュトンになるとされている。つまり人をたたり殺さなければ浮かばれない悪霊の一種であると考えられる。ペリュトンは人間を殺すことが出来ると、本来あるべき影を取り戻してどこかへ飛び去っていくという。

ヘル
Hel
 北欧神話における冥界の女王。その強大な権限によって女神の一柱に数えられることもある。父はアース神とみなされているが、純潔な巨人族のロキ、母は女巨人のアングルボダ。フェンリルヨルムンガンドは兄にあたり、この3人は「不幸をもたらす三兄弟」と呼ばれる。霧の国ニブルヘイムにオーディンによって放逐され、ヘルという国とその下層にあるニブルヘルという国(どちらも死者の国)と、また全世界の死者の運命を支配する。半身が青黒く、半身は肉の色をしている。外見こそ恐ろしいが、特に残酷な神ではなく、死の国も陰気ではあるが罪人を罰する国ではないという。

ベル
Bel
 セム語で、「主」を意味し、神の呼称に用いられたバールのバビロニア語形。エンリルマルドゥークアッシュルなど、有力神の呼称として用いられた。

ベルゲルミル
???
 ???

ベルザンディ
???
 ???

ベルゼブブ
Beelzebub, Beelzebul, Beelzeboul, Baal-zebub
 ユダヤにおける魔神、大悪魔。七つの大罪のうち「大食(Gluttony)」を司るとされる。魔王サタンルシファー(ルキフェル)と同一視されたり、或いはその片腕とされることが多い。「悪魔の貴公子」と称される。地獄王国の最高君主とも呼ばれ、地獄の支配権をキリストから与えられたとも言われる(またキリストはベルゼブブを使って悪魔払いをしていると中傷されたことがある)。聖書ではペリシテ(パレスチナ南西部の地中海に面する地域)人の崇拝する魔神の一つとされている。本来はベールゼブル、すなわち「館の王」、「神殿の王」という意味で、ペリシテ人の主神(おそらくバール)のことを指していたと思われる。「ベルゼブブ」と名前が変化するとその意味も「蝿の王」に変化するため、羽に交差させた骨と髑髏の紋章を持った巨大な蝿の姿をしているとされたり、或いは使い魔として蝿を使うと考えられた。また一説には人間の姿でもあらわれるという。

ヘル・ハウンド
Hell Hound
 「地獄の猟犬」。イギリスに伝えられる有名な怪物。地方によって「Black Dog(黒犬)」、「Mauthe Doog(モーサドゥーグ)」、「The Bargest(怪犬)」、「The Devil's Dandy Dog(悪魔の愛犬)」など、様々な名で呼ばれている。

ベルフェゴール
Belphegol, Baal-peor, Beelphegor
 ユダヤにおける魔神の一人。七つの大罪のうち「怠惰(Sloth)」を司るとされる。発明と発見の魔神。かつては権天使だったという。その名は「ペエル山の主」或いは「穴の主」で、動物を供物として受け取る。「民数記」第25章によると、ヨルダン河東部ではベルフェゴールにより疫病が起こり、2万4000人が死んだという。中世ヨーロッパの伝承によれば、ベルフェゴールは人間の世界に「真の意味での幸せな結婚」が存在するかどうかを確認するために地獄から地上に派遣され、世界中をまわったが、そんなものはこの世に存在しないと確認したという。普通は女性の姿であらわれるが、洋式便器に腰掛けた角の生えた全裸の男の姿で描かれることもある。

ベールモグ
???
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ヘルモズ
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ペルーン
???
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ベロナ
Bellona
 ローマの古い戦いの女神。ギリシアのエニュオに相当する。マルスの妻であるネリオと同一視され、マルスの妻、または乳母あるいは姉妹とも言われる。手に武器と松明を持ち、マルスの戦車を御する姿で表されることが多い。

ベロボーグ
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弁財天 べんざいてん
Sarasvatī
 「辯才天」、「弁才天」、「辨財天」とも書く。また「弁天」、「弁天様」とも呼ばれる。インドの神であるサラスバティー(薩口羅(←前二文字は一文字)薩伐底)の訳。舌・財・福・智慧・延寿などを与え、災厄を除き、戦勝を得させるという女神。像は、八臂(弓、箭、刀、斈、斧、杵、輪、羂索を持つ)、または、二臂(琵琶を持つ)。後世に吉祥天と混同、あるいは穀物の神である宇賀神とも同一視されて、多く「弁(辨)財天」と書き、福徳や財宝を与える七福神の一神とされた。

ベンディス
Bendis
 トラキアにおける月の女神。

ベンヌ
Bennu
 古代エジプトのヘリオポリスで崇拝された神鳥。青鷺に似ているが、身体は黄金色をしている。太陽神レーと関係が深く、レーはこの世のはじめに混沌の海からベンヌ鳥の姿で誕生し、ベンベン石というオベリスク(記念碑)の上に舞い降りたといわれる。この世の最初に誕生した鳥であることから、ベンヌの鳴き声によってこの世の時間が開始されたとも言われる。古代ギリシャ・ローマの学者たちはこの鳥をフェニックスと同一視した。