ユダヤの魔神でソロモン王に封印された72柱の魔神の一人。「偉大なる公爵」、「虚偽と詐術の貴公子」、「炎の王」、「敵意の天使」、「隠れたる賄賂と暗殺の魔神」などと称される。一説によるとトルコの地獄の全権大使だとされている。かつては力天使で、「Satanel(神の使いの意)」と呼ばれていた。「Belial」の語義は「無価値な者」、「悪なす者」、「卑しい者」、「邪悪な者」という意味があり、元は普通名詞であったが、悪魔の固有名詞となった。旧約聖書偽典「ヨベル書」によればノアの数代前に天から降りてきた天使達の長の一人がベリアルであり(もう一人はマステマ)、人間の女性の色香に惑わされ彼女たちと交わり、巨人族(ネピリム)を産ませたので、その罪で天に戻れなくなり、堕天使となったという。ときに
サタンと同一視され、「闇の国の王」と呼ばれるときもあるが、一般的にはサタンに次ぐ地位にある堕天使の一人とされる。
偽り、ねたみ、破壊、患難、捕囚、欠乏、混乱、荒廃などに敏感に反応し、人間を誘惑して堕落の道に引きずり込み、その魂を自分のものとする。とくに姦淫、富裕、聖域を汚すことは「ベリアルの三つの網」と言われる。堕落しきった(しかし美しい)天使の姿であらわれ、炎の戦車にまたがっているとされる(ときに二つの首を持つ)。そこはかとなく気品の感じられる明朗な声で話し、人間の心の中に罪を芽生えさせ、いたずらを助長し、人が怒るのを見て楽しむ。不誠実で何らかの手段を講じない限り正直にはなすことは無いとされる。また仇敵を親友に変える力を持っているという。