ヒイシ
Hiisi
 フィンランドの叙事詩『カレワラ』に登場する魔神。「ケイトライネン(卑しむべき者)」、「ユタス(ユダ)」など、無数の別名を持つ。ヒイシ自体がカレワラに登場することはほとんどないが、この世の悪いことは何でも「ヒイシのもの」と呼ばれる。例えば、蜂は「ヒイシの小鳥」であり、蛇の毒や蟻の酸は「ヒイシの恐ろしきもの」と表現する。ただしここでいう「悪」とは「強さ」を指す言葉でもある。ヒイシの造った魔の大鹿は頭は切り株、角は柳の枝、足は岸辺の小枝、目は睡蓮のつぼみ、肉は腐木でできており、ヒイシが「暴れて来い」と命じるとラップランド中を荒らしまわった。

ピーエ・ショー
Pije Xoo
コキ・シェー

ピエタス
Pietas
 ローマ神話において祖先を敬う心を神格化した女神。ローマのカピトリヌス丘に神殿があった。

ピーエタオ
Pijetao
コキ・シェー

ピクシー
Pixie
 イングランド南西部のサマーセット、デヴォン、コーンウォールなどに見られる妖精。洗礼を受けないで死んだ子供の霊とも、身体を離れた魂(生霊)ともいわれる。大きさは手に乗るほど小さいが、大きくも小さくもなれるとされている。髪は赤く鼻は上を向いており、やぶにらみの目は緑色で、姿は美しく、いつも緑の服を着ているという。群れで生活し、踊りが好きなので、夜に虫やカエルの鳴き声に合わせて輪になって踊る。イタズラ好きで、旅人を迷わせるが、その場合は上着を裏返しに着ると元の道に戻れる。

ピクス
Picus
 ローマ神話における田園の神。サトゥルヌスの息子で、妻はポモナ、あるいはニンフのカネンスであるとされる。名前はラテン語で「きつつき」という意味で、ピクスは変身することができ特にマルスの聖鳥であるキツツキに変身するのを好んだ。別の説では魔女神キルケの求愛を退けたためにキルケにキツツキに変えられてしまったという。予言の力も持っており、マルスの神殿の木の柱にとまって神託を下したという。未来のこと、特に天気を予言する力を持つと信じられ、畑と家畜の守護者として、農民や牧人に崇拝された。
 伝説によれば、ピクスは息子であるファウヌスとともにローマの第二皇帝ヌマ・ポピリウスに捕まったことがある。ヌマ・ポピリウスはエゲリアから知恵を授かり、ピクスらが水をのみにくる泉のほとりにぶどう酒を置いた。二人は酔っ払い簡単につかまってしまった。ピクスらは様々に変身して王を動揺させようとしたが通じず、やむなくユピテルを天から降ろす方法を王に教えた。こうして王は神の投げる稲妻の避け方や供物の捧げ方を聞き出した。ユピテルは人間一人捧げるように求めたが、懸命な王はニンニク、人間の髪、生きた魚でこれを済ませたという。 またピクスはレムスとロムルス(伝説中のローマの祖)を育てた牝狼(マルスの聖獣)を助けたり、東イタリアの民族移動の先導になったと伝えられる。

日子穂穂手見神
ひこほほでみのかみ
 日本記紀神話にみえる神。「彦火火出見神」とも書く。また「火遠理命(ほおりのみこと)」とも言う。海幸山幸の話の中に出てくる「山幸彦」として有名であり、海幸彦(火照神)の弟で鵜葺草葺不合神の父。猟師である山幸彦と、漁師である海幸彦の兄弟はお互いの仕事に飽きて、互いに道具を取り替えて出かけたが、海幸彦は兄の大切にしていた釣り針をなくしてしまう。釣り針を返すように責められた山幸彦は、塩土神(しおつちのかみ)の計らいにより海神の宮に赴き、海神の娘豊玉姫神を娶り、釣り針と潮満瓊(しおみつたま)、潮涸瓊(しおひるたま)とを得て帰り、兄に釣り針を返した。兄の海幸彦は以前のように魚がつれなくなったと山幸彦に言いがかりをつけたため、山幸彦は潮満瓊と潮涸瓊を使って兄を懲らしめたという。

ビシュバカルマン
Viśvakarman
 インド神話に登場する創造神。名前は「万物を造るもの」の意で、「造一切者」などと訳される。『リグ・ベーダ』の賛歌によると、彼はあらゆる方角に眼、頭、腕、足を有し、その双腕と翼であおいで天地を創造した唯一神であり、また木材や樹木を用いて大地を生産し、天空を開いたという。

ピタオ・コサーナ
Pitao Cozaana
コサーナ

ピタオ・コシーオ
Pitao Cocijo
コシーオ

ピタオ・コソビ
Pitao Cozobi
 字義は「豊富な食料」。「ベタオ・ヨソビ(Betao Yozobi)」、「ロククイ(Locucuy)」とも呼ばれる。メソアメリカのサポテカ人に信仰されていたトウモロコシ(メイズ)の神。南部と山岳サポテカでは、それぞれロククイ、ペタオ・ヨソビと呼ばれる。この神はしばしば"コウモリ神"として登場する。収穫時に最初のトウモロコシの穂を集めるとき、特別な祝祭が行われたが、そこでは地元の家禽が生贄とされた。その血は主要な神々のために13辺のコバル(熱帯樹から抽出される樹脂)の香にふりまかれ、家の中庭にも撒かれた。このコバルは豊作祈願の祈りが唱えられている間に燃やされた。アステカのセンテオトルに相当する。

ピタオ・ペサラオ
Pitao Pezalao
コキ・ベセラオ

ビバスバット
Vivasuvat
 インドの『リグ・ベーダ』に登場する太陽神の一人。インド=イラン時代にさかのぼる神であるが、独立した賛歌はささげられていない。その語義は「輝く者」であり、リグ・ベーダでは死神ヤマおよび人祖マヌの父とされている。

ビュグヴィル
Byggvir
 北欧神話におけるバナ神族フレイの従者であり、相談役。フレイの腹心の友であり、主に対する忠誠心は熱い。俊敏な動きを自慢にする。フレイの耳に入ってしまうほどに小さく、耳元でささやいて助言を与えると言う。ビュグとは「大麦」を意味するため、元々は豊穣神フレイに仕える大麦の精霊だったと思われる。不例はリョースアールヴ(光の妖精)の住みかであるアールヴヘイムの領主なので、ビュグヴィルもその妖精の一人と考えられる。
 ビュグヴィルは石臼で麦粒を引く音やそれをついばむ鶏の声が人格化された存在でもあり、その落ち着きない喋り方をロキjから嘲笑されている。またフレイを罵倒したロキに対して、「骨をひいて砕く」という石臼に関係する精霊らしい怒りの言葉を放っている。 ビュグヴィルの妻ベイラもまたフレイの従者であり、その名前は「蜜蜂」を暗示している。ベイラはミード(蜜酒)を醸すときに必要とされる蜂蜜と、それを集める蜜蜂が人格化され、フレイの従者として位置付けられた存在だと思われる。

兵主部
ひょうすべ
 日本の河童の一種とも言われる妖怪。「ひょうすぼ」、「ひょうぼう」ともいう。夏の間は川にいて、秋になると山に入り、ヒョウヒョウと音を立てながら鳥のように山中を飛び回る。この音からひょうすべという名がついたという。頭はツルツルに禿げているがそれ以外は毛むくじゃらのサルのような姿をしていて、ひょうすべが風呂に入った後には湯舟に一面の毛が浮いているという。

ヒラニヤガルパ
Hraņyagarbha
 インドの『リグ・ベーダ』の賛歌に説かれる世界創造の原因となる存在。「黄金の胎子」の意味で、太初に現われ万有の唯一なる主催者となった。天地を安立し、山や海を生じ、神々の生気となり、神々及び生類を支配し世界の秩序を維持する。神々の上にたつ絶対的・超越的存在。

ビラフグヌールー
 
 オーストラリア東部、ニューサウス・ウェールズのウィラデュリ人やカミラロイ人が信じる女神。「万物の父」たるバイアメの配偶神。人々に祈りに答えて洪水を起こすという。

ビル
Bil
 北欧神話における時を司る女神、月の随伴者。元々は人間だったが、ミッドガルド(人間界)で泉から水をくんでいたところをマーニにさらわれ、その従者とされた。

蛭子神
ひるこのかみ
 日本神話における海の神。日本神話では蛭子神、或いは単に蛭子(あるいは「水蛭子」とかいてひること読む)として登場するが、民間では七福神の一人として「恵比寿(えびす)様」、「恵比寿神」、戎大神(えびすおおかみ)と呼ばれ親しまれている(蛭子と書いてえびすと読む場合もある)。記紀神話によれば、蛭子は伊邪那岐神伊邪那美神の間に生まれた第一子だったが、生育が悪く、3歳になっても足が立たなかった。そのため両神は、葦船に乗せて蛭子神を海に流した。神話ではその後の蛭子神の事は語られていないが、海の彼方の常世の国に渡ったと考えられている。また西宮神社の伝説では、海に流された蛭子神は摂津国西の浦(兵庫県西宮)の海岸に流れ着き、土地の人々は拾った彼を「戎三郎様」と呼んで大事に養い育てたと伝えられている。
 豊漁や航海の安全、交易の守護神であり、また商売を繁盛させて富と幸福をもたらす福神として信仰されている。

ピルツィンテクートリ
Piltzintecuhtli
 若い太陽神として登場するトナティウの若さの表象で、ショチピリの化身の一つでもある。アステカの9人からなる夜の神々ヨワルテウクティンの3番目。

ピルムヌス
Pilumnus
 ローマ神話において産褥にある婦人と赤ん坊をファウヌスの禍から守るとされる神。

飛廉 ひれん
Fei-Ren
 陰陽家でいう方角神の一。この神のいる方角に向かっての土工・建築、または転居・婚儀を行うことを忌み、これを犯すと口舌・疾病その他の患いがあるという。子の年は申(西南西)方、丑の年は酉(西)方、というように、毎年所在の方角をかえ、一二年で一巡する。

ヒロ
???
 イースター島で崇拝されている雨の神。イースター島には川や泉が無く、飲料水の源泉となるのは雨だけであった。このため雨の神であるヒロは非常に重要視された。雨はヒロが流す涙だと考えられており、人々はヒロに泣いてもらう為に祈祷をささげる。元々ヒロとは13世紀にタヒチにいた航海者の名前で、雨神ヒロと彼とは何らかの関連性があると見られる(しかしイースターとタヒチは3000kmは離れている)。