文科省:35人学級化を再検討 学力テストで効果分析
毎日新聞 2013年04月24日 02時30分
文部科学省は、財政問題で断念した「義務教育完全35人学級化」の再検討を始めた。24日に実施する全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で少人数学級の効果を数値的に証明し、来年度当初予算の概算要求に盛り込むことを目指す。【福田隆、三木陽介】
35人学級化について、文科省は民主党政権下の昨年9月、既に実施済みの小学1、2年に加え、中学3年まで拡大するため、5年間かけて教員定数を2万6700人増やす方針を決めた。政権交代後も姿勢は堅持し、新たに出し直した13年度予算の概算要求で、計画初年の教員定数5200人増を盛り込んだ。しかし、財務省が「政策効果を定量的に示す必要がある」などと難色を示したため、計上を見送っていた。
文科省は今回、学力テストで少人数学級による学力や学習意欲を調査。下村博文(はくぶん)文科相は、分析結果で向上が認められれば、政府全体として35人学級化が必要という判断につなげる方針だ。また、いじめ問題のほか発達障害の子供や保護者対応で教師の多忙感が増していることも重視。少人数学級や教員増で、十分に適切な指導が可能になるよう目指す。
◇11年度に導入
35人学級は、小学1年生は2011年度から、同2年生は12年度から全国で一律に導入された。
1クラスあたりの児童生徒数の上限は義務標準法で決められ、かつては教室内の児童生徒の数は今より多かった。公立小中学校の学級編成は1964年度から5年かけて「50人」から「45人」に、80年度から12年かけて「40人」になった。
だが、きめ細かな教育のためには、さらに少人数学級を進めるべきだとの声は根強い。政府の教育再生実行会議は2月の提言の中で、いじめ対策の一つとして、少人数学級の推進を盛り込み、文部科学省は小中全学年での35人学級導入を目指している。