チェパッテカムイ
 
チェプコカムイ

チェプコカムイ
 
 アイヌにおいて魚の主とされたカムイ。名前は文字通り「魚の主のカムイ」の意。「チェパッテカムイ(魚を増やすカムイの意)」とも呼ばれる。アイヌ人が「カムイチェプ(=神の魚)」と呼ぶ鮭はアイヌ人の最も重要な食料源であったが、アイヌ人にとってあまりにも身近の存在であり、大量に採れる魚であるため、鮭自体には神聖や畏敬を見出さなかったらしい。その代わりに想定されたのが鮭の数を体現するチェプコカムイである。神謡ではチェプコカムイが口からこぼした鱗を撒くとそれが鮭の群れになるとされている。チェプコカムイは自身の顕現体を持たず、またアイヌ人の礼拝の対象としてのカムイでも無かったらしい。

チェル
 
 ニューギニアの先住民族に信じられている虹蛇ウングッドが伝わったものだと考えられている。

チェルノボグ
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チコメコアトル
Chicomecóatl
 メソアメリカ中央部におけるトウモロコシ(メイズ)と植物一般を司る女神。「チコモロツィン」とも呼ばれる。語義は「7匹の蛇」。センテオトルと近い関係にある。コデックス(絵文書)では通常赤く彩色された顔と体にバラの花冠状の頭飾りをつけた姿で描かれる。また彫刻ではトウモロコシの穂を持った姿で表される。豊穣の女神であり、チャルチウィトリクエシローネンを化身とし、「7のコアトルの日」を祝日とする。アステカの太陽暦上の第12暦月に行われる祭「オチュパニストリ」はこの女神に捧げられる。

チコモロツィン
Chicomolotzin
チコメコアトル

チピヤカムイ
 
 いわゆる「羽衣神話」、「天女伝説」と呼ばれる神話のアイヌ版の主人公。大地鷸(おおじしぎ)の姿で顕現するカムイ。川で水浴びしていたところををアイヌ人の男に見つけられて着物を隠され、裸を見られたチピヤカムイは男の妻になることを臨むが、結婚のためには兄であるアペメルカンチュウの試練を受けなければいけなかった。チピヤカムイの助けもあって見事にこの試練を突破し、チピヤカムイを妻にして地上で暮らす。しかし、カムイは必ずカヌイモシ(カムイの世界)に帰らなければいけないため、チピヤカムイは男の運命を操って代理のアイヌ人の妻をあてがって帰っていった。

チプカムイ
 
オンネチカムイ

チャク
Chac
 マヤにおける雨の神で、雨だけではなく雷、風といった気象全般を司っていた。アステカにおいてはトラロックの名で呼ばれる。長い鼻と下方に突き出た牙、両目からあふれる涙が彼の象徴である。時として単一の神性ではなく、マヤの世界観における東西南北を支える四柱の神として崇拝されたこともあった。雨はチャクの持つヒョウタンからばらまかれた水であり、雷はチャクの持つ魔法の石斧が振るわれた結果起こるものである。またチャクは「トウモロコシの石(maize rock)」を割り開きトウモロコシの神を呼び覚ましたともされる。トウモロコシはアメリカ大陸先住民にとって基本となる食物であった。
 基本的に善神だが(恵みというには多すぎる)多量の水を撒き散らして大洪水を起こすこともあった。

チャスカコイロル
Chaska-Qorlor
 インカにおける金星の女神。呼称は「毛むくじゃら(蓬髪)の星」の意。マユ(天の川)に見られる発行星のひとつとして、若い女性と花を守護する。

チャヌム
 
 北ミャンマーのカチン族(中国で言う景頗(チンポー)族)の世界創世神話に見える精霊。シクソープクリプクロープから、ウォイシュンという精霊とともに生まれた。ウォイシュンと一緒に天地の万物、また大地や空気や水の精霊、家庭や作物の精霊、病気の精霊を生み出した。またさらにゴーンワマガムを産みだした。

チャルチウィトリクエ
Chalchihuitlicue
 アステカにおいて川とよどんだ水を司るとされた水の女神。若さと情熱の象徴でもある。名前は「翡翠の淑女」という意味を持ち、身体は睡蓮で飾られ、拍子木(水神の象徴)を持ち、羽飾りのついた青い帽子、翡翠のネックレスやイヤリングといった装飾品をつけた女性としてあらわされた。雨神トラロックの妻であり大洪水をもたらす。現在の太陽が作られる一つ前の太陽(四つ目の太陽)である「水の太陽」としての役割があった。大洪水によって世界は滅び、人類は魚に変えられた。そして人類は死を迎え、死の国「ミクトラン」に送られた。死者たちはそこで次なる世界に再び誕生するときを静かに待つのであった。チャルチウィトリクエによって何もかもが押し流された結果、大地は滋養に富み、やがて次の世界(現在の世界)の生命を育む糧となった。

チャルチウシワトル
Chalchiuhcíhuatl
 アステカにおける収穫の女神

チャルチウテコロトル
Chalchiuhtecólotl
 アステカ固有の夜の神で、後古典期(AD.900〜1521)の主要な神々の1人である黒のテスカトリポカとの関連を示す数多い特徴を示している。

チャルチウトトリン
Chalchiuhtotolin
 アステカにおいて、テスカトリポカの化身とされる神。語義は「尊い七面鳥」。夜と神秘を司る神であり、アステカの暦日(センポワリ)の18番目である「テクパトル(火打石のナイフ)」を支配する。

チャルメカテクートリ
Chalmecatecuhtli
 アステカにおいて生贄と地下世界を司る神。地下世界を支配するミクトランテクートリの化身とされる。

チャンティコ
Chantico
 アステカにおける大地の女神であり、メキシコ盆地のショチミルコの守護神。竈の神でもあり、また金属細工(特に金細工)職人を守護する女神とされる。暦上で「9のイツクイントリ」はチャンティコの祝日とされていた。ミクトランテクートリと関連がある。

チャンドラー
Candra
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チャンドロビロウォ
Candrabilawa
 インドネシア、ジャワの影芝居に登場するラクササの一種。頭でっかちで不恰好で、そんなに強そうにも見えないが、一体が殺されれば二体、二体が殺されれば四体と、常に倍数となって力を増し、ついにはどんな相手をも殺害する。影芝居の中では悪玉である百王子方の長老サルヨによる呪文で呼び出されるが、善玉の五王子の長兄ユディストロが持つ護符によってみな焼けただれて跡形なく消えてしまう。

チュピティリペメ
Chupithiripeme
 メソアメリカ西部、メキシコ盆地の北部と西部のパツクアロ湖畔(現ミチョアカン州)の住んでいたタラスコ人が信じていた雨の神。タラスコ地方は半乾燥地帯なので重要視されていた。アステカのトラロック、マヤのチャク、ミシュテカのザウィ、トトナカのタヒン、サポテカのコシーオに相当するものと考えられる。

チュール
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チュンダー
Cunda
チャンドラー

チョンチョン
Chonchon
 南米アンデス山脈の麓に住んでいた原住民に語り継がれていた怪物。人間の頭だけの姿で体にあたるものはない。霊界を住処としており。巨大な耳を翼代わりに空を飛び、夜の間だけ病人の家の周りにやってくるという。これは病人の魂を吸い取るためで、チョンチョンがやってくるのは病人が死ぬ前兆だとされた。しかし、魔法使いにしかその姿は見えず、一般人には「チュエ、チュエ、チュエ」という鳴き声だけが聞こえるという。

チロンヌカムイ
 
 アイヌにおいてキタキツネを顕現体とするカムイ。「チロンヌ」とはアイヌ語で「キタキツネ」を意味すると同時に「われら(アイヌ人)がどっさり殺すもの」という意味もある。つまり、数も多く捕獲することがあまり危険でないキタキツネは、アイヌ人に狩猟対象として身近な存在であった。アイヌ人も世界の人と同じように、キツネという動物をずるがしこく、悪知恵を使って人を騙し、また少々間が抜けていて人に騙し返されるような生き物だと考えていた。したがってチロンヌカムイは主人公として神謡に登場することもあった。黒ギツネのカムイは特にシトゥンペカムイと呼ばれる。