ロヴィアタル
Loviatar
 フィンランドにおける冥府の王トゥオニの娘達の中で、一番腹黒く、一番醜いとされる娘。様々な邪悪の元凶とされている。彼女が「罪悪」と「悲哀」の原野に座り込んでいると、東から吹く嵐が荒野を渡ってきて、彼女に身体に吹き付けた。これによってロヴィアタルは妊娠した。彼女は苦しくて子供を産もうとしたが、どうしても生まれない。すると空からウッコ神の声がして、「子を産みたいなら、ポーヨラに行くといい。かの国ではお前を待ち焦がれている」と言うので、北の国ポーヨラへと向かった。彼女の腹からはなんと九人もの子供が生まれた。「疝痛(発作性・周期性の腹痛の一種)」、「肋膜炎」、「肺病」、「痛風」、「熱病」、「潰瘍」、「疫病」、「疥癬(ヒゼンダニの寄生によっておこる伝染性皮膚病)」、「癌腫」である。ロヴィアタルは子供たちが大きくなると、「さぁ、お前達は、ワイナモイネンの住む里に行って、思う存分人を苦しめるのだよ」と言った。こうして英雄ワイナモイネンの住む里の住人達は、数知れない病気に掛かって次々と死んでしまった。ワイナモイネンがウッコ神に里の人々の苦しみと悲痛に告げ祈ると、この祈りは聞き届けられ、病人に湯を注いだり、湯気を当てたり、薬草から作った香油を塗ったりすると病はたちどころに治り、ロヴィアタルの子供達は退治された。

ロウヒ
Louhi
 フィンランドの叙事詩「カレワラ」最大の英雄であるワイナモイネンの敵で、北の国ポーヨラの女王。太陽や月を隠したり、妊娠したロヴィアタルを自国に迎え入れ子供を産ませて利用するなどして、ワイナモイネンを苦しませる。その尋常ならざる力は人間のものによるものかどうかは疑わしいので、一種の神か悪魔のような存在だと考えられる。

ロキ
Loki
 北欧神話において、神々に敵対する巨人族の一人でありながらもオーディンの義兄弟で、アサ神族の一柱に数えられている特質な存在(容姿が美しく神々と生活を共にしたためだといわれる)。母は女巨人のラウフェイ。気まぐれな性格で、その知恵と姦計によって神々に宝物をもたらしたり危機を救ったりするが、大抵の場合は神々をこんなに陥れたり、冗談ではすまない悪戯をしたりする。なんにでも変身できる能力があり、牝馬に変身してオーディンの愛馬である八本脚のスレイプニルを生んだ。女巨人アングルボダとの間に巨狼フェンリル、大海蛇ヨルムンガンド、死者の国の女王ヘルを産んだ。ラグナレク(終末戦争)では神々を裏切り巨人側につき、ヘイムダルと相討ちになるという。

ロキータ
Rokita
 ポーランドのカルバチア山地に住む悪魔。誠実で約束を守り、偽証する人の舌を抜くという。

ロククイ
Locucuy
 →ピタオ・コソビ

轆轤首
ろくろくび
 日本の妖怪。「ろくろっくび」とも呼ばれる。また、「飛頭蛮(ひとうばん)」の名で紹介されたこともあるが、これは中国の似たような妖怪の呼び名である。昼は人間と全く同じ姿で、人間として生活しているが、夜眠っている時だけ首だけが数メートルも伸びる。が、眠っているので自覚症状が無い場合が多い。そのため一説に不完全な幽体離脱、或いはエクトプラズムの一種だったのではないかとも言われる。首が伸びる時は細長い煙のようなものが出てきてくるとも言う。

ロシーヨ
Lociyo
 →コシーオ

ロビン・グッドフェロー
Robin Goodfellow
 →ホブゴブリン

ロワング・リウォ
Rowang Riwo
 ボルネオ島のダヤク族によれば、創世の大一期にあらわれた奇怪な生き物。黄金の唾液を持っていたという。天地が創造される以前、二人の至高神が存在し、彼らは至高神の座であるそれぞれ金と宝石で出来た宇宙山に座っていた。この二つの宇宙山が衝突するごとに宇宙の断片が次々の生み出されていき、六度目の衝突でロワング・リウォとディディス・マヘンデラが出現したという。