マイア
Maia
 ローマにおいて古い女神で、ウゥルカヌスとともに祀られる。後にギリシアのプレイアデスの一人でゼウスと交わりヘルメスを生んだマイアと混同される。

舞い首
まいくび
 伊豆真鶴の海上に出現する3人の人間の首の妖怪。真夜中になると3個の首が口から火を吹きながら飛び回り、互いに言い争うという。竹原春泉斎の「桃山人夜話」によれば、鎌倉時代のこと、小元太、又重、悪五郎という三人の武士が真鶴ヶ先で口喧嘩から切り合いを初め、悪五郎が小元太の首を切ったが、残りの二人は相討ちで双方ともに首が落ちてしまった。以来、三人の首が海上に出現しては口喧嘩をするようになったのだという。

マイトレーヤ
Maitreya
 →弥勒菩薩

マウ・リサ
Mawu-Lisa
 アフリカのベナンやギニアなどに住むフォン族の神話における創造神。フォン族の神話はハイチのヴードゥー教のベースとなったもので、フォン族の神話にもヴードゥー教と同じく無数の神々の集う万神殿が存在する。マウ・リサはその頂点に位置する双子の神で、一般的にマウが女性神、リサが男性神だといわれている(したがって「リサ・マウ」と呼ばれることもある)。別種の伝承によればマウ・リサは両性具有の単独の神であり、半身が月の目をした女性、半身が太陽の目をした男性なのだともいわれる。
 マウとリサは14人の子供を産み、それぞれに世界の一部を分配した。その子神も同じように自分たちの子供に分配したため、細かい事柄にまでそれを司る神がいるようになった。これら無数の神々のことを総称して「ヴォドゥ」と呼び、「ヴードゥー」の語源はここにある。マウ・リサは創造神といわれながら、実は世界を最初に作った紙ではない。マウ・リサ以前にナナ=バルクという神がおり、マウ・リサはナナ=バルクから生まれたとされる。マウ・リサが創造神といわれるのは、古き世界に新たな秩序を発生させ、現在ある世界に形成しなおしたからである。

マクウィルショチトル
Macuilxochitl
 メキシコ中央部、アステカの快楽の神々の一人で、南を守護する五人の精霊アウィアテテオの一柱。名前は「五の花」を意味する。アウィアトル、アウィアテオトルとも呼ばれ、ゲーム一般の守護神で、古代のボードゲームである「パトリ(現代のインドすごろくに似ている)」やゲームに関する祝祭全般をつかさどる。特に神聖な球戯(ナワトル語でトラチトリ、マヤ語ではポク・タ・ポク)と関連があった。
 一般に、マクウィルショチトル、イシュトリルトンショチピリの3兄弟は、健康・快楽・幸福の三つの要素を体現するが、マクウィルショチトルは過剰な快楽という側面をより強調していたこの点において、アウィアテオトルという名称と特に結びついている。

枕返し
まくらがえし
 日本の妖怪の一種。夜中に座敷に出現し、寝ている人に枕を持たせて寝返りをさせ、本人が知らない間に北枕にしてしまうという。日本各地に出現する。座敷童子の仕業だともいわれる。ただし、枕返しは生きている人間を死へと反転させる恐ろしい妖怪で、北枕にされることで死んでしまうこともある。和歌山県日高郡では、かつて七人の樵達が古いヒノキの大木を切ったところ、その夜に枕返しにあい、七人とも死んでしまったという話がある。

マケマケ
Make make
 イースター島で独自に崇拝されている鳥の神。人類の創造主としてタネの役割を持ち、またイースター島最大の祭りである「鳥人儀礼」の守護神でもある。毎年イースター島の各氏族の代表は近くにあるオロンゴという場所にある崖から、小島であるモトゥ・ヌイへと海燕(マヌタラ)の卵を取りに行く。切り立った崖を降りてフカのいる海を泳ぎ渡るのは大変だが、この儀礼で最初に卵をを見つけた代表の氏族長は、鳥人(タンガタ・マヌ)として選ばれ、その一年間は「マケマケの代理人」として尊敬され、隔離生活を送ることになる。モトゥ・ヌイに生息する海燕たちはマケマケが卵の採集者から鳥を守る為にそこに鳥たちを遣わしたと言われている。

マジムン
 
 日本の沖縄における妖怪の類の総称。魔物という意味。しゃもじ(ミシゲー)が化けた「ミシゲーマジムン」、豚が化けた「ウワーグワーマジムン」、牛が化けた「牛マジムン」、家鴨が化けた「アイフラーマジムン」、死んでしまった赤ん坊が化ける「アカングァーマジムン」などがいる。

媽祖 まそ
Mā-zŭ
 中国、道教における航海の守護女神。「天妃」、「天上聖母」、「天后」とも呼ばれる。アジアの各地で広く信仰されている。唐の玄宗皇帝(685〜762)の時代に福建省の林という者の妻が優曇華(うどんげ)の花を食べて妊娠し、産んだ子が媽祖だという。人々の病気を治したり、未来を予言するといった数々の奇跡を起こしたため、死後に天妃という称号が与えられ、媽祖信仰が発生したのだという。

マッハ
Macha
 アイルランドのケルト神話における戦いの女神。その名は「怒り」を意味し、戦争の女神として知られているが、その力は剣や槍などではなく魔法によるものだという。モリガンの三人いる侍女のうちの一人だともされる。マッハと呼ばれる女神に対するエピソードが幾つもあるため、今ではマッハとは固有名称ではなく、「戦争の女神」に対する総称ではないかとされている。

マトゥタ
Matuta
 ローマにおける曙の女神。またお産と成長の女神としても崇拝される。6月11日のマトゥタの祭礼は主婦の祭りでもある。

マトラルクエイェ
Matlalcueye
マトラルクエイトル

マトラルクエイトル
Matlalcueitl
 アステカにおいて雨を司る女神。名前は「緑のスカートの婦人」の意。「マトラルクエイェ」とも呼ばれる。雨の神トラロックが、テスカトリポカに最初の妻であったショチケツァルを誘拐されたあとに、新たに迎えた2番目の妻である。この女神に敬意を表すためにメキシコ盆地東方のプエブラとトラスカラの間に位置する死火山に彼女の名が冠された(ただしスペイン開拓時代にラ・マリンチェと改名された)。

マナブッシュ
Manabush
ナナブッシュ

マナボゾー
Manabosho
ナナブッシュ

マニア
Mania
 ローマにおける死を司る女神

マニトゥ
Manitou
 アルゴンキン語(ネイティブアメリカンの部族語の一つ)で「精霊」の意。とくにスペリオル湖周辺に住んでいるオジプワ族が使う言葉。オジプワ族の景観内に存在する無数の精霊までをも人格化したときこう呼ぶ。もっとも強力な超自然的存在で、またそれが象徴する一切を変質させる霊的本質をも意味する。マニトゥの上にたつ偉大な精霊はギチ・マニトゥと呼ばれている。

マネス
Manes
 ローマにおいて死者の霊を指す。転じて、冥界や冥界の神々のこともマネスと呼ぶ。

マハタラ
???
 ???

マフート
Mafdet
 古代エジプトの化粧版やメソポタミアの印象などに彫刻されている怪獣の一種。彫刻から判断すれば、虎のような頭と身体を持ち、その間にある首が大蛇のように異様に長く、くねくねと自由に動くようである。同じ石版にかかれている他の動物と比べると、身体の大きさはカバくらいで、首の長さは身体の三倍ほどだと推定できる。また首には蛇腹のような模様があり狙った動物の位置により長さが変化させられるようである。

ママラガン
Mamaragan
 →ナマルゴン

ママンダバリ
 
 北部オーストラリアのアボリジニ、ワルピリ人において、儀式を教えたとされる精霊の兄弟。父と息子だとする地域もある。ドリームタイムにおいてママンダバリは儀式に使う木の板で精霊の声とされる音を出すうなり板や、擬似割礼、穴掘り、柱建て、松明の使い方など様々な重要な儀式を人々に教えていった。また、トキ、雨、モモイロインコなどの夢見る者達の歌を歌った。ママンダバリは帰る途中に足を痛め、邪悪な犬男達に追われて殺されてしまった。それを目撃したセキセイインコは友人の死を悼み、悲しみを国中に伝えたという。

マメルス
Mamers
 古代イタリアにおいてサビニ人やオスク人はマルスをこう呼んだ。

マヤウェル
Mayáhuel
 アステカにおいてマゲイないしリュウゼツラン(アガペ・アメリカーナ)、またそれから醸造されるプルケ酒の女神。センツォントトチティン("酩酊する無数の神々")の「母親」。センツォントトチティンを養うために400の乳房を持つと考えられていた。配偶神のパテカトルとともに「過剰な飲酒」を司る。アステカの20ある暦日(センポワリ)の8番目、トチトリ(ウサギ)の日の守護神であり、セ・トチトリ(1のウサギ)の文字で表現される。
 神話によると、トウモロコシをはじめとする食用植物を地上にもたらした神々が、そのあとに自分達を人間が称えたり踊ったり歌ったりするための(また人間の快楽のための)何かが必要だと考えた。そこでケツァルコアトルエヘカトルの姿となって、若く美しい処女マヤウェルに、「始祖母」ツィツィミトルに監視された空の住み家を離れて、自分と地上に降りてほしいと口説いた。二人は恋仲となり、抱き合って2本の絡まり合った枝を持つ木となった。こうして結ばれた二人に激怒し、ツィツィミトルは木を二つに引き裂き、マヤウェルの枝を壊し、その破片を手下の精霊ツィツィミメに食べさせてしまった。無事だったエヘカトルはやがて元の姿(ケツァルコアトル)に戻ると、マヤウェルの骨を拾い集めて畑に植えた。これが成長してマゲイになり、プルケ酒が造れるようになったのだという。

迷い家
まよいが
 日本の妖怪、あるいは怪体験の一種。山中で迷った旅人がごく稀にこの家にたどり着くことが出来るという。とても豪華な造りをした家だが中に入っても誰もいない。しかしなぜか食事の支度がされていて、旅人は不審に思いながらもその食事を平らげた。布団も用意されていて、旅人はぐっすり眠ったが、一夜開けてみると家は掻き消えていた。こうやって迷い家は日本の山中をずっとさ迷っているのだという。また迷い家の調度品を一つでも持ち帰ることが出来たなら、その人は幸福になれるという。

マーラ
Māra
 インド、仏教において、人の善事を妨げる悪神。漢字では「魔羅」、「摩羅」、「魔」などと表される。初期仏典では別称として「ナムチ(Namuci)」が用いられているが、後にこのナムチという呼称は別の神格のことをさすようになった。呼称であるパーピマーをつけて、「マーラ・パーピナー(Māra Pāpimā)」と呼ばれることが多い。元々唯一の魔王的存在であり、仏教では欲界の六欲天、第六地化自在天に住し、人間の悟りを開く妨げとなる煩悩、つまり性的な欲望を象徴する存在。今でも男性生殖器を「マラ(魔羅)」と呼ぶのはこの為である。三人の娘がいて、それぞれ名を「愛執(タンハー(Tanhā)、漢訳で愛欲)」、「不快(アラティ(Arati)、漢訳で愛念)」、「快楽(ラガー(Ragā)、漢訳で愛楽)」と言う。また原始仏典の一つ「スッタニパータ」第3篇第2章によれば、マーラには8つの軍勢があり、それぞれ「欲望」、「嫌悪」、「飢渇」、「妄執」、「睡魔や物憂さ」、「恐怖」、「疑惑」、「虚栄や強情」と言う。

マルス
Mars
 ローマにおける軍神で、ギリシアのアレスに相当する。ユノフローラから与えられた奇跡の薬草を使って一人で産んだ息子。英語読みだと「マース」。マルスの祭礼は3月と5月に行われ、マーチ(March=3月)は彼の名にちなんだもの。3月には神官団サリィが戦争の踊りを舞い、祭礼の歌を歌うが、5月のアムバルウォリア祭では12名の神官団アルウァレスが古歌を歌い、マルスに畑地を守るように請う。これはマルスが本来農耕神であったことに由来している。ユピテルクイリヌスとともに大フラメン(神官団)の祭祀を受け、元来は三大主神格の一つであったと思われる。
 ローマ人にとってマルスは自分たちの祖先である。ヴェスタ女神に仕える巫女レア・シルウィアがマルスと交わって生まれたのが伝説中のローマの祖であるレムスとロムルスだからだ。この時この双子の赤子を助けた狼とキツツキ(ピクス)はともにマルスの聖獣である。第2代皇帝ヌマ・ポムピリウスの治世の頃、空から落ちてきたローマの命運を象徴する聖なる盾は、11個の複製とともにマルス神殿につるされ、これを神官団サリィが守っていた。

マルト
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マルドゥーク
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マンガル・クンジェル・クンジャ
Mangar-kunjer-kunja
 オーストラリア中央部に住むアボリジニ、アランダ人の信じるトカゲの神。語義は「蝿取り」。世界は初め海ばかりで、ただ丘の先が水の上に出ているだけだった。その頃の人間は「レラ・マネリンジャ(一緒に育った二人)」と呼ばれる二人の人間がくっついた生物であり、目や耳は閉じられ、口は小さな穴でしかなく、手は拳を握ったままで、手足は身体にくっついた────つまりボールのような姿をしていた。やがて水位が下がり、マンガル・クンジェル・クンジャがやってきてナイフで二人を分けた。マンガル・クンジェル・クンジャは二人の目や耳、鼻腔、指や手足も切り開いてやり、今の人間の姿にした。さらにマンガル・クンジェル・クンジャは二人に石のナイフと火と槍と盾、ブーメラン、聖なるチュルンガ(木か石で出来た護符。及びそれらを使う儀式)を与えた。そして最後に結婚のシステムを教えた。

マンコ・カパック
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マンドラゴラ
Mandragora?
 ヨーロッパで山奥に生えているといわれた植物。マンドレーク(Mandrake)ともいう。根が必ず二股に分かれた人のような形をしているという。麻薬や催眠薬としての効用があり、錬金術師や魔術師にとって無くてはならない植物だったが、引き抜こうとした途端、奇怪な悲鳴をあげ、その声を聞いた人間は発狂してしまうので、犬に引かせたり、耳栓をして引き抜いたりしなければいけなかったという。また、仏教では曼陀羅華(まんだらげ。māndāravaの音訳)という植物がある。これは天上に咲くという芳香を放つ白い花で、見る人の心に悦楽を感じさせるという。この二つはおそらく関係があると思われる。