パー
Pah
 ネイティブアメリカンの一部族であるポーニー族における月の神。最高神であるティラウ・アティウスにより、西に立つことによって東に立つ太陽(シャクラ)の光を受け、夜の間大地に光と暖かさを与えるように命じられた。また、シャクラとの間に生まれた「最初の息子」はポーニー族を始祖の一人となったとされている。

バー
Ba
 古代エジプトで、カーと一緒に人間を構成する要素(霊魂)の一種として考えられていたもの。人間の頭を持つ鷲の姿をしている。霊魂ならば人間の死後に出現するのが自然だが、バーはそうではなく人間が死ぬときになると何処からともなくやってきて、人の魂を引き受けて空高く舞い上がるとされた。また、バーの安息の場所は常に人間の肉体であって、ときどきは休息のために現世にある肉体(死体)に戻ると考えられた。このためにも人間の死体は伝統的な葬儀によってミイラ化される必要があった。カー・バーの思想は中国や日本にも伝えられて魂魄と呼ばれている。

パアロロクァング
Paaloloquangw
 アリゾナ州北東部、メサ・ブラック地域に住む西プエブロ族に属するホピ(ホピトゥ・シ=ヌ=ム)族の信じる、海蛇の怪物。巨大なガラガラヘビに似るが、丸く緑色の頭、突き出た目、鋭い歯をのぞかせた口、そして大きな角と黄褐色の羽のとさかを持つ(ケツァルコアトルとの類似から、ホピ族がメソアメリカの文化の影響を受けていることが分かる)。パアロロクァングは海の主であり、自ら水を吐き出してこしらえた泉で暮らしている。ホピ族ではパアロロクァングが海を横切って横たわり、"双子の戦神"がそれをまたいでホピ族を見守っていると考えられている。ホピ族は雨乞いのときなどパアロロクァングに祈るが、正しい儀礼を行うことを粗末にするようなことがあれば、"双子の戦神"の付き添いである祖母の"蜘蛛女"がパアロロクァングをもだえさせ、大地を水に浸してしまうという。

バイアメ
Baiame
 オーストラリアで広く信じられている、「万物の父」であり「天空にいる創造神」の一人。配偶神はビラフグヌールー。東部のニューサウス・ウェールズのウィラデュリ人やカミラロイ人たちが信じている。語義は「創り手」、「偉大なる者」。バイアメはまず自分自身を創り、続いてその他の全てを作った。天空の玉座に坐し、その叫びは雷鳴として轟くという。バイアメは最初に二人の男と一人の女を創った。旱魃になって食べ物が不足すると、男女はカンガルーネズミを捕まえて食べた。だが一人の男は口にせず、やがて大木のそばで倒れた。そこで男女は燃えるような瞳の像を見た。この像の瞳と倒れた男の瞳は4つの星となって南斗十字星をなし、それから人間は死ぬようになったと言う。

白那恰 バイナチャ
Báināqià
 中国の少数民族、鄂倫春(オロチョン)族における山の神。

バーヴ
Badb
 ケルトにおける戦いの女神で魔女。ケルトにおいてこのバーヴを含めモリガンマッハなど多くの戦いの女神が伝えられているが、その行いや特徴が共通していることから、これらの魔女は全て同一の存在であり、一人の魔女の異なる側面を表したものだとも言われている。また、戦いの女神の主格はモリガンで、マッハとバーヴはその眷属であるとする説もある。多くの神話においてバーヴはマッハと共にモリガンにつき従い、彼女の命令によって様々な役割を果たしているからだ。
 バーヴは別名「オオガラス」あるいは「カンムリガラス」とも呼ばれ、黒い鳥の姿をしている。そして戦いの最中にその甲高い鳴き声で、戦士たちに戦の狂気を呼び起こすのである。その不気味な姿と恐ろしい戦いの女神であることから、バーヴは悪魔的な印象がある。しかし実際には、神々と巨人との戦いにおいて神々に味方する善神として語られることが多い。もっとも、魔女たちは世界が神々から英雄の時代になっても登場しつづけ、英雄たちを誘惑する存在として、その悪魔的な側面を強調され始めることになる。

パヴァヤイキャシ
Pabayaykyasi
 ネイティブアメリカンの一部族、ホピ族における神霊の一人。毎日朝早くに、露を持って畑に水を撒いて歩くという。つねに身奇麗な格好をした美しい若者と考えられている。

バウイン・ジャタ・バラワグ・ブラウ
Bawin Djata Balawang Bulau
ジャタ

パウォル
Pavor
 ローマ神話において、マルスの従者とされる神。ギリシア神話のデイモスに相当するとされる。

バガジムビリ
Bagadjimbiri
 北西オーストラリアに住むアボリジニ、カラジェリ人の信じる兄弟の創世神。最初、大地は何の変哲も無かった。そこに二匹のディンゴ(オーストラリアにすむ野生犬)としてバガジムビリが現れ、まず湧き水を創った。さらに、最初は無性だった人間にキノコとカビで男性器と女性器を与えた。また割礼の儀式を作ったのもバガジムビリである。兄弟は天に届くほどの巨人となり、あらゆる土地を旅したが、その後猫人間のガリマンと戦争になり殺された。バガジムビリの母でありまた大地母神であるディルガは怒り、胸から乳をあふれさせてガリマンを溺死させた。その後再生した兄弟の死体は水蛇となり、その霊は大いなる霊として天空へと昇った。

ばく
 中国起源の人の悪夢を食べるとされている幻の動物の一種。鼻は象、牙はイノシシ、目はサイ、尾は牛、足は虎で、体形は熊に似ているという。人が眠っている時などにやって来て悪夢を食べてくれるので、獏が来れば人はよく眠れる。また悪霊を追い払う力もあるので、昔は獏の絵を書いた札を枕の下に敷いて眠ることが流行した。夢を食べる能力は日本独自のものだとされている。

パクス
Pax
 ローマ神話における平和の女神。ギリシア神話のエイレネに相当するとされる。帝政ローマの秩序の象徴となった。

バグベア
Bugbear
 主にウェールズ地方に出没する、毛むくじゃらの妖精の一種。ゴブリンの一種とされることが多く、遅くまで外で遊んでいる子供を捕まえて、頭からむしゃむしゃと食べてしまうという。名前は「Bwg(お化け、怪物、ゴブリン)」と「bar(悪意のある、邪悪な、或いは人をあざける声)」という二つの言葉から派生したもの。バグ(Bug)、バッグ(Bugge)、バグァブー(Bug-a-boo)、バグルブー(Bugleboo)、ボーグルブー(Boggle-boo)など数多くの異称があり、地域などによってその特徴も異なる。

バコタール
Bakotar
 ネイティブアメリカンの一部族、ユマ族に伝わる創造神のひとりで悪神。善神のココマートに騙されて、盲目となった。ココマートが大地を作ったときに、バコタールは「頭や腕や足を持つ何かを作ろう」といい、泥をこねたが、手足の代わりにコブのようなものがついた不完全なものしかできなかったので、ココマートには隠しておいた。その間にココマートは完全な人間を作り出していた。
 バコタールが人間を作るのをあきらめずに色々とくっつけ合わせていると、ココマートは自分の作った人間を見せ自慢し、彼の作った人間を踏み潰してしまった。それにバコタールは怒り、雷のような音を立てて水の中に飛び込み、深みから全ての悪を生じさせるつむじ風を巻き起こした。ココマートはその風を踏み潰したが、彼の足元からすり抜けた一部の風が我々に対して病となったという。

バスキ
Basuki
 バリ島神話に登場する巨大な蛇。男神バタラ・カラと女神のステスヤラとが支配する地下の洞窟に棲んでいる。

パズズ
Pazuzu
 メソポタミア及びアッシリアにおいて病を司る悪魔。妻は病魔ラマツ。四枚の鳥の羽を持ち、足と足の爪は鷲、頭と手はライオン、額に角を生やしているという。また蠍の尾と蛇の頭のペニスを持つとも言われる。ただし、有名なルーブル博物館所蔵のパズズ像には蠍の尾はついていない。メソポタミアにおいて南東に位置するペルシア湾側から吹く風はメソポタミアに猛暑をもたらすので南東風は熱病を運んでくると信じられていた。パズズはこの南東から吹く暴風の神であり、風とともに疫病をもたらすとしてシュメール人に恐れられた。パズズの脅威から身を守るためにシュメール人は様々な呪文を唱えたり儀式を行ったりしたという。ただし、弱い病魔などは逆にパズズに祈ることで追い払えるとも考えられていた。

バステト
Basted
 エジプト神話における猫の頭を持った女神。猫の守護神であり、彼女にちなんだ名を持つ都市、ブバスティスで主に信仰された。ブバスティスの共同墓地では人間のミイラと共に猫のミイラが収容されていたほど神聖視されていた。元々は雌獅子と関わりのあった神だともされており、時を経るに従って、より身近な存在である家猫へと結びつく対象が変化していったと考えられる。その証拠に、ファラオ達が好んでいたスポーツであるライオン狩りをバステトの祭りの期間中にすることは、不信人極まりない行為とされていたという。

ハストシン
Hastshin
 ネイティブアメリカンの一部族であるヒカリヤ・アパッチ族の神話伝承で語られる超自然的存在でありまた創造神。個別名称ではなく複数いる。闇と光とサイクロンしかなかった原初の世界に存在し、大地と地下世界、ついで空を創ったとされる。

バタラ・カラ
Batara Kara
 バリ島の創世神話で、女神ステスヤラとともに地下の洞窟世界を治めている神。光と大地を作り出した。

バタラ・グル
Batara Guru

八大竜王
はちだいりゅうおう
 仏教において法華経説法の座に列したという八種の竜王。このうち、娑伽羅竜王が、海や雨をつかさどるとされるところから、航海の守護神や雨乞いの本尊とする。八大竜神。
	┌───┐ ┌─────┐
	│ 難陀 │ │ 徳叉迦 │
	└───┘ └─────┘
	┌───┐ ┌─────┐
	│跋難陀│ │阿那婆達多│
	└───┘ └─────┘
	┌───┐ ┌─────┐
	│娑伽羅│ │ 摩那斯 │
	└───┘ └─────┘
	┌───┐ ┌─────┐
	│和修吉│ │ 優鉢羅 │
	└───┘ └─────┘

パチャカマック
Pachacamac
 インカ帝国以前にペルーの海岸地方で崇められていた創造神で大地の神。名前の原義は「大地をつくる者」。インカ族が台頭すると次第にその神格は下げられていったが、インカにおいても信仰を集めていたらしく、この神と同名の王が何人か存在する。人類を創造した神で、インカの説話ではインカ帝国の最高神と人を創造する際に争いとなり、自分が創造した人間の女の子供、ヴィチャカによって海に追放されてしまう。

パチャママ
?
 ???

魃 ばつ
Pa
 中国漢民族における災害神で旱魃の神。帝王神黄帝の娘。かつて蚩尤と黄帝が戦っていたとき、黄帝によって呼び出されたのが魃で、彼女は蚩尤の部下で、風雨を司る「雨伯」、「風伯」を体内に蓄えられた熱と光によって退け、黄帝が「蚩尤を破るきっかけを作った。ところが戦いに力を使いすぎた魃は天上の神界に帰れなくなってしまった。彼女はそこにいるだけで旱魃を引き起こす強力な神なので、黄帝はやむを得ず彼女を北方の地、「係昆山」に幽閉した。しかしそれでも人恋しさの為か、魃は時々南の中原地方にやってきて旱魃を引き起こす。古代の中国人は旱魃が起こるたびに水路を作り、「魃よ、北へ帰りたまえ」と祈ったという。

ハッグ
Hag
 イギリスやアイルランドで広くその伝承が残される精霊の総称。魔女(Witch)のモデルとされた精霊で、人里離れた野や山に棲み、鼻は鉤のように曲がり、爪を長く伸ばし、目つきは鋭く、しわくちゃで醜い老婆の姿をしている。中世では「Hagge」、「Hegge」とも綴られ、夜寝ている人の胸の上に乗って苦しめるという。ハッグの一部はケルト系の女神のなれの果てであると、また山や森で出会う恐怖が擬人化された姿ともいわれる。ゲルマン系のハッグは杖や大釜に乗って空を飛んだり、魔法を使ったりするとされる。その大釜は捕まえた人間を料理したり、不思議な魔法の薬を作るのにも使われると考えられた。イギリスのハッグの中ではブラック・アニスカリアッハ・ヴェーラが有名。

パック
Puck
ホブゴブリン

パッティニ
Pattini
 シンハラ人(スリランカの多数民族)の最も重要とされる女神。結婚の面倒を見、敵を遠ざけるとされている。ある物語によれば、この女神はマンゴーの中から、神の矢に当たって生まれたことになっている。また別の神話では、スリランカに米作技術をもたらした文化英雄だと書かれている。

パテカトル
Patécatl
 アステカの神で、メソアメリカ数多く存在するプルケ(マゲイ酒)の神。「酩酊する神々」センツォントトチティンの象徴的な父親で、配偶神であるマヤウェルはセンツォントトチティンの象徴的な母親であり、センツォントトチティンの神々を養うための400の乳房を持つ。飲酒と酩酊の神であり、マゲイ(リュウゼツラン)の発酵した液体をプルケに変えたのがパテカトルとされている。プルケは神々を祀るために好んで大量に消費され、魔術的な力があると考えられていた。アステカの20ある暦日(センポワリ)の12番目であるマリナリ(草)を司り、薬と治癒の神でもあった。治癒の神として薬草やペヨーテ及びその他のキノコを含む麻薬性植物と関連している。

ハトホル
Hathor
 エジプトにおける豊穣の女神。ホルスの妻で安産、子孫繁栄を司る。エジプト各地で独自に信仰されていた「牝牛の女神」が融合した神で、角の間に太陽を表す円盤を持った牡牛、或いは円盤をつけた牝牛の角を持つ神として描かれる。オシリスの神話上では非常に影の薄い存在で、義母にあたるイシスはホルスのために果敢に戦うが、ハトホルはひたすら夫の無事を祈り、家を護る存在として語られている。しかし別の伝説では、人間が自分に対して陰謀をめぐらしていると思い込んだ、もうろくしたラーによって、人間を虐殺する為にハトホルが派遣されたとされる。彼女は虐殺を嫌い、血の色に似たビールで地上を浸し、その水鏡に写る自分の姿に恍惚となり酔ってしまったため、人間は生き長らえたという。

ハヌマーン
Hanuman
 ヒンドゥー教における猿の姿をした神。字義は「顎骨を持つ者」。学問の守り神にして、風神ヴァーユの息子。ある物語によれば、ハヌマーンはある時、空から太陽を取ってこようとした。太陽を食べ物と間違えたらしい。悲劇を避けるため、戦いの神インドラは稲妻を猿に向かって放ち、その顎を打ち砕いた。
 ヒンドゥー教の叙事詩「ラーマーヤナ」ではハヌマーンは猿の王スグリーヴァの使いであり、宇宙の守護神ヴィシュヌのアバターラ(化身)であるラーマの忠実な味方であり、鬼神ラーヴァナと戦うラーマに加勢した。ラーヴァナはラーマの妻シーターを連れて逃げ去った。シーターの居所をラーヴァナ国のある島ランカー(現在のスリランカ)で見つけたのはハヌマーンの手柄であった。
 ハヌマーンは並外れて俊敏であり、海の上を矢のように飛んでシーターの元へと向かった。しかし飛んでいる最中にラーヴァナの妹シュールバナカーが彼の影をつかみ、水面の下に引きずり込んだ。そこにはもう一人の鬼神が待ち受けていたが、ハヌマーンは機転をきかしてこれから逃れた。やがてハヌマーンはシーターを木立の中で見つける。ラーヴァナは毎日シーターに向かって自分と結婚しなければ痛い目にあうか、さもなくば死ぬと脅していたが、シーターは屈しなかった。そんなシーターをハヌマーンは担ぎで上げてラーマの元に帰ろうとしたが、シーターは夫以外の男には触れないと断った。やむなくハヌマーンはシーターを発見したことをラーマに告げに戻ろうとしたが、これを見つけたラーヴァナとその一味はハヌマーンの尾に火をつけた。しかし彼はそれをものともせずに反対に尾を左右に振り回して暴れ回り、数多くの建物に火をつけて、ランカーの島に大きな被害を与えたのだった。
 インドに戻ったハヌマーンは配下の猿の軍団に命じて、インドからランカー島まで橋をかけさせた。ラーマとその軍勢はその橋を渡ってラーヴァナの元へとたどり着き、見事シーターの奪還に成功する。ラーマはハヌマーンの功績に報いて、彼に永遠の生を授けた。
 ハヌマーンの体は山ほどの大きさがあるとされ、黄色の皮膚に赤ら顔、それにとてつもなく長い尾を持っているとされる。その唸り声は雷のようにとどろき、また激しい音を立てながら雲の中を飛んだとも言う。
 西遊記の主人公である孫悟空はハヌマーンをモデルとしているとされる。

パパカラノシワ
Papakalanosiwa
 ネイティブアメリカンの一部族、クワキウトゥル族の秘密結社「ハマツァ(Hamatsa)」の起源に関わる人食いの怪物。伝承によれば、パパカラノシワは族長の妻を誘拐し不浄結婚を強制した。族長の3人の息子が母親を助けるためパパカラノシワの家まで行ったが、すでに母親はパパカラノシワとの間に子供をもうけており、また母親も怪物と化していた。怪物と化した母親は「ハップ!ハップ!(ハマツァ・ダンサーの伝統的な掛け声)」という叫び声とともに3人を追ってきたが、3人はほうほうのていで逃げおおせた。父親である族長はその間にパパカラノシワとその息子達と火の罠にかけ、焼き殺すことに成功した。これで母親も正気に戻った。パパカラシノワ達の焼かれた灰は、血を吸う事を宿命付けられた蚊になったと言う。

パパ・ツ・ア・ヌク
Papa tu a nuku
 マオリ神話において、ギ・ヌイと結婚する大地をつかさどる女神。「はるか彼方まで広がる大地」という意味がある。六柱神に加えて多くの子供を作った。ラギがパパの上に横たわっている為、長い間大空と大地の間からはどんな光も差し込んでこなかったが、六柱神はこの両神を引き離して大地に光をもたらした。

バハムート
???
 ???

パ・ビル・サグ
???
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パフアヌイアピタアイテライ
Pahuanuiapitaaiterai
 ポリネシアの海の悪魔。特にタヒチ島で恐れられている。太平洋に点在するポリネシアの島々では、海は様々な食べ物を与え、命を育んでくれるありがたい存在であるとともに、船乗りの命を奪う恐ろしい存在でもあった。このため海に関する悪魔も多数存在する。パフアヌイアピタアイテライはその一人であり、その名は「天空を開いた偉大な者」という、ほとんど神に近い意味を持っている。深海に棲み眷属たちをともに船乗りを襲う悪魔として恐れられていた。

パマラク・バゴボ
Pamalak Bagobo
 フィリピンのミンダナオ島に住むバゴボ族の神話で、人間を創造した神。伝承によれば猿はかつて人間に似た姿形をしており、人間のような振る舞いをしていたが、パマラクが人類を別の主として想像することを思い立ったので、現在のような姿になったのだという。

ハヤグリーヴァ
Hayagriva
 チベット仏教でダルマパーラ(護法神)の一柱。怒りの神であり、ダクシェ「8人の恐ろしい者」の指導者。名称は「馬の頭」を意味し、太鼓腹と馬頭をもつ小さな姿で描かれる。仏教では馬頭明王と呼ばれ、アミターバ(阿弥陀)、もしくはアクショーブヤから生じたと考えられている。アヴァローキテーシュヴァラ(観音)の恐ろしい側面を表すという。ヒンドゥー神話ではダイティヤに対立する巨大なアスラだとされており、古代インドの聖典『ヴェーダ』が2人のダイティヤに盗まれた際、ヴィシュヌがそれを取り返すためハヤグリーヴァの姿をとったという。

バヤン
Bajang
 東南アジアのマレー語圏の民間伝承に登場する邪悪な霊。災害や病気が発生しそうな時にあらわれる。普通な巨大なケナガイタチの姿をしていて、特に子供に害となる。一家の主人だけは、そんなバヤンを捕らえ容器に入れて飼っておくことが出来るといわれている。邪霊ではあるが、ミルクと卵を与えさえすれば親切な霊となり、主人の敵を病気にしてくれる。しかしきちんと餌を与えなければ、主人に牙を剥くという。

パリアカカ
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パリカー
Pairilas
 ゾロアスター教における流星の女悪魔の一団。ゾロアスター教における他の悪魔は、地の底に住むとか北の果てに住むとか考えられていたが、パリカーたちは例外で空から流星に乗って飛来し落ちた先で悪さを働くとされた。パリカーの数は「流星のように」無数だが、その中には「凶年」という名を持つ「ドゥズヤールヤー」、英雄クルサースパを誘惑した「クナンサティー」、そして「ムーシュ」など、固有名を持つ有名な者もいる。後代になるにつれてパリカーの力は重要視されなくなり、女悪魔の一団を指す言葉から人とも魔物とも知れぬ魔女を指す言葉、さらに時代が下ると悪い女呪い師や売春婦を指す言葉へと変わっていった。

パリアング
Pariyang
オーストラリアのアボリジニの一部族、クリン人の信じる神。一度はブンジルのお陰で一度は人間は火を手に入れた。しかし、なくしてはいけないとブンジルに強く戒められていたにも関わらず、人間は火をなくしてしまった。すると地上には蛇がのさばって女を襲うようになった。そこで、天に住むパリヤングは妹であるカラカルークに命じて女たちを助けてやるように命じた。後に人間達はカラカルークのお陰で再び火を手にすることが出来た。
 
バール
Ba'al
 フェニキア神話における植物神。カルタゴでは他のバールと区別し「バール・ハダト」と呼ばれる。父なるエシュと母なるアシェラと共に主要な三柱の神の一柱をなす。海の恐ろしい面と戦ってくれる戦神として、山岳神としても崇拝されていた。ゲバル人にはアドン、或いはアドニスと呼ばれていた。ギリシア神話でアドニス(Adonis)と呼ばれ、テュロス人はメルカルト(Melqart)、シドン人はエシュムンと呼んでいたらしい。バールは神であるが不死ではなく、穀物が実る夏から秋にかけて一度死に、春になって種子が芽吹くと共に再び蘇る、ということを毎年繰り返す。この説話がキリストの死と再生の説話の原型になったと考えられている。バールは猪と戦って大体の内側を負傷して死んだとされており、その血はアドニス河に流れ込み河を赤く染める。実際アドニス河は赤い土が混ざって赤褐色になる季節がある。またバールは精力家としても知られており、恋人のアナトを一晩に88回抱いたと豪語している。

バール
Baal
 ユダヤにおける魔神で、ソロモン王に封印されたとされる72柱のうちの一人。17世紀の魔術書(グリモア)の「レメトゲン(ソロモン王の小さな鍵)」の第一部「ゴエティア」や、黙示文学「エノク書」をモデルとする「偽エノク文書」の目録にもその名が見える。

バール・エシュモン
Ba'al Eshmun
 カルタゴ(アフリカ北部)における最高神で天空の主。海洋貿易国家であったカルタゴにとって天候は最も重要な問題であり、したがって太陽を司るバール・エシュモンは最高神とされた。ポエニ人の神は、フェニキア人にとって一人の神格を表す言葉だったバールが、多数の神格に分かれて生成されたものである。つまりポエニ人のいう「バール」は、「神」とか「主」という一般名詞を指し、カルタゴが繁栄していた時代、神々は「バール・〜」というように呼ばれた。その中で最高神であったのがバール・エシュモンで、後期になって重要視されるようになったタニト女神も、「バールに面するタニト」と呼ばれた。また人身御供を要求するカルタゴの神々の中では珍しく、あまり人身御供を捧げられることはなかったとされている。

パルカ
Parca
 ローマにおける運命の女神達。パルカとも呼ばれる。ギリシア神話のモイラに相当する。3柱であり、それぞれラテン語名でノナ、デキマ、モルタと呼ばれ、人間の出生、結婚、死をつかさどるとされた。本来は誕生の女神だったらしい。

パルカエ
Parcae
パルカ

バール・ハダト
Ba'al Hadad
バール

バール・ハモン
Ba'al Hamon
 カルタゴ(アフリカ北部)における香煙の祭壇の主たる神。幼児の人身御供を捧げられた。

バルドル
Baldr
 北欧神話における豊穣、光の神であり、神々の王オーディンと王妃フリッグの子。理想的な青年神で、弁舌に長け、賢くまた優しく、美しさにおいても神々の中で第一の存在であった。他者を裁くときに問題があるということを除いては、おおよそ欠点というものが無かったので、全ての神々と人間から愛された。

パールバティー
Pārvati
 ヒンズー教、インド神話に見える女神で、シバの配偶神でスカンダ(カールッティケーヤ)、ガネーシャの母。父はヒマラヤ産の神ヒマヴァット。サンスクリット語で「山の娘」の意で、シバのシャクティ(女性の性力)を神格化したもの。シヴァ神との間にもうけた子がガネーシャであり(パールバティーが自分の体をこすって生み出したとする説もある)、シヴァによらずに産んだ子が6人いた。パールバティーがこの6人の子を愛する余り強く抱きしめたところ、子供たちは合体して一つの子になってしまった。この子が大きくなってスカンダとなった。その為スカンダは6つの頭がある。パールバティーは慈愛と凶暴の2面を持つため、ウマー(親切な女)、アンナープールナー(たくさんの米を与える者)、ガウリー(白く輝く者)、カーリー(黒い女)、チャンディー(凶暴な女)、ドゥルガー(寄りつけない者)など、多くの異名を持つ。神話ではしばしば彼女が夫の怒りをなだめて、その怒りにふれた哀れな者どもを救う場面が描かれている。しかし、畏怖の側面を表すカーリーとドゥルガーの信仰の方がとりわけ盛んで、彼女は鬼女の長としてその黒い肌を露わにし、下の恐ろしい牙をむきだし、多くの手に様々な武器をたずさえ、人の頭蓋骨を編んで首飾りとし、酒を好み人肉を食餌とする。多くの手に武器を持ち、恐ろしい女神として崇拝される。

バルバトス
???
 ???

バロール
?
 ???

バロン
???
 ???

ハン=ウッザイ
Han-Uzzai
アル=ウッザ

盤古 ばんこ
Pangu
 中国神話の宇宙的巨人。「盤固」とも書く。宇宙を構成する根源的な力である陰と陽の子供といわれる。時間が始まった頃、混沌のみが存在していた。混沌は原初の卵の形となり、卵の中で盤古は1万8000年もの間眠り育った。そして目覚めた時、盤古が伸びをすると「陽」が浸透していた卵の軽い部分は上昇して天となり、「陰」で構成されていた卵の重い部分は下に沈み地となった。盤古は天地が再び合わさってしまうことを恐れ、間に立って、頭で天を高く支え、足でしっかりと地を踏みしめた。更に1万8000年の間、天と地は一日に2ないし3mずつ離れていったが盤古も同じ速さで成長し、天と地を引き離しつづけた。やがて盤古は天地が再び合わさる心配がもはや無いと考えると、深い眠りに落ち息を引き取った。死んだ盤古の息は風と雲に、左目と右目はそれぞれ太陽と月に、四肢と胴は四方位と五大山に、血は川、筋と血管は道路、肉は木々と土(ないし田畑)となり、また髪と髭は星に、体毛は草と花に、歯と骨は金属や石に変じ、汗からは露が生まれた。最後に体内のノミや寄生虫が様々な民族の始祖となった。他の伝承では盤古の目の開閉から昼夜の交代が生じるとするものもある。盤古は五大元素(木火金土水)から生まれ天と地を鑿(のみ)と手斧(ちょうな)でつくったという伝承もある。江南地方では今でも盤古を崇拝している人々もいる。

瘢疹娘娘 はんしんにゃんにゃん
Bān-zhěn niáng-niáng
 中国道教で、子供を産む際にあらゆる災厄から護ってくれる娘娘神のうちの一人。そのうち瘢疹娘娘は、幼児をソバカス、吹き出物、腫れ物などの各種の皮膚病から護る役目を司っている。(参考:乳母娘娘)

バンダーラ
Bandara
 本来はスリランカのシンハラ系王国の高級官僚に与えられた称号。やがて下級神ヤクシャたちを司る一連の神々のことを指すようになる。例えば最高神ウプルワンの財産管理人を務める仏教の守護神デディムンダはデーワタ・バンダーラと呼ばれる。大抵の場合、地方の主要な神はただ単にバンダーラと呼ばれる。