"第T神"
God I
 オルメカの大地、太陽、水、豊穣の神。オルメカの神々は現在までに呼称が伝わっていないので便宜上このように呼ぶ。「竜」の姿、つまり炎の眉に突出した鼻、L字型ないし凹型の目、蛇のような先割れの舌、ワニの四肢、鷲の鉤爪、ジャガーの牙。さらに人間の特徴も幾つかあわせ持つ怪物の姿であらわされた。オルメカの神々の中でも傑出した存在であり、王権や王位継承、オルメカ文明で生まれた政治機構などと結びついていたと考えられる。また大地や太陽、水、豊穣などとの関係は第T神がおそらく創造神であり、より後代に登場するメソアメリカの神々の祖型であったことを示している。汎メソアメリカ的神であるウエウエテオトル、マヤのイツァムナ、アステカのシウテクートリなどに第T神の影響、或いは特徴の継承がみてとれる。

"第U神"
God II
 オルメカにおけるトウモロコシ(メイズ)の神。オルメカの神々は現在までに呼称が伝わっていないので便宜上このように呼ぶ。頭のくぼみから生えるトウモロコシの穂軸が特徴であるが、一般的には農耕神。おそらく若さと生命を象徴する歯のない乳幼児の姿をしており、ジャガーの特徴を伝えるアーモンド形の目、広く平らな鼻、ふっくらして外側に広がった上唇、さらに額に装飾帯をつけた姿をしている。後代に登場する多くのメソアメリカのトウモロコシをつかさどる神、とくにアステカのセンテオトルの祖型になったと考えられている。

"第V神"
God III
 オルメカにおいて天体、特に太陽と関係する神。オルメカの神々は現在までに呼称が伝わっていないので便宜上このように呼ぶ。農耕や豊穣とも結びついていた。理由は現段階では明らかでないが、顎のない小人とも関わりがあった。鳥類と爬虫類の特徴をあわせ持つ鳥の怪物の姿をしており、猛禽の嘴、顕著な蝋膜(猛禽類やオウムなどの上嘴の根元にある肉質の膜)、時には割れた上牙が一本、鉤爪のついた手のような翼、そして時には頭にオウギワシの鳥冠をつけていた。さらに第T神と同様、L字型ないし凹型の目と炎の眉をしていた。

"第W神"
God IV
 オルメカにおける雨の神。オルメカの神々は現在までに呼称が伝わっていないので便宜上このように呼ぶ。広くは農耕と豊穣の神でもあった。第U神のように、乳幼児のジャガーの姿で登場し、アーモンド型の目、平らでずんぐりした鼻、外側に広がった上唇、すぐに見分けることが出来る歯のない両端の下がった口をしている。また特徴的な節のついたヘッドバンド、ギザギザのある耳飾り、十字型のバンドをともなう胸飾りなどを常に身に帯びた姿であらわされた。雲、雨、豊穣との特別な結びつきから、この神はマヤのチャクとアステカのトラロックの祖型と考えられている。

"第X神"
God V
 オルメカの神だが、間違った分類により与えられた名称なので、現在この名前で呼ばれる神はいない。

"第Y神"
God VI
 オルメカの謎めいた神で、春と復活・再生の概念を象徴していたと考えられている。オルメカの神々は現在までに呼称が伝わっていないので便宜上このように呼ぶ。現実離れした割れ目のある頭で、アーモンド型の目をしており、片方の目にはバンドないし縞模様が描かれている。他のオルメカ神のように、歯のない口には歯茎が突出し、恐ろしい笑みを浮かべている。これらの特徴の幾つかは、この神がシペ・トテックのみならず、ワステカ族(メソアメリカ北東部のメキシコ湾岸北部沿いに住んでいた民族)やメソアメリカ中央部で崇拝されていた春の神の祖型であることをも物語っている。これらの神と神官は、生贄の人間からはいだ皮をまとっていた。

"第Z神"
God VII
 オルメカの神の一人。オルメカの神々は現在までに呼称が伝わっていないので便宜上このように呼ぶ。ときにオルメカの「竜」とも呼ばれる。現在まだ明確に定義されていないオルメカの神々の一人。おそらく初期の「羽毛の蛇」、つまりケツァルコアトルの原型となった存在だと考えられる。他の神々と見分けることはできるが、蛇の頭と体、鳥類の鳥冠と翼など、第T神第V神と似た特徴を備えている。

"第[神"
God VIII
 オルメカにおける魚の怪物。オルメカの神々は現在までに呼称が伝わっていないので便宜上このように呼ぶ。海とかかわりがあり、(流れる水とは対照的な)溜まった水一般を象徴した。それと関連して、魚の体、先割れした尾、ワニのような歯、さらに鮫にも似た容貌をしており、三日月型の目と人間の鼻も持っていた。また、体中に十字のバンドないし縞模様を帯びている。

"第\神"
God IX
 オルメカの神だが、間違った分類により与えられた名称なので、現在この名前で呼ばれる神はいない。

"第]神"
God X
 オルメカのもう一人のジャガーの姿をした神で、第Y神と似た容姿をしている。すなわち、割れ目のある頭、アーモンド型の目、歯が無く歯茎が剥き出しになった口をもっている。しかし、鼻腔にある8つのモチーフと、目にバンドが無いし縞模様がないことが特徴とされる。通常、並外れて巨大な頭を持つ。いろいろな要素を帯びた容姿であるが、他の神々に対して従属的な立場を持った神だと推測されている。

太乙救苦天尊 たいおつきゅうくてんそん
Tài-yľ jiù-kǔ tiān-zūn
 中国道教において、生前の罪のために地獄に堕ちた人々全てを救うとされる神。「道教霊験記」によれば、火炎と神光に包まれており、口から火炎を吐く九頭の獅子の支える蓮華座に座っているという。高位の神であり、周囲に数多くの真人、力士、金剛神王などを従えている。太乙救苦天尊信仰は特に台湾で盛んで、誰かが原因不明の病気になった場合、これは地獄に堕ちた死者からのメッセージだと解釈され、太乙救苦天尊に救いを求める儀式を行う。これにより死者は地獄から救出され遺族の病気も治ると考えられている。地蔵菩薩の神格を道教が取り入れたものだと考えられる。

大魁夫子 たいかいふし
Dài-kuí fū-zǐ
 中国道教で、北斗七星の第一星(貪狼星)を神格化した存在。「魁」とは、北斗七星の内の箱形をつくっている四星ないしその第一星をさす。科挙(中国で行なわれた官吏の登用試験)の守護神とされる。また北斗七星全体を神格化した神である北斗星君と同様に長生祈願を大魁夫子に祈ることもある。「史記」によれば、同じく科挙の守護神である文昌帝君は「魁」の周りの六個の星を神格化したものだとされている。

大鶚 たいがく
Dài-è
 中国において、戦乱をもたらす兆しとして恐れられた怪鳥。この鳥が出現した地方では近いうちに大きな戦乱が起こるといわれていた。ワシに似た姿で、黒い斑点があり、頭は白く、くちばしは赤く、虎のような爪を持ち、鴨のような声で鳴くという。元々は「欽丕鳥(←前2文字は一漢字)」(キンヒ)という名の神であったが、燭陰の息子、「鼓」と謀って葆江(ホウコウ)という神を殺した罪により、この時天帝の地位にあった神により、鼓とともに処刑された。こうしてキンヒは大鶚に生まれ変わった。

大黒天
だいこくてん
(1) 天竺(インド)の神の名。毘盧遮那(びるしゃな)または摩醯首羅天(まけいしゅらてん)の化身という。密教では障害鬼の荼枳尼(だきに)を破る神とし、青黒色、三面三目六臂、逆髪の忿怒形で、胎蔵界曼荼羅外院北方に配する。中国では、この神を食厨の神として寺にまつり、日本ではこれを受けて、寺の庫裏に神王の形で袋を持つ像を安置する風を生じた。大黒神。 (2) 七福神の一つ。福徳や財宝を与える神とされる。狩衣のような服を着て、まるく低いくくり頭巾をかぶり、左肩に大きな袋を背負い、右手には打出の小槌を持ち、米俵の上にいる。大国主命を本地とする説が行われ、甲子の日をその祭日とし、二股大根をそなえる習慣がある。

大昊伏羲 たいこうふっき
Dài-hào fú-xī
伏羲

太歳 たいさい
Tai-Sui
 中国において地中に住むといわれる怪物。「大歳」とも書く。赤い肉の塊のような姿をしており、身体中に数千の目がついている。太歳とは元々木星(歳星)をさし、子(ね)の年には子(北)の方、というように毎年、その年の干支と同じ方位に遊行し、12年で一周する。地中に住む太歳はこの木星の動きに合わせて木星のいる方向に地中を移動するのだという。土木工事などで太歳が掘り出されることもあるが、放っておくと祟りで一族が死に絶えてしまうといわれる。これを防ぐには太歳をすぐにもとの場所に埋め、工事を中止するしかない。

泰山府君 たいざんふくん
Tài-shān fŭ-jūn
 中国、山東省の泰山に住み、人の生命や禍福をつかさどるとされる神。「王岳の中心である東岳泰山の偉大な帝王」。「太山府君」とも書く。また単に「泰山」とも称される。東岳太帝(Dongyue Dadi)とも呼ばれる。祖父の玉皇を補佐し、人間の賞罰や生命を司り、地上と来世の全てを管理する泰山府(役所)の長である。泰山府は75の部門に分かれており、その中にはあらゆる生き物の誕生と死の時を定める部門もあれば、人々の社会的地位を司る部門、富を司る部門などがある。泰山府に務める役人は使者の魂。通常皇帝の衣装をまとい座った姿であらわされる。中国神話に端を発し、また道教の神であるが、仏教と習合して、閻魔の侍者とも、地獄の一王ともされ、また、十王の第七太山王とも混同されるなど、道仏二教で尊崇されるようになった。わが国にも古くから伝えられ、ことに平安時代には、延命・除魔・栄達の神として崇信された。なお、比叡山にある赤山明神はこの神であるといわれ、同じく冥界の支配者であることから素戔嗚神大国主神のこととされ、あるいは本地垂迹説でこの神の本地は地蔵菩薩であるともいう。

大自在天 ざいじざいてん
Mahesvara
 仏教において色究竟天を主宰する神。「摩醯首羅(まけいしゅら)」の訳。「自在天」、「伊舎那天」とも呼ぶ。もとは、インド婆羅門教のシヴァの異名で、万物創造と破壊をつかさどる最高神。仏教の中に組み入れられ仏法守護の神となる一方、仏教に敵対する外道の最高神ともされた。その像は三目八臂で天冠を戴き、白牛にまたがり、三叉戟を手にする。

帝釈天 たいしゃくてん
Śakra-devānam-indra
「釈迦提桓因陀羅」。梵天とならび称される仏教の守護神。ヒンドゥー教の神であるインドラが仏教に取り入れられたもの。インドラを音訳して「因陀羅」とも称する。十二天の一で、また、八方天の一として東方を守る。天上界の王。天衆をひきいて阿修羅を征服し、常に使臣をつかわして天下の様子を知らしめ、万民の善行を喜び、悪行をこらしめる。須弥山(しゅみせん)の頂上のY利天の中央にある喜見城に住む。像形は一定ではないが、古くは高髻で、中国、唐時代の貴顕の服飾を着け、また外衣の下に鎧を着けるものもあるが、平安初期以降は密教とともに天冠をいただき、金剛杵を持ち、象に乗る姿が普及。天帝釈。釈提桓因。

太上老君 たいじょうろうくん
Tai-shang lao-jum
 神格化された老子の呼び名。「だじょうろうくん」とも読む。中国、漢代から次第に老子は神格化されたが、4世紀には、『抱朴子』によれば、老君と呼ばれるようになり、6世紀、北魏の寇謙之のときには最高神の太上老君となって現れ、三十三天の太清天に住むと考えられるようになった。ただし、南朝梁の陶弘景は、太上老君を神格としては第4位に下げ、その代わりに元始天尊を第1位に据えて、太上老君はその化身の一つとして扱われるようになった。

大太法師
だいだらぼっち
 日本各地で伝えられている巨人の妖怪。「だいだぼっち」、「でいだらぼっち」、「だいだほうし」などとも言う。怪力をもち、富士山を一夜でつくりあげたとか、榛名山に腰をかけ、利根川で足を洗ったとか、その足跡が池になったとか、さまざまな伝承がある。

"大地を創った者"(アパッチ族)
Earth Maker
 ネイティブアメリカンのアパッチ族に伝えられる創造神。治癒の儀式などを部族に伝えた治癒神でもある。「大地を創った者」は一人一人が暮らしを立てられるだけの土地をもてるようにした神であるが、アパッチ族は与えられた土地が気に入らなかった。そこで「大地を創った者」は彼らに新しい土地を与えた。アパッチ族(の先祖)はそのためよく眠れるようになり、暮らし振りもよくなったが、その中の二人が病気になったしまった。この病気も治し方も知らなかった彼らに病気を直す儀式を教えたのも「大地を創った者」である。

"大地を創った者"(ミドゥ族)
Earth Maker(s)
 ネイティブアメリカンのミドゥ族に伝えられる創造神。彼らは「年老いた人間コヨーテ」とともに原初に海に漂っていたが、そのうちの2人が大地を造ることを決意した。2人はなおも漂っていたが、やがて鳥の巣らしきものを見つけた(たしかにそれはマキバドリの巣であった)。そこでまずはこの巣をロープで世界の端まで引き伸ばしてから、すべての種類の生き物が生まれるようにと、それに血を塗った(この出来事を証明するかのように現在でも赤く塗られた岩が幾つも見られる)。さらに引っ張ると巣は旅をできるぐらいの大きさまで広がった。"大地を創った者"達はひとまわりして生き物や国や言葉などを創り出した。ただし、肝心のロープはコヨーテが握っており、ミドゥ族では地震はコヨーテがなおもロープを引っ張って世界を広げようとしているために起こると考えられている。

ダエーワ
Daēva
 ゾロアスター教の悪神アンラ・マンユに仕えているとされる悪魔達の総称。地獄で亡者達を苦しめる仕事をする悪魔達で、さまざまな姿をしており、時には地上に出現して人間を破滅させたりもする。元々は地上に住んでいたが、ゾロアスター(ゾロアスター教の開祖)によって地獄に投げ込まれたという。投げ縄を死者の首に引っ掛けて地獄に引き込もうとするアストー・ウィーザートゥやウィーザルシャ、地獄の門番をしている酔っ払いのクンダなどが有名。

高御産巣日神
たかみむすびのかみ
 日本神話において、天地の初めに天之御中主神神産巣日神とともに高天原に現れた造化三神の一柱。高皇産霊尊(たかみむすびのみこと)、高木神(たかぎのかみ)、高天彦神(たかまひこのかみ)などの別称がある。独神でありながらも単独で栲幡千々姫神思兼神を生んだ神。神産巣日神と対を成して男女の産霊の神とされる。本来農耕、生産に深く関係している神で、また「天地を鎔造した」ことから金属に関わる文化も司る。天孫降臨、国譲り、神武東征などの場面にしばしば登場し、政略的な力を発揮する、天照大御神とともに高天原の司令官として祭事、政治、軍事を司る。そのため、交渉を成功させる、人間関係を発展させるなどの神徳もあると考えられている。

タキシム
Taxim
 東欧に棲んでいるという歩く死者の一種。恨みを持って死んだ人間の死体が墓の中から出てきたもので、復讐を成し遂げるまでは動くのを止めないという。土の中にいたものなので、身体は汚れ、腐っており、ひどく臭い。悪魔がとり憑いたのではなく、恨みをもった自分自身の霊によって動いているので、どんな呪文を使っても、タキシムの気持ちを鎮めることは出来ない。

タクシャカ
Taksaka
 インドの蛇神ナーガの王の一人、仏教においては八大竜王の一、徳叉迦(とくしゃか)に帰化する。あるとき無言の行を行っていた聖者を、クル族の王パリークシットが侮辱するということがあった。これを知った聖者の息子は王に復讐してくれるようにタクシャカに願った。タクシャカはその願いを聞き、小さな虫に化けて王に近づくと突然大蛇に変身して王を噛み殺したという。

建御雷神
たけみかづちのかみ
 日本神話における軍神の一人。「武甕槌神」とも書く。鹿島神(かしまのかみ)、布都御魂神(ふつみたまのかみ)などの別称がある。伊邪那岐神が火神迦具土神の首を切ったときの血から生まれたとされているが、元々は天神の意思を象徴する「正義の剣」として重要な役割を果たす霊剣「十柄剣(とつかのつるぎ)」(後に布都御魂剣と呼ばれる)の神格化されたものと考えられる。天照大御神の命を受けて出雲に降臨し、十柄剣を切っ先を上にして波に突き立て、その上であぐらをかいて威嚇し、事代主神を服従させ、また建御名方神と力比べをして勝ち、大国主神に国譲りを承諾させた。雷、武力、刀剣などを司り、鹿島神宮の宝物庫には彼のものだとされる全長271cmの剣(直刀)が納められている。

建御名方神
たけみなかたのかみ
 日本神話における軍神の一人。「武南方神」とも書く。諏訪神(すわのかみ)という別称がある。大国主神と沼河比売神との間の子で、事代主神の異母兄弟。国譲りの説話中、最後まで抵抗する。1000人がかりで動かす大岩を手先で軽々と持ち上げるほどの力を持っていたが、建御雷神と統治権を掛け相撲を挑むが、手を氷柱にされたり、剣に変えられたりと幻惑され、投げ飛ばされてしまった。敗れた彼は故郷の出雲を追われ、信濃国(長野県)諏訪湖まで逃れ、同地に鎮まったという。戦神、武術の神であるとともに、狩猟、水源(田)の神、風の神でもある。

ダゴン
Dagon, Dagan, Dag
 カナアンの神でアッシリアでも崇拝されていた。バールの父で、魚の下半身に人間の上半身をもった姿をしている。その意味はヘブライ語で「魚の偶像」だとも「穀物」 だともいわれており、豊穣の神であったと伝えられる。クトゥルフ神話に登場する同名の悪神のモデルともなった。

ダーサ
Dasa
 バラモン教の聖典『リグ・ヴェーダ』において、神々の敵対者とされる一族のひとつ。ダスユ(Dasyu)ともいう。ダーサは「黒」と言う意味を持つ。色が黒く、鼻が低く、全く違う言葉を話し、信仰も異質だという。アーリア人がインドに侵入する前の先住民族が元となっていると考えられる。

ダジホーグ
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タニト
Tanit
 アフリカ北部、チュニス湾に臨む古代都市カルタゴで重んじられた豊穣の女神。もとはリビアで信仰されていた神だったらしい。処女神であるとともに大地母神であるともいわれる。豊穣を司るとともに、死後の世界を守る神でもあった。カルタゴはフェニキア人の植民都市であったため、基本的にはフェニキアの神々が信じられていたが、タニトは例外でありカルタゴの独自の神の一人である。ギリシア神話のアルテミス、ヘラなどと関連性を指摘される神である。カルタゴが西アジアのフェニキアから受け継いだ風習に人身御供があり、カルタゴでは特に幼児を生贄にする習慣があった(幼児の中でも男子の第一子が好まれたという説もある)。初期においてはこの生贄はバール・ハモンに捧げるのが一般的だったが、タニト女神が重要視されるとともにバール・ハモンとタニト双方に捧げられるようになった。

ダヌ
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タネ・マフタ
 
 マオリ神話において、ギ・ヌイパパ・ツ・ア・ヌクの間に生まれた六柱神の一人。彼らはこの二人を引き離す(二人は天と地そのものだったので)ためにいろいろな事をしたが、タネ・マフタは大空に肩をあてがい、大地に足を踏ん張って、二人の腱を引き割いて天と地を離した(タネ・マフタだけが天地を引き離すことに成功した)。タネ・マフタは植物などの発育する力を象徴する神で、この伝承も発育の力がいかに強いものかを象徴するものだと思われる。「タネ」は森の意。

玉依姫神
たまよりひめのかみ
 日本神話における水を司る女神。綿津見神の子で豊玉姫神の妹。鵜葺草葺不合神の養母であり、後に鵜葺草葺不合神と結婚して四人の子を産む。その末子が神日本磐余彦尊(かむやまといわれびこのみこと=神武天皇)である。
 「玉依」とは「霊依、魂憑」から来たもので、神の依り憑く巫女、あるいは神霊が憑依する乙女といった意味がある。つまり「玉依」とは元来巫女をさす普通名詞であったと考えられる。また、「玉依姫」という名称は高御産巣日神の娘である万津幡豊秋津姫の子として、また「逸文山城風土記」所引賀茂神社の伝承に賀茂別雷命を丹塗矢で受胎した母として見える。

ターラカー
Taraka
 インドにおいてダイティヤの女のことを指す。悪魔スンダの娘という説と、ヤクシャのスケートゥの娘と言う説がある。ターラカーは高名な聖仙アガスティヤの怒りに触れ、ラクシャシー(羅刹女)に姿を変えられたため、ガンジス川流域の森に住んで、その周辺を荒らしまわっていた。英雄ラーマチャンドラ(=ラーマ。ヴィシュヌの化身といわれる)はその近くに住んでいた聖仙シュヴァーミトラに彼女の討伐を頼まれたが、ラクシャシーといえども女を殺すのはしのびないと思い、弟のラクスマナとともに、彼女の腕、耳、鼻を削ぎ落とした。それでもターラカーは邪術によって石つぶてを飛ばして攻撃してきたので、ラーマによって射殺された。

タラニス
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タルウィ
Taurvi
 ゾロアスター教における悪魔の一人。6人のアメサ・スペンタに対抗する6人の悪魔の一人(ただし諸説あるせいで全員挙げると6人以上いる)。名前は「熱」を意味し、植物を枯らし毒草のみを育てるという。

ダルマパーラ
Dharmapala
 護法神。すなわち法(ブッダの教え)を守護する神々の総称。仏教(とくにチベット仏教)で、修行の妨げになる悪魔や悪しき力から信者達を保護する、激しい性格の神々とみなされている。つまり四天王に似た性格を持っている。チベットでは個々に拝まれる場合もあれば8体からなる集団として崇拝されることもある。後者の場合、ダクシェ「8人の恐ろしい者」と呼ばれ、次の8神からなる。
┌──────────────┐ ┌──────────────┐
│カーラディーヴィー(ラモ)  │ │クベーラ(ヴァイシュラヴァナ)│
└──────────────┘ └──────────────┘
┌──────────────┐ ┌──────────────┐
│ブラフマー(ツァンバ)    │ │ハヤグリーヴァ       │
└──────────────┘ └──────────────┘
┌──────────────┐ ┌──────────────┐
│ベクツェ          │ │マハーカーラマハールカ  │
└──────────────┘ └──────────────┘
┌──────────────┐ ┌──────────────┐
│ヤマ            │ │ヤマーンタカ        │
└──────────────┘ └──────────────┘
 このうちヴァイシュラヴァナは四天王の一人でもある。チベットでは、ダルマパーラはたいてい忿怒相で描かれ、ほつれた髪に頭蓋骨を5つ連ねた冠を戴く。大半がヤブ・ユム(結合像)の姿勢をとり、自らのシャクティを抱擁している。幾体かのダルマパーラは仏教到来以前のボン教の神々である、ローカパーラに由来する。ただしローカパーラの中にはヒンドゥー教に由来するものもある。

タレンヤワゴン
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 ??

タローマティ
 
 ゾロアスター教における悪魔の一人。女の悪魔で、6人のアメサ・スペンタに対抗する6人の悪魔の一人(ただし諸説あるせいで全員挙げると6人以上いる)。名前は「背教」を意味する。人の心の中に潜むという。

タンガロア
??
 ??

たんころりん
 
 日本において、大男で僧侶のような姿をした柿の木の精。「たんたんこりん」とも呼ばれる。柿の木ごとにひとりのたんころりんが宿っており、柿の実がなっているのに放っておいて腐らせてしまうと出現するという。出現するのは夕暮れ時で、柿の実を腐らせてしまった家の板塀の中から、のそのそと通りに出てくる。たんころりんは袂(たもと)の中に柿の実を沢山忍ばせていて、町内を歩き回りながらぼとぼととその実を落としていくという。仙台市のあたりでよく目撃されたといわれる。

ダンタリアン
Dantalian,Dantalion
 ユダヤにおける魔神でソロモン王に封印されたとされる72柱の魔神の一柱。「異相の公爵」と称される。人間の姿で現われるが、その顔は常に老若男女、様々な風貌に変化して定まらない。右手に分厚い一冊の本を手にしており、それには全ての生き物の過去、現在、未来に渡る思考が書かれているという(しかしダンタリアン以外には何が書いてあるのかは読めないという)。科学と技術に詳しく、人の心の動きを映画のように映し出して他人に見せることが出来るという。

タンムズ
Tammuz
 バビロニア神話における豊穣神。イシュタルの兄であると同時に夫。シュメール神話におけるドゥムジに相当するがドゥムジとは違い最初から神であり、イシュタルの実兄だった。死からよみがえったイシュタルの身代わりとして、妻により冥界へと送り込まれた。これはイシュタルが死んでいる間タンムズが喪に服しもせず遊んでいた報復である。冥界に送り込まれたタンムズは、悪魔の手を逃れ二度も地上に帰還するが、結局冥界にとどまることとなってしまった。この神話は、彼が毎年死と再生、結婚を繰り返すことによって地上世界に豊穣をもたらす儀礼を象徴している。