ボストン爆破テロ:逮捕の容疑者に黙秘権など認めず

毎日新聞 2013年04月20日 22時28分(最終更新 04月21日 00時48分)

拘束され、横たわるジョハル・ツァルナエフ容疑者=2013年4月19日、ロイター
拘束され、横たわるジョハル・ツァルナエフ容疑者=2013年4月19日、ロイター

 【ウォータータウン(米東部マサチューセッツ州)小坂大、ニューヨーク草野和彦】ボストン・マラソン連続爆破テロ事件で、米連邦捜査当局は19日にボストン西郊のウォータータウンで逮捕したジョハル・ツァルナエフ容疑者(19)に対し、通常の刑事事件容疑者に認める黙秘権などの権利を認めない意向であることが分かった。米ニューヨーク・タイムズ紙などが報じた。公共の安全に関わる重大事件であるためだが、今後、人権擁護団体などから批判が出る可能性もある。

 15日に発生した同事件では、8歳の男児を含む3人が死亡し170人以上が負傷。ジョハル容疑者は、兄のタメルラン・ツァルナエフ容疑者(26)=当局との銃撃戦で19日死亡=とともに爆弾2個を製造・爆発させ、その後に警官1人を射殺、1人を負傷させた疑いが持たれている。

 米司法省当局者によると、ジョハル容疑者の尋問は、重要容疑者を担当する特別チームが担当。警官隊との銃撃戦で重傷を負い病院で治療を受けているため、回復を待って取り調べる。

 米国では刑事事件の容疑者に対し、黙秘権や、証言が本人に不利な証拠として法廷で使用される可能性、弁護士の立ち会いを求める権利などを通告する手続きが原則として確立され、「ミランダ警告」と呼ばれる。この警告を行わない場合、取り調べで得られた証拠は裁判で使用できない。

 だが、複数の米メディアによると、公共の安全に関わる場合は同原則に例外が認められるという。ジョハル容疑者は爆発物を隠していたり共犯者がいたりする可能性があるため、当局は徹底的に尋問し情報を得たい意向だという。

 米共和党のグラム上院議員は短文投稿サイト「ツイッター」で「ボストン事件の容疑者にミランダ警告を行って黙秘させるのは、避けるべきだ」と発言した。

 米国では約3000人が犠牲になった01年米同時多発テロ後、当時のブッシュ政権が「テロとの戦争」を開始。この中で、テロ容疑者と見なした人物を令状なしで米海軍グアンタナモ基地(キューバ)の収容所に長期間拘束し、拷問だと疑われるような手段で尋問。人権擁護団体などから厳しく批判された。

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