PM2.5:自治体発表の情報、注意喚起に格差 ツイッター活用やHPのみ、メール「見送り」も
毎日新聞 2013年05月09日 西部朝刊
大気汚染の原因となる微小粒子状物質「PM2・5」。九州・山口各県では住民対象の注意喚起に取り組んでいるが、その方法が自治体によって異なり、一部ではニーズに応え切れていない状態になっていることがわかった。例年、PM2・5は5月に濃度が高まる傾向があるが、専門家からは「自治体ごとに広報手段の濃淡があるのは問題では」と改善を求める声が出ている。【吉川雄策】
県などによるPM2・5への注意喚起は、環境省の専門家会合が決めた暫定指針を基に実施される。毎日新聞が九州・山口の8県と北九州、福岡、熊本の3政令市に取材したところ、各県や市はホームページ(HP)への掲載や報道機関への通知といった措置は取っていたが、住民一人一人への周知方法には差があった。
熊本県が電子メール、福岡市が電子メールやツイッターなどで住民に情報を伝えていたが、山口、長崎、鹿児島の3県はHP掲載のみだった。
PM2・5に対する関心は高く、熊本県は3月5日に「大気環境情報メール」でPM2・5の注意喚起を始めたが、開始前日に約1万2000件だった登録者数は、8日現在で約4万7200件に上る。福岡市でも市防災メールでPM2・5の注意喚起を始めると、8日現在の登録件数は2月末より1万2000件以上多い約5万5000件となった。
山口県でもPM2・5に関するHPへのアクセス数は、3〜4月だけで35万4000回を超えた。関心が高いにもかかわらず、県は「県民から問い合わせが増えて事務が煩雑になる」(環境政策課)などとして、電子メールによる配信は考えていないという。また、鹿児島県では防災メールでのPM2・5注意喚起を検討はしたが「防災メールは生命に差し迫った危険がある場合の発信に限られる」(環境保全課)として配信は見送った。
住民ニーズに行政が応えていない現状に、アレルギー疾患の子どもを持つ山口市の女性(36)は「電子メール(携帯メール)は大事な情報がすぐ手元に届くので対策が取りやすい。行政はより多くの手段で積極的に知らせてほしい」と話す。
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◆九州・山口でのPM2.5の広報方法◆
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