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原発テロに備え 合同で大規模訓練
5月11日 18時17分

原発テロに備え 合同で大規模訓練

おととしの原子力発電所の事故を受けて、原発を標的にしたテロの危険性が高まっているとして、警察庁と海上保安庁は、東京電力福島第一原発が海上と陸上からテロリストに襲撃されたという想定で大がかりな訓練を行いました。

訓練は、東京電力福島第一原発をテロリストが襲撃しようとしたという想定で、10キロ余り離れた福島第二原発で行われ、サブマシンガンを装備した警察の銃器対策部隊や、「SAT」と呼ばれる特殊部隊、それに海上保安庁のテロ対処部隊など、合わせておよそ150人が参加しました。
訓練では、テロリストのグループが海上から船で原発に接近しようとしたところを、ゴムボートに乗った海上保安庁の部隊が船に乗り込んで取り押さえたほか、接岸した船に潜んでいたテロリストを、ヘリコプターから降りてきた部隊が射撃して制圧しました。
また陸上では、テロリストが乗った車が原発の正門に突入しようとしたという想定で、防護服に身を包んだ警察の銃器対策部隊とSATが銃撃戦の末にテロリストを取り押さえました。
おととしの原発事故では、放射性物質が拡散し市民生活に甚大な影響が出たことから、警察庁はテロリストが原発をテロの標的にする危険性が高まったとみています。
訓練を視察した古屋国家公安委員長は、「住民の間に原発が本当に安全なのかという不安があったことは否定できず、万全の体制で臨んでいることを示すという点で非常に意義があった。今後は自衛隊を含めた合同訓練も行い、対策に万全を期したい」と述べ、関係機関と連携した原発のテロ対策を進める考えを示しました。

国内の原発テロ対策は

アメリカの同時多発テロ以降、警察当局は、国内の原発がテロの標的になるおそれがあるとして、国内の22か所の原子力関連施設にサブマシンガンを装備した銃器対策部隊を配置し、24時間体制で警戒にあたってきました。
しかし、おととし3月に起きた福島第一原発の事故で、原子炉そのものに被害がなくても、電源設備が破壊され炉心が冷却できなくなれば大事故に至る危険性があることが明らかになり、警察庁は、原発のぜい弱性を狙ってテロリストが同じような事態を引き起こすおそれがあるとしています。
このため福島の事故以降、原発を保有する各国は原発の警戒を強めており、国内では原子炉建屋だけでなく周辺の施設にも警察が警備の部隊を常駐させるなど、原発を狙ったテロへの対策を強化してきました。
ところが、事故直後のおととし3月には、福島第二原発で街宣車が西門のゲートを突き破って警備区域に一時侵入する騒ぎがありました。
またフランスでは、去年、原発に反対する環境保護団体のメンバーが、上空からパラグライダーで原発の敷地内に侵入して安全面の問題を訴えるなど、警備が万全でないことを示すような出来事が相次いでいるのが現状です。
こうしたなか、今回の訓練は、関係機関がテロリストの襲撃を現実のものとして捉え、原発への侵入を防ぐための対策を徹底しようと行われました。

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