「地政学的必要性」、言い換えれば米軍を沖縄に置き続ける理屈に、合理的な根拠がないことは、証明し尽くされた感がある。それにまた一つ論拠が加わった。
米海兵隊が普天間飛行場の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイをオーストラリアのダーウィンに移駐する案を検討している。
従来、米側は普天間のヘリ部隊の移駐先について、在沖海兵隊から65カイリ(約117キロメートル)以上離れた地点には置けないと主張してきた。鳩山政権で浮上した徳之島移設案がついえたのも、米軍が付けたそうした条件のせいでもあった。5千キロ離れたダーウィンに移駐できるのなら、あの条件は何だったのか。
もはや子供だましのような米軍の条件に振り回される必要はない。日本政府も現実を直視し、海兵隊や代替施設の必要論、県内移設不可避論の呪縛から脱するべきだ。
今回の豪州移駐論はグレイビー海兵隊准将が講演で明かした。
2012年の日米合意では在沖海兵隊について「グアム以外にハワイや豪州へも移転」と決めていたが、豪州移転の規模や部隊は決まっていない。同年9月、豪州国防省が「沖縄のオスプレイをダーウィンに展開する可能性はある」と述べたが、当の米国側がどういう考えか不明だった。だが今回は海兵隊の航空戦力担当副司令官補の発言だ。可能性は高い。
准将はオスプレイと空中給油機を組み合わせ、例えばアフリカに出動する構想も紹介した。オスプレイ自体に空中給油機能を持たせ、世界全域で活用する構想もある。
すると、普天間の県内移設だけでなく、オスプレイの沖縄配備自体の前提条件も崩れる。世界規模の運用になる以上、沖縄にしか配備できない、本土に配置できない
という理屈は成り立たないからだ。
そもそも財政危機により米国は軍事費の大幅削減が避けられない。口ではアジア重視と言い続けるだろうが、現在のような軍事力の展開を維持することはいずれ不可能になる。
それに照らせば、普天間について「少なくとも10年から15年使用する」と上院で主張した米海兵隊当局者の弁にも疑問がわく。存続の危機にある海兵隊が希望的観測を述べたにすぎないと見るべきだ。
長期的に見れば黙っていても退かざるを得ない米軍のために、数千億円も投じて新基地を建設する必要がないのは明らかだろう。
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