特定の民族をおとしめ、暴力や差別をあおるために激しい侮辱の言葉を投げ付ける。そんなヘイトスピーチ(憎悪発言)を繰り返すデモ行進が在日コリアンの住む東京・新大久保などで行われるようになった
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在日特権を許さない市民の会(在特会)がデモを呼び掛けている。「在日韓国・朝鮮人が特権を持ち、日本社会の脅威になっている」と主張、インターネットで支持を広げた。在日の人々をゴキブリと呼び、「殺せ!」と連呼する
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先日の参院予算委員会。民主党議員はデモを問題視し、安倍晋三首相のフェイスブック(FB)にも排外的な書き込みが増えていると指摘。安倍首相は「一部の国、民族を排除する言動は残念」と、エスカレートを止めるべくFBにコメントしたいと答えた
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人種差別撤廃条約は差別の扇動禁止を求めている。ドイツはユダヤ人差別の反省から処罰の対象だ。日本は、立法化を検討するほどの状況にはない―との立場だ。議論が出始めているが、その前に政治家の言動が憎悪をあおっていないか、自戒してほしい
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在特会のHPで活動の記録動画を見た。従軍慰安婦の補償を訴える女性の街頭演説に「朝鮮人の手先か」と割り込む場面があり、演説は中止になった。フランスの思想家、ボルテールの名言がある。〈私はお前の言うことに反対だ。だが、お前がそれを言う権利を私は、命にかけて守る〉