大和がダメ押しの2点二塁打【拡大】
(セ・リーグ、ヤクルト0-5阪神、10回戦、阪神7勝3敗、10日、松山)まさしく、松山名物の鯛めしに匹敵する味わい深さがひと振りに凝縮されていた。大和がダメ押しの2点二塁打。虎が誇るツバメキラーが勝利を決定づけた。
「自分も(ファウルか)どっちかなと思いましたが、フェアになってよかった」
振り返ったシーンは五回。3点を先制し、なおも一死一、三塁で迎えた第3打席だ。先発左腕・石川の2球目。懐を鋭くえぐる132キロのカットボールに対し、軸となる右足でクルン! ひじをきれいにたたむ巧みなバットさばきも加わり、捉えた打球は左翼ライン上で弾んだ。
メッセンジャーに続いて一塁から西岡も生還し、二塁ベース上でニッコリ。普通ならファウルになるようなコースをフェアゾーンに落とす、芸術的な一打を「自然に反応しました」。かつて、非力と言われていた男が何度もマメをつぶして作り上げたスイングは、努力のたまものだった。
タレント揃いのタテジマ軍団にあって、以前は控えめだった背番号「0」も個性を意識し始めた。そのひとつが今季からリストバンドをやめたこと。「みんなリストバンドをやっているので、同じになる。逆にしない方が目立つかなと思って」。レギュラーとして、猛虎の将来を引っ張る自覚が芽生えている。
「けっこう(ヤクルト戦は)打っているので、いいイメージのなかでやれていると思います」
対ヤクルト戦は驚異の打率・476(42打数20安打)。“めでたい”データを携えた不動の2番打者が、11日の第2ラウンドも快進撃の一躍を担う。 (小松 真也)
(紙面から)