ついに米議会からも嫌悪される安倍首相の断末魔
【政治・経済】
「国益を害する」「強硬なナショナリスト」
米国の議会局が日米関係の報告書を今月1日にまとめたことは、9日の東京新聞がスクープした。
報告書では安倍首相のことを「強硬な国粋主義者(ナショナリスト)」として知られ「帝国主義日本の侵略やアジアの犠牲を否定する歴史修正主義にくみしている」と指摘。「地域の国際関係を混乱させ、米国の国益を害する恐れがあるとの懸念を生じさせた」と容赦なくバッサリだった。
菅官房長官は9日の記者会見で「誤解に基づくものだろう」「レッテル貼りではないか」と取り繕ったが、米国に嫌われたら安倍政権はもたない。ホンネは焦燥の極みだろう。報告書は三十数ページにわたるというが、そのサマリーを読んだ元外交官で評論家の天木直人氏はこう言った。
「ここまで書かれたら、内閣総辞職モノじゃないですか。前代未聞です。日本は、戦後一貫して日米関係は最重要だと言い続け、そのために対米従属に終始してきた。それを『米国の国益を害する』という表現まで使われるなんて、いまだかつてなかった。だからといって、米国に頭が上がらない安倍首相は反論することなどできないでしょう。例えば中国だったら国防省の報告書に自国の見解と違うことがあればすぐに反論している。日本だって、この報告書の存在をもっと早く把握していたはずで、外交力があれば事前に修正もできたはずです」
<米中韓接近で日本は孤立>
日本は日米同盟を金科玉条のごとく重視し、長年にわたってシッポを振ってきたのに、米国からハシゴを外された形だ。報告書は、米議員が日本について議論する際の重要な判断材料になる。ほとんどの議員は実際は日本のことをよく知らない。「安倍首相はとんでもない右翼」というイメージだけがドンドン固まっていくことになる。
「TPP参加では米議会の承認が必要です。今後の交渉においても、日本はますます米国にへりくだらざるを得なくなるでしょう」(天木直人氏)
訪米した韓国の朴大統領をオバマ大統領が厚遇したが、米国は中国にも接近している。「侵略の定義は国際的に定まっていない」と発言する安倍首相がトップでいる限り、日本は孤立するばかりだ。