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【静岡】

熱海、自転車なき坂のまち 銀輪観光こぎ出す

◆「電動」で傾斜スイスイ

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 国際観光温泉文化都市の熱海だが、あまりに急な坂道は、市民生活から自転車を遠ざけ、観光客も徒歩かバス・タクシーでの移動が常識だ。そんな坂のまちで、電動アシスト自転車を使った観光客向けレンタサイクルビジネスが始まった。果たして、銀輪観光は根付くのか−。

 大型連休目前の四月二十六日、市職員ら八人が自転車にまたがり、熱海海岸からJR熱海駅までの三・五キロを疾走した。一見婦人用自転車だが、電動アシスト付き。急傾斜でも隊列は乱れない。観光客から「頑張れ!」と声援も飛び、無事にゴール地点のホテルにたどり着いた。

 ミス熱海梅娘の白石璃沙(りさ)さん(27)の自転車乗車は三年ぶり。「坂を上っているのに押されている感じ。少し汗ばみましたが、大丈夫だと思います」と普及への手応えを話した。

 市内では自転車にめったにお目にかかれない。熱海商工会議所によると、自転車店はない。中学生も歩くかバスか電車で通学。熱海駅近くの三百六十台収容の二輪駐輪場も自転車用は十台分だ。

 レンタサイクルに名乗りを上げたのは、都内の省エネコンサルタント業「リレーションズ」。十月末まで試験営業する。観光名所「貫一お宮の像」近くのコンビニ店、熱海駅そばのホテルの二カ所に四台ずつ配置。サイクリングを楽しんだ後、どちらかで返却手続きをする。三十分ごとに百円で午前九時から午後七時まで。精算はクレジットカードだ。担当の土屋敬さん(28)は「今後は駐輪場を増やすこと。便利さをアピールできれば」と期待する。

 ただ、電動アシスト車を使った試みは、今回が最初ではない。熱海建設業協会などは三年前、可能性を探った。にぎわいづくりが市の税収アップにつながり、やがて公共工事も増える−。そんな夢を描いていた。

 参加者から「ドライブと異なる景色に感激した」という声の一方、「トンネル内の走行が怖い」などと課題が浮き彫りに。活動の中心にいた渡辺修さん(64)は「自転車専用レーンがないと危なく、行政の道路対策が必要という結論」と振り返る。

 サイクリングマップもない現状だが、移動手段を増やして観光の幅を広げたい願いは市も同じ。渡辺昭信観光建設部長(59)は「車通りの少ない裏道ルートを紹介できるよう考えたい」と話している。

(斉藤明彦)

 

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