安倍晋三首相が、夏の参院選に合わせて衆院も解散し、衆参ダブル選挙に打って出るという憶測が永田町で広まっている。安倍首相は6日夜、都内の私邸で、麻生太郎副総理兼財務相と約1時40分間ほど密談したが、今後の政権戦略について深く話し合ったようなのだ。ダブル選挙に慎重だった自民党の石破茂幹事長も可能性に言及し始めたという。
「適切な時期を捉えて、適切な時に(衆院を)解散をしたい」
安倍首相はゴールデンウイークに合わせ、ロシア・中東3カ国を歴訪。外遊先のサウジアラビアで1日、同行記者団からダブル選挙の可能性を問われ、否定も肯定もしなかった。
衆参ダブル選挙は今年3月、広島高裁などが昨年末の衆院選について「無効」を宣言して以降、取り沙汰され始めた。安倍政権は参院選の焦点に憲法96条改正を位置付けているが、無効判決を受けた衆院をそのままにすれば、護憲派勢力に「衆院多数の正統性」について攻撃されかねないからだ。
アベノミクスによる日本経済の復活傾向を受け、安倍内閣や自民党の支持率が高止まりしていることも大きい。一方、野党は民主党を筆頭に存在感を示せておらず、自民党関係者は「安倍首相は政権奪還後、民主党政権時代に何が行われたかを調査し、『民主党は日本を壊そうとした』と確信した。ダブル選挙で息の根を止めることもあり得る」と語る。
自民党ナンバー2の石破氏はこれまで「ダブル選挙には慎重だ」といわれてきたが、時事通信は9日、「関係者によると、自民党の石破茂幹事長が4月1日に東京都内で民主党の前原誠司元外相と会談し、ダブル選の可能性に言及した」との記事を配信した。
ただ、想定される参院選の日程(7月4日公示、同21日投開票)を前提とすれば、ダブル選挙の日程はかなり窮屈だ。衆院小選挙区を「0増5減」して区割りを変更する公職選挙法改正案の施行は公布から1カ月後。ダブル選挙の投開票を7月21日にするには、衆院選公示は同月9日で、法案を6月9日までに成立させる必要がある。
安倍首相は決断できるのか。
■関連記事
⇒7月衆参ダブル選急浮上! 「無効」判決相次ぎ首相決断か 民主の息の根止める
⇒参院選、大物21人落選危機 舛添氏、民主閣僚経験者ら苦戦 角谷浩一氏分析