発表資料: 2012年01月24日

プラスチック量を削減し、植物由来ポリエチレンを使用したつめかえ用パックを開発

~包装容器由来のCO2削減の一環として、ヘアケア製品の主要ブランド「メリット」に採用~

花王(社長・尾崎元規)は、製品の環境負荷低減への取り組みとして、包装容器由来のCO2削減を推進しています。この取り組みの一環として、このたび、プラスチック量を削減し、植物由来ポリエチレンを使用したつめかえ用パックを開発しました。

今回開発したつめかえ用パックは、薄肉化によりプラスチック量を削減し、全重量に対し約10%を植物由来の素材(ポリエチレン)に置き換えることで、従来品と比較してCO2排出量を約12%削減することができます。2012年2月より、ヘアケア製品の主要ブランド「メリット」に本パックを採用し、今後、ほかの製品への応用検討を進めていきます。

背景と目的

花王は、多くのご家庭で毎日お使いいただく製品を提供するメーカーとして、製品の包装容器に使われるプラスチック使用量の削減に取り組んできました。その一環として、プラスチック使用量のより少ないつめかえ・つけかえ製品の普及に努めています。1991年に、台所用洗剤「モア」でつめかえ用パックを発売して以来、現在では100を超えるつめかえ用・つけかえ用製品があり、その転換率は80%に達しています。さらなる普及と環境負荷低減のために、花王では、つめかえ用パックの薄肉化、ユニバーサルデザインの取り組みを継続して進めています。

また、2009年に環境宣言で掲げた「CO2削減の中期目標」達成に向けた活動の一つとして、まず、全製品の容器包装の見直し、容器包装の材料の削減と素材の置き換えをすることで、2012年度までに、包装容器由来のCO2の10%削減(2008年度比)に取り組んでいます。具体的には、「容器のプラスチック量の削減」「外包装のプラスチック量削減」「プラスチック量の少ない容器形態の選択」「つめかえ・つけかえ品の拡充」の4つの方法で、可能な限り、材料使用量の大きなブランドから進めています。

今回は、つめかえ用パックのCO2排出量を削減することを目的に、プラスチック量をさらに削減し、植物由来ポリエチレンを使用したパックの開発検討を行ないました。

技術内容

(1)薄肉化によるプラスチック量削減

つめかえ用パックは、0.1~0.2mm程度の複合フィルムでできています。プラスチック量削減のためにフィルムを薄くすると、靭性(ねばり強さ、亀裂のできにくさ)の低下が生じ、落下時や輸送時の耐衝撃性能や店頭の棚での自立性能の劣化などの課題が生じます。また、自立性能を重視して単純に剛性(外力による変形に抵抗する性質)を上げると、フィルムがもろくなり、耐衝撃性能が劣化するなど、最適化が必要でした。
そこで、さまざまなプラスチックの組み合わせを検討し、剛性を高めながら靭性を失わない組成を得ることに成功しました。その結果、薄肉化によりプラスチック量削減を行ないながら、強度、自立性など、従来のものとほぼ同等の特性を有するつめかえ用パックの開発に成功しました。

(2)植物由来ポリエチレン使用

植物由来ポリエチレンは、計画的に栽培されているさとうきびから砂糖を製造したあとに残る、廃糖蜜を発酵して得られる再生可能なエタノールを原料として製造され、焼却時に排出するCO2がゼロカウントとなる環境影響の少ないプラスチックとして注目されています。
つめかえ用パックはポリエチレンをベースとした複合フィルムで、強度、柔軟性、遮蔽性など容器としての諸条件をクリアする必要がありましたが、植物由来ポリエチレンのさまざまなグレードについて評価を行ない、最適なものを選択しました。

以上、二つの技術の組み合わせにより、従来品に比べ、CO2排出量を約12%削減できるつめかえ用パックを開発し、「メリット」に採用します。

※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。