最終更新: 2013/05/10 18:44

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深刻化する医師不足、首都圏の救急医療の現場に密着しました。

深刻化する医師不足、首都圏の救急医療の現場に密着しました。
首都圏で深刻化する医師不足と、救急医療の危機的な状況。
2013年1月、救急搬送中の埼玉・久喜市の男性を、25の病院が受け入れできず、男性は、およそ3時間後に死亡しました。
この男性のかかりつけだった埼玉県の病院を密着取材しました。

埼玉・久喜市の病院に救急搬送をされてきたのは、背中に激しい痛みを訴える中年男性。
その10分後、隣接する茨城県からも、救急車が到着した。
埼玉県済生会栗橋病院の「地域救急センター」は、入院や手術を必要とする救急患者に、24時間対応している。
この夜の当直は、消化器内科の五十嵐 悠一医師(32)。
ここでは基本的に、当直の医師が1人で、救急搬送と夜間の救急外来の両方に対応している。
理由は、慢性的な医師不足にある。
埼玉県済生会栗橋病院消化器内科の五十嵐医師は「スタッフの数、医者の数が少ないので、責任感がやっぱり重いですね。個人の印象としては、『ぎりぎりで、なんとか回っている』というところが現実だと思いますね」と話した。
意識障害の10代女性。
呼びかけに全く反応せず、危ぶまれたが、検査の結果、軽い急性アルコール中毒と判明した。
この夜、5人目の救急搬送は、脳梗塞疑いの患者だった。
後遺症の可能性がある、対応が難しい疾患。
消化器内科の五十嵐医師にとって、脳梗塞は専門外だが、当直では、基本的に全ての患者を診なければならない。
このような態勢の病院は、決して少なくないという。
五十嵐医師は「目の前で患者さんが具合悪くなってしまっているときに、『もう本当に自分しかいない』と思うと...。怖いと思ったこと、まあ、本当、いくらでもありますけどね」と話した。
五十嵐医師は、脳梗塞疑いの患者を集中治療室で管理することにした。
あまり知られていないが、埼玉県の人口10万人あたりの医師数は、全国最下位の142人。
さらに、茨城県、千葉県がワースト3を占め、首都圏全体の医師不足が深刻化している。
夜が明けて、腹部に刺すような痛みを訴える、40代男性が搬送されてきた。
男性は「(イカとか、シメサバとか食べてない?)生は食べてないですね」と話した。
寄生虫や食中毒の可能性は低い。
痛みの原因をなかなか特定できない、五十嵐医師。
この朝、出勤してきた外科チームに、協力を仰いだ。
CT画像を確認した本田 宏医師は、異変を見つけた。
埼玉県済生会栗橋病院外科・院長補佐の本田 宏医師は「(腸が)捻転している可能性が否定できないね」と話した。
本田医師は、男性に「おなかを開けて、ちゃんと診て、(腸捻転を)戻す治療をした方がいいと思います。痛いですもんね、ちょっとこのままじゃ、ちょっともたないですよね?」と話した。
搬送から3時間後、緊急手術が始まった。
通常の診療と並行して、突発的な救急患者に対応する外科チーム。
こうしたことは日常茶飯事だが、負担は大きい。
本田医師の予測通り、腸閉塞になっていた男性。
外科手術による素早い処置が必要なケースだった。
本田医師は「よかった。(腹部を)開けて大正解でした」と話した。
緊急手術は無事に終了。
男性は、2つの病院から受け入れ不能と言われ、ここに運ばれてきた。
男性の父親は「(搬送不能の理由を)医師がいないとか、混んでいるとか。こっちはもう腹痛くて、きりきり舞いしているのにね」と話した。
栗橋病院では、この4年間、受け入れ不能は年間900件余りと、ほぼ同じ。
一方、救急搬送は、年間700件以上も急増している。
現場がいくら努力しても、追いつかない状況だという。
五十嵐医師は「自分も、どうしてもいろんな事情で、(搬送を)受け入れできなかったこととかもあるので。根本的なもの(医師不足)を解決しないと、今後も同じようなことが起きてしまうんじゃないかと思いますね」と話した。
この夜、五十嵐医師が対応したのは、救急搬送9人と、救急外来に訪れた12人。
当直明けは一睡もせず、通常の勤務に就いていた。

(05/09 02:28)


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