文字の大きさ

しいたけ皮膚炎 - 夏のバーベキューにご注意


夏に多発するシイタケ皮膚炎

シイタケ皮膚炎は夏の病気です。焼き肉ビール・バーベキューの季節に、多くの患者が発生します。いままで、シイタケを触ったり、食べたりしてもなんでもなかった人に突然、かゆい発疹が現れます。患者さん自身、シイタケが原因だと自覚して来院される場合はほとんどありません。ほとんどの場合、焼きシイタケ(多くは生焼け)を摂取してから、1~4日以内に、胸、腹、背を中心に激しいかゆみのある発疹が出現します。発疹は非常にかゆいことそして、ひっかいたあとに一致した発赤(ぽちぽちとした丘疹や盛り上がった紅斑)が特徴的です。あたかも、鞭でたたかれた痕、あるいは熊手で引っ掻いたかのように体幹を中心に線状の発疹ができます。患者の多くが、ビールなどのアルコール飲料といっしょにシイタケを摂取したときに発症する印象があります。外来で「昨日か一昨日、シイタケをやいて食べませんでしたか?」と聞くと「先生、どうしてわかるんですか・・」と患者さんはすごく驚きます。

 シイタケは危険な食物?

シイタケ皮膚炎の患者はその後、シイタケを食べても必ずしも再発するとは限らないので単純なアレルギーとは違うようです。通常、下痢などの胃腸症状は伴いませんが、集団発生例もあります。原因物質は加熱により変性する生シイタケの成分が原因といわれていますが、稀にはシイタケの戻し汁やシイタケエキス、シイタケチップ菓子などでも発症することがあります。

治療は?

治療はステロイドの外用と抗ヒスタミン薬の内服により1週間から10日間で治癒しますが、かゆみの激しい重症例では、ステロイドの短期内服が必要です。以前、TVの超人気健康番組で、「乾しシイタケの戻し汁飲用が高血圧や高脂血症を改善する」との放送があり、全国各地でシイタケ皮膚炎が多発した事件がありました。シイタケはしっかり焼いて食べましょう。

こんな時は皮膚科へ

シイタケ皮膚炎はかゆみが強いですが、生命の危険はありません。発疹が急に広範囲に出てくる病気は沢山あります。重症薬疹や内臓疾患と関連する皮膚病では命にかかわることもあります。きちんとした診断、適切な治療をうけるためにも発疹がでたときには、早めに皮膚科専門医を受診して下さい。

他の記事

このページのトップへ