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EVE burst error

EVE burst errorに関する基礎情報

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ストーリー概要

小次郎編

売れない私立探偵天城小次郎。彼が引き受けた依頼は、紛失した絵画の捜索だった。
「見つけても、居所を教えるだけで、何もするな」……高額の報酬、秘密の多い依頼人、謎だらけの仕事。
背に腹は代えられない小次郎は渋々依頼を引き受け、捜査の末に絵画を見つけ出す。
しかしそれはほんの始まりに過ぎなかった―― 小次郎が探偵として依頼を達成したその日の夜、殺人事件が起こり、小次郎は巨大な陰謀劇に巻き込まれていくことになる。

まりな編

国家機関のエージェント法条まりな。 彼女に与えられた任務は、エルディア共和国大使、御堂の一人娘である御堂真弥子の護衛だった。
外国人学校に通う真弥子の専従講師として、彼女を守るまりな。 幾つかのピンチを乗り越え、まりなは真弥子の閉ざされた心を開いていく。
しかし加速度的に真弥子に対する攻撃が激しくなっていき、彼女に隠された謎が明かされる。 それは、血塗られた陰謀の、ほんの一端でしかなかったのだ……。

ソフトについて

PC-98版「EVE burst error」
EVE burst errorのスタート地点です。いわゆるエロゲーですね。現在は入手が非常に困難だと思われ、商品紹介もできません。 Windowsで簡単に遊ぶ方法もありますのでそれについては後述。
発売から十年以上も経っていますので、グラフィックがとてもチープです。色数も少ない時代でした。 何しろゲーム本体はフロッピーディスクでの発売でした。 EVEだけに限らずですが、98のゲームにおけるFM音源のサウンドは現在も高い評価を得ているようです。


セガサターン版、Windows版「EVE burst error」
出版社/メーカー: シーズウェア
発売日: 1999/07/16
メディア: DVD-ROM

オリジナルのPC-98版をベースにした、移植作品です。
大きな違いは、98版にはあった18禁な要素が削られていることです。
これはWindows版でも同じです。
家庭用ゲーム機への移植ということもあって、エロワードやエロCGが削られるのは仕方ないところなのですが、 それに伴ってストーリーにも、ほんのわずかですが影響が出てしまっています。
基本的な大筋は変わっていませんし、何よりBGMやグラフィックが大幅にグレードアップしています。
それから、特筆するべきは、豪華声優によるキャスティングです。
クライマックスへ向けて疾走するストーリーを、飛躍的に盛り上げてくれる要素だと思います。


Playstation2版「EVE burst error+(Plus)」
出版社/メーカー: ネットビレッジ
発売日: 2003/07/24
メディア: Video Game

こちらは移植というよりも、リメイクです。 キャラクターデザインやキャストにも、少なからぬ変更が加えられています。 ベースには98版、サターン版があってストーリー展開などは全く変わりませんし、 後述するゲームシステムについても、そのインターフェイスは改善され遊びやすくはなっています。
たぶんゲームショップなどでも、安価で手に入れられるのではないかと思うので入門(?)には良いかも知れませんが…… しかし初めて遊ぶ方にこそ、上の方で書いた98版、サターン版、Window版を遊んでいただきたいと個人的には思っています。


Windows版「EVE」
出版社/メーカー: シーズウェア
発売日: 2003/11/28
メディア: DVD-ROM

サターン版と内容が変わらないWindows版と違って、こちらの方は、PS2版を下敷きに、エロ要素を加えて移植したものです。 こちらには元祖PC-98版の「EVE burst error」が同梱されていまして、入手も容易ですので、2008年現在ではオススメです。 「EVE burst error」の前作とも言える、PC-98で発売されたエロゲ 「悦楽の学園」(EVE burst errorのキャラクターである氷室恭子が登場します)も収録されており、お買い得です。

基本システムについて

基本的には古風な、コマンド総当たり式のアドベンチャーゲームです。
「見る・調べる」、「話す」、「移動する」といったコマンドを場面ごとに選んで、テキストウィンドウに表示されるセリフなどを読んでいけば、 ストーリーが進んでいくという単純明快かつ面倒くさいシステムです。 ですので、攻略に行き詰まるということはほぼ無いと言っても良いのではないでしょうか。 移植やリメイクが進むにつれて、このあたりのインターフェイスは改善されてきているようです。

マルチサイトシステム

これこそがEVEを「アドベンチャーゲーム」たらしめているシステムです。

「EVE burst error」には、ジャンルとしてはミステリー、スリラー、サスペンスあたりになると思うんですが、一本の大きなストーリーがあります。
そして立場の違う、二人の主人公――探偵の天城小次郎、捜査官の法条まりな、それぞれにシナリオが用意されています。 プレイヤーは、二つのシナリオを交互に進めていき、最終的にはストーリーに隠された謎が明らかになる、という仕掛けです。
序盤は、全く別の事件を追っているかのように見える二人の主人公は、実は……と、簡単に言えばそんな感じのシステムです。
要所要所で、シナリオを切り替える必要があるのが特徴です。ゲーム攻略において行き詰まる可能性があるのはそのあたりでしょうか。 リメイク版では切り替えの合図が出たりもして、随分親切かつスムーズに進められるようになっていると思われます。

小次郎とまりなは、全く同じ世界、時間の上で進んでいき、お互いがお互いに、知らないうちに影響を与え、それが事件を解決するきっかけになるわけですね。
EVE burst errorにおけるマルチサイトシステムの代表的かつもっともなスリリングなシーンは、何と言っても 物語後半の「ハッキング」でしょう。こればかりは実際にゲームをお楽しみいただいて、感動を共有できればと思います。

ゲームシナリオ

現アーベルソフトウェアの社長(だと思います)菅野ひろゆき氏、当時は剣乃ゆきひろと名乗っておりましたが、 シナリオやシステム、プログラムにいたるまでを、彼が担当していたようです。 菅野氏に関することや他作品、ストーリーに関することはここではひとまず置いておきます。

盛り上がり方、というんでしょうか。
ご存じの通り、EVE burst errorは小次郎編とまりな編の二つのストーリーがあり、 クライマックスのラストシーンまでは、時折すれ違ったり実際に出会ったりしつつも、二人は別々の物語を進んでいきます。 最初は二人とも全く別の事件からスタートするということです。
これが結構、退屈です。小次郎編なら絵画捜索、まりな編なら女の子の護衛、です。 はっきり言って、ワクワクしないフレーズです。今ひとつエキサイティングではないです。

ところがその、つまらなさそうな案件を進めていくうちに、徐々にではありますが不穏な雰囲気が流れ始めます。 そしてそれは殺人事件というかたちで爆発し、そこから一気にストーリーは転がりはじめ、 謎が謎を呼び、クライマックスへとなだれ込むというわけです。 BGMとCGに支えられた重厚なシナリオとミステリアスな物語、テキストがプレイヤーを引き込んでいくというわけですね。

さて、ここからは批判めいたことも少し。 まず誤字やミスがとても多いです。ストーリー上絶対にあり得ない矛盾とかも、わずかながら存在します。
ファンの間で使われている言葉ですがいわゆる「菅野節」「剣乃節」、 上述したストーリーの盛り上げ方、つまんない下ネタや下品なギャグなんかを指す造語です。 これは個人的には好きなんですが、嫌悪感を示す方もいるようです。その辺は好みが分かれるところではあります。

そして、これが最大の論点になることが多いのですが、 EVE burst errorのオリジナル、PC-98版やセガサターン版には、物語を終えた後、 プレイヤーがゲーム中で起こった事件を回想して「犯人入力」をし、それが正解であれば真のエンディングを見ることができる ってのがあるんですね。

もしEVE burst errorを推理アドベンチャーだと表現するとしたら、酷評されてもしょうがないくらいのものです。 推理というのは断片的な事実をつなぎあわせて真実を導き出す思考なわけですが、 その断片の数が全然足りないんですね。
そしてこれはストーリーの核心に関わることですので、具体的には申しませんが、推理材料にフィクションの要素が含まれています。 それ自体は全く問題ないのですが、それが明らかになるのは最後の最後です。要するに呈示するのが遅すぎるということです。 この辺も批判の対象になっています。

分からないなら想像で埋めてくれ、ということだと思うんですが、それなら犯人入力などさせるなよ、という意見をよく見受けます。 実際、リメイクされたPS2版では犯人を入力しなくてもゲームを終えられます。

が、私はこの犯人入力についてとても肯定的な立場です。
なぜならこのシステムは、「プレイヤーは、必ず一度は間違える」ことを想定して作られていることは明らかだからです。 犯人を間違えて入力した場合でも、真犯人を導き出すための、「かなり解答に近いヒント」を得ることができます。 それを見たあともう一度挑戦してもらうことを想定しているのだと思います。
私も推理小説は大好きで、 「トリックや手がかりは呈示されているが全く分からず、解決編を読んで目から鱗」 なんていう体験が何度もあってそのたびに清々しい「やられちゃった感」を感じられるので、 EVEの犯人捜しについては幾分ズルいと思うこともありますが…… ビデオゲームである以上、「見る・調べる」、「会話」だけを選んでいくだけでは小説と変わらない。 最後に難題を突きつけることでゲームとしての体面を保っていたようにも思えます。

犯人入力は賛否両論あって、否定的な意見も理解できます。 けれども、それも含めてEVE burst errorなのではなかったのかと、今の私は考えています。

グラフィック

シリーズが進むにつれて、小次郎やまりな他のキャラクターをデザインする担当者がかわっていきますが、 オリジナルともいうべきPC-98版やセガサターン版のキャラクターデザインは田島直氏が担当してます。
小次郎やまりな、弥生に氷室……といった魅力的なキャラクターを生み出し、また、 暗殺者《テラー》による凄惨な殺人現場を見せつけて我々にトラウマを植え付けたのは彼の仕業です。
立ち絵もさることながら、イベント用CGにおけるキャラクターの、微笑みや悲しそうな顔が今でも忘れられません。

EVE burst errorの他には、EVEと同じくPC-98からWindowsやセガサターンに移植された『DESIRE』、 アーベルから発売された『エクソダスギルティー』、『不確定世界の探偵紳士』などでもデザインを務めてらっしゃいます。 今後の活動にも期待がかかりますが、はてさて。

その他背景やCGに関するディレクター、監督みたいな立場が野口征恒氏という方で、 「明日のジョー」が大好きらしく、背景のいたるところにジョーがいます。 トリスタンのデッキには丹下段平までいました。
「なんでジョーがいるんだよwww」で済ませられるのは一枚だけだと思うのですが……。 ただのモブシーンとはいえ、どう考えても趣味を反映させすぎではないかと感じました。
98版ではエッチシーンだったところが、セガサターン版ではそのまま発売できないので CGを差し替えたりしているわけですが、その時点で田島氏が会社を去っていたのか、他の事情があったのか分かりませんが、 どうやら野口氏が新しく原画を描いていたように見受けられました。違っていたら申し訳ありません。
ちなみに「EVE THE LOST ONE」でもデザインを担当してらっしゃいます。

サウンド

梅本竜氏、高見龍氏の二名が担当者だそうです。 詳しい事情がよく分からないのですが、お二人は今も交流?があって、ブログを運営してらっしゃるようです。
後に発売されたEVEの続編やリメイク版などでは別の方がサウンドを担当していますので、 私のような原理主義的なファンには、EVEの要素として重要なサウンドが欠落してしまっていて盛り上がりに欠ける、などと感じてしまうものです。
梅本氏については、EVEの他にも、『DESIRE』や『XENON』、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』などでもサウンドを担当していたみたいです。 詳しく調べられればいいのですが……。

EVE burst errorには何というか、メインテーマというか……いくつか、メインになる旋律があって、 そこから様々なかたちでアレンジされ場面ごとに非常に効果的な演出が行われています。
まりなが真弥子をなぐさめるシーンで流れる、「安らぎ」。
小次郎たちがその明晰な頭脳で事件について考えるシーンの、「推理」。
小次郎とまりなが政府の中枢データベースに侵入を試みるシーンの「ハッキング」……。
そして何よりも、全ての真相を明らかにしたプレイヤーだけが聞けるエンディング曲。


かなり個人的かつ感情的な評価になってしまっていますが、文句のつけどころが見あたりません。 惜しむらくは、入手可能なサウンドトラックには収録されていない曲がたくさんある、ということでしょうか。 曲目リストをどこかに載せますが、曲名にネタバレが含まれるので別のページに。

DESIGN BY YEAR OF THE CAT

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