Under The Flags

AC長野パルセイロ観戦記「ポール下の目線」、チケットの査定、メンバーのフットボールコラムなど


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試合開始約2時間前に到着すると、大荒れの予報もどこ吹く風、比較的穏やかな南長野。

ところがキックオフ1時間前に雨が降り出す。そしてそれは徐々に強まる。

バックスタンドに集まってくる仲間たちの装いも、さながら「船釣り」や「登山」といった重装備。


薄暗いスタジアムに照明が灯る。非日常な感じと薄暗さが混じり合い、不気味な雰囲気を醸しだし、その不気味さはゲームに向けて気持ちを高めている私たちをさらに興奮させる。

「いい雰囲気じゃねえか」

「照明点いたゲームっていつ以来だ?」

「よし燃えて来た!降れよ雨呼べよ嵐!」

「おいおいこれ以上雨降るのは勘弁だぞ」

「そうだよ、やめてくれ」



ゲームが始まって、今までの中盤にポッカリと空いていたスペースは不安定ながら改善されつつある事が判る。

しかし攻撃に転じた時に枚数が足りない場面が何度も見受けられた。故にシュートまでたどり着く攻撃がほとんど無いと言っていい。

そして未だに掴めぬ選手間の距離関係。中盤からの効果的なショートパスは殆ど通らず。

攻撃に困った時は最終ライン或いは中盤の底から縦のロングボールを蹴りこむ。そして相手DFに跳ね返されるの繰り返しでゲームが進む。

ツエーゲン金沢は、選手間の距離を詰めてショートパスを多用して巧みに攻撃する。

不安定な中盤のスペースを突かれ、何度も決定的なチャンスを作られるが、シュートの粗さが目立ち無失点でゲームが進む。

「相手が強ければ3-0くらいになってるだろコレ」

「相手に助けられてるよ」


停滞する攻撃にイライラが募り出した前半39分。

素早い攻撃から畑田が前線へスルーパス一閃、反応した宇野沢が相手DFを背負いながら突進。

「パス通った!」

「撃て!」

「決めろ!」

縺れて前のめりに倒れながらもゴールへ流し込み先制。

「イエーーーーース!」

「よーーーーーし!」

「最近スルーパスからの得点ってあったっけ?」

「記憶にないなあ」

得点した宇野沢もさることながら、今まで持ち味をあまり出し切れていない畑田が片鱗を魅せた。

安堵の気持ちと後半への期待で前半を終える。



後半の途中からシステムを変更。慣れ親しんだ4-4-2に。

これは、今後は展開に応じてシステムを動かすということなのだろうか。

こうなる事により、新システムでは不調だった縦の連動が生まれ、さらに横の連動も磨きがかかる。

攻撃パターンも一気に増え、躍動感のあるフットボールが展開された。

特に縦の攻撃の組み立てで佐藤が輝いていた。

「さあ行け!畳みかけろ!」

「一気に叩きのめせ!」

72分、高野からのクロスを松尾がアタマで決めて追加点をもぎ取る。

「うおおショーゴ!」

「決めたー!」

遂に来た、ホームでの松尾ゴールに狂喜乱舞。狂ったように名前を連呼し讃える。


しかしその数分後、相手FKのピンチ。

ディフェンスの指示をしきりに叫んでいるのは、FWのはずの松尾だった。

藤井には「タカシ、もどれ!」と呼び、GK諏訪には「イージーにクリアするぞ」の合図。

「いつからディフェンスリーダーになったんだよ」

「いやーあんまり張り切り過ぎると嫌な予感するんだけど・・・」

放たれたキックは、松尾の頭にドンピシャ。ビューティフルゴールを自陣に突き刺した。

私たちは口あんぐり、その後に笑いが押し寄せて来た。

「どああああ、やってもうた!」

「ドンマイ松尾!」

「1点ならくれてやれ!」

以前から何かやる選手だと思っていたが、その男は私たちに歓喜の嵐と笑いの嵐をもたらした。



ようやく「見どころのある面白い試合」に出会えた気がした。

だが、今後の重い課題がクッキリ見える試合でもあった。

このゲームの長野のシュート数は僅かに3である。

試合翌日の地元紙には監督がシュート数の少なさを危惧したという記事が掲載された。

2つのゴールはそれぞれ素晴らしいゴールだった事には変わりはないが、まだまだフィニッシュへの欲望が選手から感じられず。

フットボールはパスの数を競うのではない。ゴールの多さを競うスポーツだという事を忘れてはならない。




本日のポイント

●美しい得点シーン。畑田の持ち味炸裂。

●縦の連動がない4-3-3、縦も横も連動する4-4-2

●シュート数3で2得点。1つの攻撃をシュートで終わらせる意識の欠如。

●不可解な終了間際の2枚代え。



チケットの査定 「今日のチケットおいくら?」


査定士 まるいたろう

コメント「なんと公式記録で3本というシュートのうち3本…違った(笑)2本を決めての勝利、と効率はいいがハラハラする試合でしたね。 」

・中盤が開いてしまうのは修正された。  +100円
・しかし前線に人が行かなくなった。   -100円
・金沢の気迫のプレスに押される。    -100円
・攻め手が少なかった。         -100円
・初めての決定機を逃さず得点      +1000円
・そのプレイ、畑田のドリブルとスルーパスが絶品だった。 +500円
・後半も足の止まった金沢を攻め倦む。     -100円
・突然切れ味が発現し、高野が芸術的ループパスを出す。 +500円
・それを昇悟がヘッドでゲット!! +500円
・守備の統率をとる昇悟         +100円
・昇悟が美しくオウンゴール   がんばりの結果なので0円

本日の査定 2400円


査定士 Nori

コメント「TV中継でのようやくの勝利、相手に助けられたり、まだまだいろいろ難しいところはあるでしょうが、結果が出ていることをまず喜びたいと思います。ただ、質の高いサッカーを目指すあまり、基本的な部分が出来ていない、出来なくなってしまっているのは残念です。それとシロート考えですみません。美濃部監督、畑田と有永のポジションの変更を考えて頂きたい。いかがでしょうか?」

・入場料  1000円
・TV中継で勝利! +500円
・昇悟!素晴らしい「2」得点! +500円
・でも味方のゴールへはやめてね -300円
・シュートが少ない。相手ボールへの早めの寄せが足りない。JFLを戦う上での大前提では? -500円

本日の査定 1200円



査定士 ゆうすけ

コメント「シュート数3本で2ゴール。効率がいいように見えるけど、これでいいのか?時間はかかるかも知れませんが、前への意識・シュートへの意識を大切にしてほしいです。」


・入場料  1000円

・攻撃に転じた時の押し上げが遅い  -200円

・ワイドな攻撃が出来ずショートパスを掻っ攫われる  -500円

・攻守に大活躍の松尾の「自作自演」  +500円

・中盤でのボール奪取のポイントが定まらず、ピンチを招く  -200円

・どうしても解らない、終了間際の交代  -100円

・「TV中継未勝利」というふざけたジンクスをようやく乗り越える  +600円


本日の査定 1100円

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