2013年5月10日(金)

１２年県内救急搬送、最多２５万１２６人　重症の１割が照会４回以上

　２０１２年の県内の救急搬送患者が１１年比０・９％増の２５万１２６人となり、調査を始めた０７年以来、最多を更新したことが９日、県のまとめで明らかになった。病院から病院への転院を含めた搬送患者は２７万５２４人で、県民２７人に１人が搬送されたことになる。県は「高齢者の搬送が増えたり、救急車を要請しなくても済んだケースもある」とみている。

　１２年１月１日から１２月３１日までで、県内３５消防本部・局が医療機関に救急搬送した患者の受け入れ実態を調べた。救急搬送患者２５万１２６人のうち、３週間以上の入院加療を必要とする重症以上は２万３２２５人（１１年比１・０％増）。産科・周産期の搬送患者が１０７１人（同４・９％増）、小児（１５歳未満）が２万２８９１人（同１・０％増）、最終的に救命救急センターに搬送したのが７４０９人（同２・６％増）。

　重症以上の患者をみると、１回の照会で搬送先が決まったのは１万６１３６人と約７割を占めた。一方、４回以上が２４１０人、うち１６７人が１１回以上だった。人工透析を受けていた男性が呼吸が苦しくなって要請したケースは、照会回数が最多の４５回になった。救急車が現場に滞在した最長時間は６時間５５分。呼吸が苦しくなって要請した男性が特定の医療機関を希望したため、受け入れ先が決まるまでに時間を要した。

　医療機関が重症以上の傷病者の受け入れを断った件数は１万８２１５件。手術・患者対応中が４４９２件、処置困難が４１４３件、ベッド満床が３７４４件、医師不在３２２件など。久喜市の男性が救急搬送を３６回断られて死亡したケースは、調査期間後の発生（１３年１月）だったため含まれていない。

　この問題をめぐり、地元消防などから現在の「救急医療情報システム」を見直し、タブレット型情報端末を救急車に配備する案が挙がっており、上田清司知事は早期に導入する考えを示している。

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