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'13/5/9

法科大学院全4校が定員割れ



 今春、学生を募集した中国地方の法科大学院全4校がいずれも、前年度に続き2013年度も「定員割れ」となったことが8日、文部科学省の集計で分かった。広島、岡山大は定員に占める入学者の割合(充足率)が56%と低迷。島根大は10%で、入学者は全国最少の2人だった。法科大学院の定員削減や統廃合が懸念される中、地元法曹界は地方の法科大学院を地域あげて守るよう訴えている。

 広島大(定員48人)の充足率は2年前までの90%台から急落した。木下正俊法務研究科長は「志願者が減った影響が大きい」。

 広島大の司法試験の合格率は12年度、20・9%だった。一橋大(57・0%)、大阪大(41・8%)など都市部に大きく水をあけられている。木下研究科長は「就職の機会もより多い都市部に人材が流れる」と説明する。

 政府の法曹養成制度検討会議は4月、「合格者を年間3千人程度に増やす」とする政府計画の撤回を求める中間提言案をまとめた。狭き門の維持が「法科大学院離れ」を加速させた側面もある。

 広島修道大(定員30人)の充足率は30%。上谷均法務研究科長は「志願者が国立大に流れる。増やすには司法試験の合格率を高めるしかない」と漏らす。

 島根大(定員20人)はまさに「存続の危機」。入試の競争倍率と司法試験の合格率が低いことを理由に、13年度は文部科学省の補助金を削減される。これにより教員の確保が難しくなり、教育水準が下がる「悪循環」に陥る懸念もある。同大は、退職した教員を特任教授に迎え、教育の質の維持に努める。

 「山陰を照らす法律の火を消してはいけない」。島根、鳥取両県の弁護士や自治体関係者でつくり島根大を支える「山陰法科大学院支援協会」の池野誠会長代行は、危機感を募らせる。

 山陰地方は弁護士が極端に少ない「司法過疎」にあえいできた。池野会長代行は「島根大のおかげで山陰で働く弁護士が増えつつある」と法科大学院の効果を強調する。




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