一部メディアの報道によると、厚生労働省は5日、一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売のルールを議論する検討会を開き、専門家が相談に応じ症状を確認できること、大量購入の防止、最低1つの店舗をもつことなど12項目の販売の最低条件を示しました。
大衆薬のネット販売は1月の最高裁判決が1類から第2類まで一律に禁止した厚労省の省令を違憲としたことで、現行規制は効力を失い事実上の解禁状態となっていることから、厚労省はネット販売がこのまま野放し状態で拡大することを懸念し、検討会を開いて販売ルールの制定を急ぎ、6月をメドに結論を出す見通しです。
5日の検討会では販売業者の最低条件として薬剤師などの専門家が購入者の体調を把握し、薬の受け渡しの管理・監督をすることなどがあげられ、ネット販売の反対派からはネット販売では大量購入が可能であるため、薬害の危険性が高まるとの指摘がありました。
今後の検討会では、インターネットで販売できる薬の選定などの具体的なルール作りに入る予定ですが、副作用のリスクが1類に比べて低いとされている2類は解禁を認められる可能性が高まっていて、副作用のリスクが高いとされる第1類の大衆薬も含めた全面解禁を認めるか部分解禁にとどまるかが焦点になっています。
政府の規制改革会議は全面解禁を要求していますが、ドラッグストアの業界団体である日本チェーンドラッグストア協会などは1類を禁止し、2類は条件付きで解禁する案を提示しています。5日に厚生労働省が検討会に提示した今後の論点案にもこの2つの意見が併記されていて、検討会では1類を巡った攻防が激しくなりそうです。
厚労省は5日、現行規制が効力を失った2月末の時点で、一般用医薬品(大衆薬)のうち、副作用リスクが高い第1類や第2類をインターネットで販売している薬局、薬店が150店舗あったと公表しています。この内1類のみを販売していたのは2店舗、1類と2類の両方を販売していたのは15店舗、2類だけを販売していたのは133店舗ですが、都道府県からの情報をもとに厚労省が3月に取り扱い状況を改めて調査したところ,1類の販売を確認できたのは13店舗で、サイト上に使用上の注意が記載されていたのは11店舗となっています。
厚労省では「新ルールができるまで販売自粛を求めていきたい」とし、大手小売が相次いで一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売を開始しているため、日本チェーンドラッグストア協会は6日にも改めて加盟企業に販売自粛を要請するとしています。
医療用医薬品と比べれば相対的にリスクが低いとされる大衆薬であっても、薬害の可能性は決して0ではありません。まして大量使用や、自己診断による薬の使用など誤った使用による健康被害も懸念されることから、ネットにおける薬の売買では販売する側の商道徳や理念、買う側の自己責任意識や知識などがより必要になると思います。
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