法務省:保護観察中の少年を雇用 国の機関で初
毎日新聞 2013年05月10日 11時44分
法務省は今月から、保護観察中の少年を非常勤職員として雇用する取り組みを始めた。谷垣禎一法相が10日の閣議後の記者会見で明らかにした。就労を支援して再犯を防止する狙い。自治体では、大阪・静岡・千葉の3県で8市が同様の試みをしているが、国の機関では初めてとなる。
同省保護局によると、対象者は1人。本省で文書整理やパソコンへのデータ入力、電話の取り次ぎなどを行う。週4日以内の条件で1日7時間働くと、給与は月10万円程度となる。期間は最長6カ月。この間に定職を探し、見つかれば新たな就職先に移る。その後は別の少年を雇用する。
2012年版犯罪白書によると、02〜11年の保護観察対象者の再犯率は無職者が有職者の約5倍に上り、再犯防止を進めるために就労先の確保が重要な課題となっている。保護観察中の成人は国家公務員法の規定により雇用できないため、少年院を仮退院したり、家裁で保護処分が決定したりした保護観察中の少年を雇用することにした。
担当者は「再犯防止施策を進める国の機関が身をもって就労支援を行うことで、他の自治体にも取り組みが広まることを期待している」と話している。【伊藤一郎】