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抗日戦争記念活動に見る今の中国

抗日戦争紀念館で花輪を捧げる常務委員ら

9月3日金曜日、中国では比較的大きな活動がありました。それは抗日戦争勝利65周年の記念行事です。記念活動開催は、65年前の1945年9月3日、日本が米軍の艦船「ミズーリ」号の甲板で太平洋戦争の降伏文書に調印したことに起因します。

午後7時(日本時間午後8時)から始まる中国中央テレビの定時ニュースでは、冒頭11分近くをさいて、胡錦濤総書記ら中共中央政治局常務委員9人が勢ぞろいし、盧溝橋にある抗日戦争紀念館で花輪を捧げ、紀念館を参観したニュースが報じられました。そのあとの李長春常務委員が中国人民抗日戦争勝利65周年記念座談会に出席して講話した報道も含めれば、30分枠のうちの16分もの時間が抗日戦争記念の関連ニュースに当てられ、この行事を重視する中国政府の姿勢が感じられました。その一方で北京放送などのメディアでは、関係ニュースの放送時間が8分ほどで、テレビと比べると物足りなさを感じました。

こういう活動は、本来日本が降服した日である8月15日に行うべきものだったのでしょうが、当ブログの8月15日の記事でもお伝えしたように、舟曲県の土石流事故に伴い今年の8月15日を「哀悼デー」にしてしまったため、その分9月3日にはしっかりやろうということだったのでしょう。

普通毎年こういう抗日戦争記念行事には、「勿忘国耻(国辱を忘れるな)」というスローガンの下、中国各地で防空警報が鳴らされることになっています。しかし今年は、鄭州や重慶市などごく限られた都市でしか防空警報は鳴らされなかったようです。このことから最近の日本に対する中国政府の軟化した態度が感じられました。

抗日戦争紀念館を参観する胡錦濤総書記ら メディアにしても、抗日戦争記念番組などは散発的で「あまり歴史問題で日本をつつくのはやめにしよう」といった、中国側の大人な態度が垣間見えます。その証拠に、夜の定時ニュースのあとに放送される時事番組「焦点放談」でも抗日戦争のテーマは取り上げられず、実際には別のテーマが取り上げられました。こういう大きな行事があった場合には、「焦点放談」でもそれに関連する報道が行われることが普通なのですが、今回は異例と言えます。

人民日報と新華社は3日、抗日戦争勝利を記念する社説を発表しました。しかしこの人民日報の社説の中にある「中国が日本に勝利した原因は共産党が人民を率いて戦争を闘ったからだ」という文言に台湾の国防部が敏感に反応し、4日には抗議するという事態になりました。

国共が手を取り合って日本と戦ったあの時代、どちらが抗日戦争勝利に貢献したのかは歴史の検証をまたなければなりませんが、国民党からすれば、ミズーリ号の甲板で調印に立ち会ったのは間違いなく蒋介石氏であり、「当時の当事者は国民党だったのだ」という一種の自負があるのでしょう。

それにしてもこういう小さいことについて、これまであまり台湾は大陸に口に出すことはありませんでした。このことからも台湾政府内に、台湾の急速な「大陸化」に危惧を抱いている人がこれまでにないほど増えていると思われます。

ともあれ、抗日戦争の記念活動はこれで終わりではありません。9月18日にも、有名な満洲事変が勃発した日として毎年中国各地で記念行事が開催されています。今年も例年通り数多くの記念活動が開催され、全国各地で「勿忘国耻(国辱を忘れるな)」の防空警報が鳴らされるのでしょう。

今年の大衆の対日感情の変化についてはこれからも密に注目していきたいと思っています。








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テーマ : 中国問題 - ジャンル : 政治・経済

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