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座敷童子
作者:航空母艦

一つの空き地が、

そこには広がっていた、

山に囲まれたこの土地を、

数人の人が見つめていた、

「まぁーッ見事になくなったいましたね!」
数人のうちの一人が開口する

"あぁ、本当に綺麗さっぱりじゃ"

「やーっとあのボロ屋とお別れだな」
その横に立つ青年も開口する

"古くとも しっかり建っとった 立派な家じゃったよ"

「子供部屋もできるし、これで安心して赤ちゃん産めますぅ♥」
「おぉ、跡継ぎよろしく頼むよ!」

"残念ながらこの娘は女の子しか産めんよ"

「全くあのボケじーさんのせいで何も出来なかったもんなぁ。守り神が居るとかなんとか言って...」

"先代は本当に良くしてくれた"

「最後には毎日のように見える見えるってな、

"手鞠、おはじき、あやとり...逝く間際には毎日のように遊んでくれたわ"

ボケすぎにもほどがあるよ」
心無い言葉が虚空の緑茂る山に吸い込まれていく、
まるで気にするなと山が言いたげに、

「まっ そのじじいも死んだし これでこの家もさらなる発展が出来るってもんだな!」
心地良い風が山の木々を揺らす、
やはり、心無い言葉は虚空に返った

"先代も家もなくなった今、ここに居続ける道理も無い さて、何処へ行こうかの"

その場にしゃがみ込んでいた一人の女のこがスクッと立ち上がると、
何事も無かったかのように、
その場を後にする、

暫く、
元玄関前の茂みのトンネルまでたどり着くと、
彼女は振り返った、
名残惜しそうな顔をして、

茂みのトンネルの幹にチェンソーの刃が入れられる、
あっと言う間に、茂みは消えていく

「お爺ちゃん...」
顔を伏せ、
消えていく茂みに別れを告げた、
もう、日本に残された茅葺屋根の家は、
消え始めている、

















「いいんですか?こんな家で?」
制服を着た不動産業者の人がその家を指差す

「いえ、いいんです、茅葺の家がすきなんで、マンションよりはましです」
彼は、
不動産業者が差し出した書類に自分の名前を書いていく、
書き終わったと共に、
胸ポケットの中にある判子を取り出し、
その紙に押し付ける、

「この家、取り壊しが決まっていたんですがねぇ...まぁ、いいでしょう。確かに受け取りました」
書類を受け取ると、
業者は、
骨董品ともいえる愛車
『スズキ・スズライト』に乗り込み
その場を去る、

交差点で一つの黒煙を排気口からポンと吐き出すと、
そのスピードを上げていく

「ははは、この町はいいね~、レトロだ」

それもそうだ、
なんせ郵便局も未だ『ダイハツ・ミゼット』や『ダイハツ・ミゼットⅡ』を運用いるのだ

大変小さな町のためか、
町の乗用車の大半は『スズキ・ツイン』や『三菱・ミニカ(初代)』が道路をひしめく

町の御米屋、スーパーは『ホンダ・T360』や『ホンダ・ライフステップバン』を未だに使っている、
中には『スバル・サンバー(初代)』を使う店まである

ちなみに、
彼が所持しているのは『ホンダ・S600』と趣味の機械いじりの為の『ゴリアテ・ピオネール』の二台

話を戻そう、
つまり、この町は何処か懐かしい雰囲気を放っていたのだ、

「さて、買出しに出かけるか!」
今日、
彼は晴れてこの町の住民と成った、
小高い山の斜面の茂みの中、
その茅葺の家はまるで御主人の帰宅を待つかのようにひっそりと佇んでいた

裏の農業用トラクターの倉庫の余ったスペースを愛車の車庫に改装してある、
引越し会社は今日の午後に到着の筈である、

それまで余裕が出来たので、
彼は買出しに出かけた、愛車のS600に乗って

軽快な音を響かせ、
山の坂道を駆け下りて行った、






これが、
彼と、彼女の、出会いだった、


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