私達が刺し身や塩辛でよく食べているヤリイカは面白い交尾をすることが分かっています。このヤリイカの精子について、お茶の水女子大学らの研究グループが興味深い発見をしたので、簡単にご紹介致します。
ヤリイカにはSexできるオスとできないオスがいる
ヤリイカのオスは身体が大きいタイプと小さいタイプの二種類に分けられます。この二種類のオスイカは、メスと交尾する様式が違うことが知られています。
大きなオスイカは体を発光させて求愛し、メスと交尾します。一方で小さいオスイカはメスの口に精子を貯める器官を付着させることで交尾します。
Sexできないオスイカの精子は大きい
同一種のヤリイカに二種類の交尾様式が異なるオスがいるという事実は、その精子や精巣が異なることを示唆します。近年の研究は『体が小さいオスイカは精子が少ないが、精子の大きさは20%程度大きい』ことを明らかにしました *1。
それではこの大きな精子は小さな精子とは異なった性質を持っているのでしょうか?研究グループはこの謎を解明するために研究を行いました。
Sexできないオスの精子は特殊な性質を持っていた
様々な実験の結果、小さなヤリイカの精子はCO2に向かって移動することが分かりました。一方で大きなイカの精子はCO2に向かう性質を持っていませんでした。
これらの結果から、小さなイカの精子は卵が放出するCO2を検知して受精確率を上げているのではないか。そしてこれは進化の過程で小さなイカが獲得した形質であろうと筆者らは考えています。
卵胞にある種のホルモンが含まれるという事実*2から、卵がCO2を放出していることもあり得るかもしれません。本当に小さなイカの精子が卵を感知して受精確率を高めているかは、今後の研究が明らかにしてくれるでしょう。
生物が刺激に向かって集まる(逃げる)性質のことを走性と言う
- 蛾やハエは光に集まる (走光性)
- ゾウリムシは電気から逃げる (走電性)
- 線虫は好きな匂いに集まる (走化性)
- 身体が小さいイカの精子は二酸化炭素に集まる(走化性) ←New!!
臨海実験場で海の生き物を研究しよう
今回の研究はお茶の水女子大学を始めとする臨海施設の研究グループによって行われました。日本には19もの国立大学臨海実験所があるって知っていましたか?
海の生き物を研究することは生物学的興味を満たすだけでなく水産業の発展に重要な意義を持ちます。海の生物に興味をもつ人がもっと増えてもいいのになーと思っています。
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