私用
今日、死神業は休みになった。
というより、ルキアが1日中私用で出かけることになったから勝手に休みにしてもらった・・・といった方が的確だろう。
そんなわけで、久々に部屋でゆっくりとしている。
「おい、一護。姐さん追っかけなくていいのかよ?他のやつらに絡まれたりしたらどうするんだよ!」
「五月蝿い!あいつの場合は心配なんて必要ないだろ?」
せっかく久々に部屋でゆっくりできるっていうのに、なんで追いかける必要がある?
あいつは絡まれたとしても、そいつらを見抜けばすぐに払いのける。
虚だって俺も気配ぐらい、それなりに分かるし、あいつだって分かる。
なによりあの便利な携帯だって持ってるんだしな。
万一現れたとしても、ルキアがいなくてもコンがいれば死神化できるしな。
「こうしちゃいられねえ。一護、姐さんを追うぞ!」
「お、おい!ちょっと待てよ!何で行くんだよ!」
「姐さんに悪い虫が付かないようにするためだろ!その位分かれよ!早く行くぞ!」
せっかくの休みがこいつによって破壊された。
ぬいぐるみと言えど、改造魂魄が入ってるからな。
あっけなく俺は外に連れ出されてしまった。
外に出てしばらく行くと、コンがルキアを発見した。
その隣に水色がいる。
その様子から、あいつの私用は水色とどこかへ行くことらしい。
ルキアは空を見上げた。
何かを楽しそうに言っている。
少し話が聞こえる程度に近づいた。
「いい天気ですわね」
「そうだねー。そういえば、あれ見つかった?」
「ええ、昨日偶然見つけましたの」
あれってなんだ?
あれこれ考えていると、ルキア達は移動してしまったのでとりあえず考えるのは後回しにしておくことにした。
「一護、姐さんを見失うなよ!」
コンに言われて急いでルキアの後を追った。
今度はデパートに行くらしい。
気づかれないようにそーっと近づく。
ルキア達は本屋に入って行った。
雑誌でも買うのだろうか・・・・?
会話が聞こえる程度まで注意深く近づいていった。
そして手近にあったレジャー誌を手に取り、読んでいる素振りをし、会話に耳を傾けた。
「小島君、これなんかどうかしら?」
「うん、それもいいね。こっちもいいと思ったんだ。朽木さんはどっちにする?」
「じゃあ、私はこちらにしますわ」
外から見るに、あの2人はいかにもカップル的な雰囲気が漂っていた。
ルキアは外に出ると、水色と別れた。
次はどこに行くんだ?
そう思いつつ、ついていくとたつきや井上達がいた。
ルキアは井上達と近くのカフェテリアに入っていった。
誰が入ってもあまり気にならないところだったので安心した。
ルキアは席に着くと、笑いながらさっき買った本を開き、井上達に見せた。
運良くこっちの姿の見えない会話の聞きやすい席に座れたので良かった。
「この絵、凄く綺麗だね!」
「こんなの朽木さんからもらえるなんて、あいつはどこまで幸せ者なんだか」
「え、たつきちゃん、朽木さんが誰にあげるのか知ってるの?」
「まあね。でも、大体織姫も見当が付く奴だよ。本当に目立つから」
「えー、目立つ人?・・・誰?」
井上って、どこまで鈍いんだ?
「あ、そうだ。朽木さん、あれ見つかった?」
「ええ、昨日偶然見つけましたの」
こいつらもあれがなんだか知ってる。
いったいあれって何だよ・・・?
「じゃあ、これで全部だね。頑張ってね、朽木さん!」
「ええ、ありがとう」
しばらくしたあと、ルキアは井上達と別れて、家のほうへ向かっていった。
早くルキアより先に家に帰らねえとまずい。
そう思い、ダッシュで家に向かった。
全速力で走った甲斐あって、ルキアよりも先に部屋に戻ることができた。
数秒後、窓からルキアが入ってきた。
「ずいぶん長かったな」
「ああ、貴様は私が何をしていたのか分かっているだろうがな。あれだけ気配が漂っていては、いくら鈍感な奴でもすぐに気づくであろう」
「俺はずっと今日は家にいた」
コンを見ると、ルキアに殺されるのが恐ろしいらしく、反論してこなかった。
「まあ、良い。ところで貴様の妹が大声で叫んでいるぞ?したい降りていかなくて良いのか?」
「やべえ、じゃあ、行って来る」
いいタイミングで遊子がきた。
今回ばかりは遊子に感謝しないとな。
それにしても、あれって一体なんだったのだろう。
今日はもう、考えるのは止しておく事にした。
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